「ポイントデックルオフ」は、輸入牛のブリスケット(胸部・前バラ側)に関するカット規格の呼び名です。国内の「かたばら」「まえばら」と名前が似ていても、切り分ける範囲や残る脂肪・筋が同じとは限りません。
この記事では、オーストラリアの規格と国内の前バラ加工例を区別し、写真をもとに小割り・筋引き・料理用途を説明します。
仕入れでは、商品名だけで判断せず、肋骨位置、整形規格、脂肪の残り方、重量・注文単位を確認してください。
この記事を読むとわかること
- 前バラの特徴を解説
- 前バラの商品の作り方を解説
- 前バラの商品例を解説
以上になります。
では、前バラについて深掘りしていきます。
ポイントデックルオフとは?国内の「かたばら」との違い

ポイントデックルオフは豪州のブリスケット側の製品規格です。日本の「かたこぶ」という現場呼称と、必ずしも同一の分割・整形範囲ではありません。
豪州食肉ハンドブックでは「BRISKET POINT END – DECKLE OFF」と記載され、ナーベルエンドの切り分け、デックルなどの除去、指定する肋骨位置が規格の要点です。オーストラリア産食肉ハンドブックで正式な整形条件を確認できます。
「かたばら」の特徴と用途

「かたばら」の特徴
内側かぶりと赤身肉の間に脂肪が入り込んでいるこの部位は、肉質はほとんど硬いが柔らかい部位もあります。
味があり、焼き肉として可能な部分もあります。
まえばらでも質のよいものは脂肪交雑がはいっているものもあります。
「かたばら」部位の用途
すき焼き、シチュー用、コマ材に使用可能です。
「まえばら」部位の商品づくり
まえばらは商品づくりの難しい部位です。というのは、肉付きが薄く脂肪の多い部分や肉付きが厚く脂肪の少ない部分があり、柔らかさにも差があります。
したがって、商品価値においてかなりの差があるから、その価値を生かした商品づくりをしなくてはなりません。
小割りせずに丸ごとの商品づくり

写真の加工例では、ともばらとの境目や赤身の厚さを確認して分割し、赤身肉と内側かぶり部分を用途に応じて分けます。筋・脂肪は希望する規格に合わせて整形し、必要に応じて切り落とし材へ組み合わせます。固定の切断距離をすべての商品へ適用しないでください。 単品で商品化するか、別の部位と合わせるかは、使用可能な重量・整形ロス・用途と販売規格で判断してください。
真ん中部分の商品づくり
スライスしてすきやき、しゃぶしゃぶ、シチュー用に単品で商品づくりができます。
あたま部分の商品づくり

あたまの部分は多い目に残し、赤身肉、外側かぶり、内側のかぶり、あたま部分とに小分割し、それぞれ脂肪を取り除きます。
- 赤身肉は上切り落とし、焼き肉、ミニステーキ、十分に加熱する焼き物用に。
- 外側かぶりは(サシがある場合)、シチュー、切り落とし材料に。
- 内側かぶり・あたま部分は、切り落とし、カレー用に。
こうして分けて使うと、単調なスライス一辺倒の商品づくりより、多品目の商品が生まれ、扱いにくいといわれるまえばら部位も有効的に商品づくりができます。

まえばら部位の分割と整形
部位の分割と整形については、通常は部位と部位との間に分かれる箇所があり肉質自体も変化することから料理の用途にあわせて分割していきます。
赤身とかぶりでは肉質そのものが違いますので分けていきます。
内側かぶりと赤身肉を分割します。

内側かぶりに脂肪をつけてかぶり部位を切り離します。
赤身肉と外側かぶりを分割します。

赤身に沿って、外側かぶりを切り離します。
まえばら部位赤身肉の商品化

まえばら部位赤身肉の特徴
まえばら部位の赤身肉は、大きくて薄い部位。
いちぼ部位と同じように柔らかさ、味が極端に異なっています。
ともあばら側は肉質が硬めで味が落ちます。
あたま部位(細い方の3分の1)は、柔らかくて風味が良く、この美味しいあたま部分だと同じ枝肉のしんたま部位に比べて、ブリスケットの方がやわらく味があります。
それほど価値が高い部分です。
いちぼ部位についての解説はこちら!
まえばら部位赤身肉の用途

細い部分でも、実際の筋・脂肪や肉質を確認して、十分に加熱する焼き物、ミニステーキ、切り落とし、すき焼きなどの用途を検討します。一般の加熱用牛肉を、生食や加熱不十分なたたき用に提供してよいという意味ではありません。
とくにシチューに相性が良いです。(ともばら側の硬い肉)しゃぶしゃぶ、すきやき、シチュー、切り落とし、薄めに切って焼き肉用に。

まえばら部位外側かぶりの商品づくり
まえばら部位外側かぶりの特徴
まえばら部位外側かぶりのは、内面に薄く脂肪が覆われていますが、赤身肉です。
この部位は、サシが入りやすく見栄えはいいですが、肉質は目の粗い独特な部分なので、硬くて味が淡白です。
とくに薄い部分は非常に硬いです。

☓の部分と上の肉の薄いところは特にかたい。
印の部分がシコリ状になっているものは、とくに硬いからここを取り除き、合い挽き肉したほうがよいです。
全体的に肉質が硬いから、なるべく薄めに切る。
肉薄の部分は特に硬いので挽肉かカレー用に。

まえばら部位の内側かぶり部分の商品づくり
次に部位の分割からそれぞれの特徴についてご紹介していきます。
まえばら部位の内側かぶり部分の特徴

平たい脂肪の多い部位ですが、味が良いです。脂肪が多すぎるため単品での商品化は難しい。
まえばら部位の内側かぶり部分の用途
小間切れ材または、カレー用に。どちらも赤身肉とあわせて切る。
まえばらの雑肉部分の商品づくり

まえばらの雑肉部分の特徴
小さくて平たい肉片で、適度に脂肪があります。又、硬いので、商品価値が低いです。
まえばらの雑肉部分の用途
主に挽肉材。肉厚の品であってもカレーか肉じゃが用(小間切れまで)まで。 ※単品では商品にむかない。
まえばらのあたま部分の商品づくり

まえばらのあたま部分の特徴
脂肪が多く、肉薄の硬い肉質。商品価値が低いです。
まえばらのあたま部分の用途

分割して脂肪を取り除き、切り落とし、カレー用に。図の赤身肉は、サシがはいりやすく、切り落とし用にすると見栄えのいい商品が作れます。
あたま部分は、単品での商品づくりを避けた方よいと思います。
まとめ
料理のよって商品づくりのポイントが変わりますが、海外でもそのような方法で商品化されており、独自のカットの方法があるようです。
ただ、海外規格と国内の加工・取引規格では、切り分ける位置や整形条件が異なる場合があります。単純な優劣ではなく、求める用途と納品規格で比較してください。
現場では、筋・脂肪の除去範囲を先に決め、使用できる赤身を必要以上に削らないことが商品価値と歩留まりにつながります。
また、筋引きには2つの方法があり、まず一つの部位を先にバラバラに小分割してから、すじを引く方法。
2つめは、はじめにまわりのすじを引きけるだけ引いて、小分割のときにそのすじを利用して、分割するすじには手をつけないで残す方法があります。
どちらの工程が適切かは、整形後の形状、加工設備、作業時間、使用可能重量、納品先の規格によって判断します。
業務用で仕入れる前に確認すること
ポイントデックルオフや前バラを業務用で選ぶ際は、用途(牛丼・肉うどん・煮込み・薄切りなど)、整形状態、筋と脂肪の除去範囲、1本当たり重量、最低注文単位、価格・送料・冷蔵冷凍・在庫・納期を商品ごとに確認してください。
五十嵐商会の取扱商品はMマートの商品一覧から確認できます。常時販売や特定規格の在庫を保証するものではありません。用途・必要数量・納品地域を添えてご相談ください。
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