アウトサイドフラットとは、牛の「そともも」を分割した際に取れる**「なかにく」**にあたる部位です。
赤身が主体で肉厚ですが、牛がよく動かす後肢に位置するため、肉質はやや硬めです。また、一つのブロックの中でも肉の厚さや肉目の方向が変化するため、用途に合わせた分割や整形が重要になります。
業務用で使用する場合は、「硬い部位だから使いにくい」と考えるのではなく、
- 肉厚な部分
- 薄く硬い部分
- 肉目の方向
- 筋や脂肪の位置
を見ながら用途を分けることで、切り落とし、煮込み、カレー、こま材など幅広く活用できます。
この記事では、創業100年以上にわたり牛肉を扱ってきた五十嵐商会の現場経験をもとに、アウトサイドフラットの特徴から、カット・筋引き・整形・歩留まりを落とさないポイントまで解説します。
アウトサイドフラットは「そともも」の「なかにく」
牛肉の部位名称は、地域や流通規格によって呼び方が異なることがあります。
アウトサイドフラットは、日本では一般的に「そともも」の中にある「なかにく」に相当する部位として扱われます。
呼び方の一例は次のとおりです。
- 関東:なかにく、なかしき
- 関西:そとひら
- 海外流通名:Outside Flat など



そとももは、大きく見ると「なかにく」「しきんぼう」「はばき」などに分けて商品化していきます。
それぞれ肉質や形状が異なるため、そとももを一つの肉として扱うより、各部位の特徴を理解して使い分けた方が、商品価値と歩留まりを高めやすくなります。
アウトサイドフラットの肉質と特徴


アウトサイドフラットは、脂肪が比較的少ない赤身主体の部位です。
肉厚な部分がある一方で、場所によって肉の厚みや肉目が変化します。
特に薄い部分は硬さを感じやすいため、ブロック全体を同じ用途に使うよりも、状態を見ながら分けて使用することが重要です。
特徴を整理すると、
- 赤身が主体
- 肉質はやや硬め
- 肉目の方向が一定ではない
- 薄い部分ほど硬さが出やすい
- 脂肪が少なく比較的あっさりした味わい
- 用途別に小割することで使いやすくなる
という特徴があります。
アウトサイドフラットの主な用途

アウトサイドフラットは、分割方法によって用途を変えることができます。
カレー・煮込み
薄く硬い部分は、カレーや煮込みなど加熱時間を取れる料理に向いています。
硬い部分を無理に薄切り商品へ使うより、煮込み原料として分けることで、ブロック全体を有効活用しやすくなります。
こま切れ・ミンチ原料
形状が取りにくい部分や、薄い部分は、こま切れやミンチ原料として活用できます。
ブロックの中で用途を分けることは、食品ロスを抑えながら歩留まりを高めるうえでも重要です。
薄切り用途
肉厚があり、肉目を確認できる部分は、肉目に対して直角になるように分割することで、購入後の薄切り用途にも利用できます。
すき焼きや切り落としなどで使用する場合、そとももの赤身だけでは味わいがあっさりしやすいため、バラなど脂のある部位と組み合わせて使用する方法もあります。
※五十嵐商会では基本的にブロックで販売しており、スライス加工は行っていません。薄切り等は購入後の加工・使用例です。
アウトサイドフラットのカット方法

アウトサイドフラットは、肉の厚さと肉目を確認して分割します。
1.薄く硬い部分を分ける
肉が薄い部分は硬さが出やすいため、カレー、煮込み、こま材、ミンチ原料などへ分けます。
すべてを同じ商品規格にしようとせず、肉質に応じて用途を変えることがポイントです。
2.肉目に対して直角に切れるよう分割する
肉厚な部分は、肉目に対して直角に切れる形になるよう小割します。
肉目に沿った状態で切ってしまうと、食べたときに硬さを感じやすくなります。

3.厚い部分と小さい部分を使い分ける
肉厚なブロックは必要に応じて切り開き、小さな部分は用途に合わせて二分割するなど、商品として扱いやすい形へ整えます。
「どこまで一つの商品として取るか」ではなく、「どの用途ならこの肉質を活かせるか」で判断することが重要です。
アウトサイドフラットの筋引き・整形で重要なポイント
アウトサイドフラットを含むそとももの整形では、筋を取ること以上に、取りすぎないことが重要です。
現場では、きれいにしようとして脂肪や筋を深く取りすぎると、赤身まで削り、歩留まりを落としてしまうことがあります。

表面の脂肪を取りすぎない
そとももは皮下脂肪がそれほど厚くないため、表面の汚れや不要部分を除去するときは、必要以上に削らないようにします。
目安として脂肪を薄く残しながら整形します。

脂肪を削りすぎることは、その下にある販売可能な赤身まで削ることにつながります。
見た目をきれいにすることだけを目的にせず、商品価値と歩留まりのバランスを見ることが重要です。
リンパ節など不要部分は確実に除去する
そとももとはばきの境目付近には、脂肪の中に除去が必要な部分があります。
必要部分を確認しながら取り除き、周囲の赤身を必要以上に削らないようにします。

筋は肉の中まで追いすぎない
そとももの中筋や、はばき内側の筋は肉の中へ入り込んでいます。
しかし、丸の状態で筋を奥まで追ってしまうと、肉が分離してバラバラになり、商品化しにくくなります。
基本は、
表面から確認できる筋を処理し、内部へ深く入り込む筋は小割後に処理する
という考え方です。
これは作業性だけでなく、歩留まりを維持するためにも重要です。
しきんぼう周辺の筋引き

しきんぼう上面には薄い筋があります。
薄い筋は切れやすいため、力任せにナイフを動かすのではなく、筋の下をナイフが通るように細かく動かしながら引いていきます。
肉を削らず、筋だけを取ることがポイントです。

はばき上面の筋を引くときの注意点

はばき上面の筋は、しきんぼう付近まで処理します。
ここで筋を深く追いすぎると、しきんぼうの下まで肉が分離してしまいます。
そのため、小割前には必要以上にナイフを入れず、分割してから処理した方が作業しやすい筋は残しておきます。
「見えている筋はすべて取る」のではなく、
いつ取るのが最も歩留まりと作業性がよいのか
を考えることが大切です。

はばき・せんぼんすじ周辺の処理
ここからは、アウトサイドフラットを理解するうえで重要な、そともも全体の小割について解説します。
はばきの内側を整形する
はばきの内側を平らにし、筋の位置を確認してから表面の筋を処理します。
せんぼんすじの付け根付近には厚い筋があるため、赤身との境界を確認しながら取り除きます。

食い込んだ筋は処理する順番が重要
はばきの外側には、内部へ食い込んでいる筋があります。
こうした筋は、せんぼんすじを先に取り外すと処理しづらくなる場合があります。
そのため、筋の位置やつながりを確認し、作業しやすい順番で処理します。

せんぼんすじを分割する

せんぼんすじに沿って両側へナイフを入れ、筋の流れを確認しながら分割します。
力で切り離すのではなく、筋や肉の境界を確認しながら進めることで、余計な赤身を付けずに分割しやすくなります。
はばきを用途別に小割する

はばきは筋の位置を確認しながら小割します。
分割後に内側の筋を処理した方が、丸の状態で無理に筋を追うより作業しやすく、肉を崩しにくくなります。
歩留まりを落とさない整形で大切な3つの考え方
五十嵐商会が牛肉を加工する現場で重要だと考えているのは、単に「きれいに整形する」ことではありません。
1.脂肪を取りすぎない
必要以上に脂肪を削ると、赤身まで削りやすくなります。
2.筋を追いすぎない
深く入り込む筋を丸の状態で無理に処理すると、商品が崩れ、歩留まりも悪くなります。
3.用途を先に決める
すべてを同じ規格にするのではなく、
- 薄切り向け
- 切り落とし向け
- 煮込み向け
- こま材
- ミンチ原料
など、肉質に合わせて用途を決めることで、一つのブロックを無駄なく活用しやすくなります。
牛肉の原価を見るときは、仕入単価だけではなく、
実際に商品として販売できる重量と用途
まで考えることが重要です。

アウトサイドフラットは「硬い=使えない部位」ではない
アウトサイドフラットは、サーロインやヒレのような柔らかさを目的とした部位ではありません。
しかし、
- 肉目
- 厚み
- 筋
- 脂肪
- 用途
を理解して分割すれば、さまざまな業務用原料として活用できます。
特に、仕入単価だけで判断せず、ブロック全体からどれだけ販売可能な商品を取れるかを見ることで、部位の価値は大きく変わります。
五十嵐商会では、枝肉の仕入れから脱骨、部分肉加工、販売まで行ってきた経験をもとに、部位ごとの特徴や用途、歩留まりを考えながら牛肉を扱っています。
業務用牛肉の仕入れをご検討中の方へ
五十嵐商会では、ホルスタイン経産牛を中心とした国産牛肉を、飲食店・精肉店・惣菜製造業者・食品メーカー向けに取り扱っています。
販売は基本的にブロックでの対応となります。
用途、必要量、加工方法、原価や歩留まりを考えながら、自社に合う部位をご検討ください。
よくある質問
- アウトサイドフラットとはどこの部位ですか?
-
そとももを分割した際に取れる「なかにく」にあたる部位です。地域によって「なかしき」「そとひら」などと呼ばれることがあります。
- アウトサイドフラットは硬い肉ですか?
-
赤身主体で、やや硬さのある部位です。ただし、同じブロックでも厚さや肉目が異なるため、用途に合わせて分割することで活用範囲が広がります。
- どのような料理に向いていますか?
-
カレー、煮込み、切り落とし、こま材、ミンチ原料などに利用できます。肉厚な部分は、購入後に肉目を考えて薄切り加工する方法もあります。
- 筋はすべて取り除いた方がよいですか?
-
必ずしもそうではありません。小割前に内部の筋まで追いすぎると、肉が崩れて商品化しにくくなることがあります。表面で処理する筋と、小割後に処理する筋を分けることが重要です。
- 筋はすべて取り除いた方がよいですか?
-
基本的にはブロックでの販売です。記事内の薄切り・スライスは、購入後の活用方法として紹介しています。
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まとめ
アウトサイドフラットは、そとももの「なかにく」にあたる赤身主体の部位です。
肉質はやや硬めですが、肉の厚みや肉目を確認し、用途ごとに分割することで、煮込み、切り落とし、こま材、ミンチ原料など幅広く活用できます。
また、整形では「脂肪を取りすぎない」「筋を追いすぎない」「小割後に処理する筋を見極める」ことが、歩留まりを守るうえで重要です。
部位の価値は、単純な仕入価格だけでは決まりません。
一つのブロックを、どのように分割し、どの用途へ振り分け、どれだけ販売可能な商品へ変えられるかまで考えることが、業務用牛肉の原価管理では重要になります。



