枝肉のkg単価は安く見えても、その重量すべてを料理に使えるわけではありません。枝肉と部分肉のどちらで仕入れるか迷うときは、形の違いに加えて、必要な加工、使える重量、設備や人手まで確認することが大切です。
この記事では、五十嵐商会の既存の加工・流通写真を使い、生体、枝肉、部分肉、精肉の違いを整理します。取引相手が事業者か一般消費者かではなく、加工段階と形態が違うという点が基本です。
生体・枝肉・部分肉・精肉は何が違うのか

| 段階 | 主な形態 | 仕入れ時に確認すること |
|---|---|---|
| 生体 | 生きている牛 | 飼養状態、品種、月齢、体格、出荷・処理条件 |
| 枝肉 | と畜・解体後、骨が付いた状態の肉 | 重量、格付、瑕疵、冷却状態、脱骨・整形の費用と体制 |
| 部分肉 | 枝肉を脱骨・分割・整形した部位ごとの肉 | 部位名、整形規格、脂肪・筋、重量範囲、保存条件 |
| 精肉 | 料理や販売用途に合わせてさらに整形・カットした肉 | 厚さ、1枚の重量、用途、数量、保存方法・期限 |
基本的な流れは生体→枝肉→部分肉→精肉です。ただし、すべての取引が同じ業者の組み合わせや流通経路になるわけではありません。卸、加工業者、小売、飲食店などが、必要な加工段階で仕入れます。

精肉には、ステーキ、焼肉、すき焼き・しゃぶしゃぶ用の薄切り、切り落とし、角切り、ミンチなどがあります。飲食店が調理用に仕入れることもあり、「一般消費者が買うものだけ」を指す言葉ではありません。
細かく切ると肉の表面が増え、加工時の取り扱いも加わります。保存できる期間は、切り方だけでなく衛生状態、包装、温度などで変わるため、表示された保存方法と期限を守ってください。

生体の段階では肉の断面を直接確認できません。品種や体格、飼養・出荷情報などを確認して判断します。一方、枝肉では格付や切開面などを確認できますが、そこから何を製造して販売するかまで考える必要があります。


部分肉は、枝肉を脱骨し、部位ごとに分割・整形したものです。日本食肉格付協会の牛部分肉取引規格では13部位を基本としています。合体したままのものや細分したものも認められるため、納品される範囲は規格書や現物写真で確認します。

部位の位置と用途は牛肉の13部位の解説で確認できます。Mマートを使う場合も、購入資格、商品単位、送料などは現行の利用条件で確認してください。利用判断の参考はMマートのメリットと注意点へ。
枝肉とは?
枝肉は、と畜後に皮、頭部、内臓の大部分、四肢の先端部などを除いて整形した、骨の付いた肉です。牛枝肉取引規格の解体整形方法では、腎臓と腎臓脂肪を枝肉に残すと定められているため、「すべての内臓を除いたもの」とだけ説明すると正確ではありません。

枝肉は通常、脊柱の中央に沿って左右の半丸に分けます。牛部分肉取引規格の大分割では、第6~第7肋骨間で切断して「まえ」を分離します。「胸骨から6~7番目」という意味ではありません。部位名のまえずね・ともずねなども、前後の位置関係を理解すると見分けやすくなります。

枝肉取引の指標の一つが格付です。「A5」などは歩留等級と肉質等級を組み合わせた表示であり、すべての食べ方でのおいしさや、安全性を保証する記号ではありません。A5ランクとブランド牛の関係もご覧ください。

検査に関する表示と、格付、ブランド、個体・流通管理の表示は役割が違います。と畜検査を経たことを、食中毒菌が一切ないことや、そのまま生で食べられることの証明として扱ってはいけません。流通・加工・調理の各段階で衛生管理が必要です。

枝肉に瑕疵が認められる場合は、その種類を格付表示に付記します。肉の状態に関わる情報として、仕入れ後の整形や製品の取り方も含めて確認してください。

牛枝肉の格付は、歩留等級のA・B・Cの3区分と、肉質等級の5・4・3・2・1の5区分を組み合わせます。したがって表示の組み合わせは15通りです。「7段階と5等級」ではありません。
格付の歩留等級と、実際に加工して測る製造歩留まりは別です。歩留等級は、枝肉重量、ロース芯面積、ばら・皮下脂肪の厚さなどから算出する歩留基準値に基づきます。一方、実際の製造歩留まりは、脱骨・整形後の重量を測り、投入した枝肉重量に対する割合で求めます。
原価計算で必要なのは、自社の製品規格に対応する実績重量です。A等級だから必ず同じ割合の正肉が取れるとは限りません。根拠:日本食肉格付協会「牛枝肉取引規格」。

取引後は、用途と規格に合わせて脱骨・分割・整形し、部分肉にします。骨の付いた重量と、取り出した部分肉の重量を同じものとして扱わないことが、仕入れ判断の出発点です。

部分肉とは?
牛部分肉取引規格では、ネック、かた、かたロース、かたばら、ヒレ、リブロース、サーロイン、ともばら、うちもも、しんたま、らんいち、そともも、すねの13部位を基本とします。販売単位や細分の方法が異なる場合は、部位数だけで不足や同一規格と判断しないでください。

地域名と規格名の違いは、関東・関西の牛肉の部位名も参考にしてください。発注時は名称に加え、どこまで筋や脂肪を除くか、重量はどの段階で量るかを確認します。
五十嵐商会の掲載写真では、ナイフを使って骨と肉の境界を確認しながら脱骨しています。業界全体で機械化ができないと断定するのではなく、ここでは当社の写真で確認できる加工方法を紹介します。

脱骨後の部分肉は、整形規格と表示を確認して取引します。元の枝肉が同じでも、残す脂肪の厚さや小割りの範囲によって納品重量と加工の手間が変わります。


部分肉からさらに整形・スライス・小切りを行い、用途に合わせた精肉にします。部位そのものの重量と、1人前として使える重量を区別してください。

用途別の加工はサーロインのブロックからステーキへの使い方、品種の理解は国内で流通する牛の品種も参照できます。
まとめ|仕入単価だけでなく、加工後の原価で比較する
枝肉と部分肉の違いは、主に骨の有無、分割・整形の段階、残っている加工の範囲です。仕入単価の比較では、同じ「使える肉の1kg」にそろえて考えます。
実績製造歩留まり(%)=製造後の部分肉重量÷投入枝肉重量×100。どの部位や副産物を分子に含めるか、脂肪をどこまで除くかをそろえて記録します。
部分肉1kg当たりの原価=(枝肉購入金額+受入にかかる費用+脱骨・整形などの加工経費-副産物評価額)÷部分肉出来高。費用をすでに含む仕入価格に、同じ運賃や手数料を二重加算しないようにします。副産物の評価方法も一定にし、二重に収益を計上しないことが大切です。
部分肉で購入した場合も、追加整形・スライス・解凍などによる重量減少と作業費を確認します。規格の整った部分肉が適するか、自社で枝肉から加工する方が適するかは、人員、設備、部位を使い切る販路、原価を合わせて判断してください。本記事では当社の内部仕入価格や原価は公開していません。
実務へ進む方は、13部位の特徴→牛肉の切り方→部分肉の原価計算→業務用の仕入れ比較の順でご覧ください。
五十嵐商会の業務用部分肉は、Mマート商品一覧で掲載状況をご確認ください。部位、整形状態、冷蔵・冷凍、重量、注文単位、価格、送料、在庫、納期は購入時の表示を優先します。用途と必要数量、希望規格、納品地域を添えてご相談ください。
既存の補足記事:と畜後の保管、牛肉のBSEに関する記事、国産ブランド牛の紹介。食品の安全な取り扱いは、厚生労働省の食中毒予防情報も確認してください。






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