牛ホルモンを仕入れるとき、部位名だけで注文すると、届いてから洗浄・皮むき・脂取りや加熱が必要になり、予定したメニューや仕込み時間と合わないことがあります。
このページでは、牛の副生物を部位・器官・用途から整理します。食材の「ホルモン」は内臓などを指す流通上の呼び名で、医学のホルモンという物質と同じ意味ではありません。写真は部位の説明用であり、当社が全品目を常時供給していることを示すものではありません。
下処理と安全な加熱は分けて考える
血管や膜を除くこと、水洗い、短い湯通しだけで食中毒を防げるわけではありません。牛レバーは内部にも病原菌がいることがあり、血管の除去で安全になるものではありません。生食用としての販売・提供は禁止されています。
加熱用の内臓は中心部まで十分に加熱します。目安は中心温度75℃で1分間以上、またはこれと同等以上の加熱です。表面の焼き色、鮮度、色や臭い、和牛かどうかだけで安全は判断できません。厚生労働省の加熱の注意点、東京都の生食用食肉・牛レバーの説明もご確認ください。
生肉を家庭で一律にもみ洗いする手順は勧めません。水はねでシンクや他の食品を汚染するおそれがあります。商品に指定された下処理を確認し、生肉用と加熱後用の器具・皿を分け、手や作業台を清潔に保ちます。「洗浄済み」「ボイル済み」も、そのまま食べられるという意味とは限りません。
部位・器官と料理用途の一覧
呼び名や脂の残し方は地域・取引先で異なります。以下は用途を考えるための整理です。硬さや脂の量は個体、部位内の位置、整形状態、加熱条件で変わります。
| 呼び名 | 部位・器官 | 用途を決めるときの確認点 |
|---|---|---|
| タン・ほほ肉 | 舌・頭部の筋肉 | 皮・筋・脂の除去、焼肉用か煮込み用か |
| ハツ・レバー | 心臓・肝臓 | 膜や血管等の処理状態、加熱用であること |
| ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラ | 順に第1・第2・第3・第4胃 | 皮むき・洗浄・ボイルの有無、最終加熱の指示 |
| 小腸・大腸・直腸・盲腸 | 消化管 | 開き・洗浄・脂付き・カット・加熱の状態 |
| ハラミ・サガリ | 横隔膜の筋肉 | 部位の範囲、膜・筋と脂の除去 |
| アキレス・テール | 腱・尾 | 骨や腱の有無、カット寸法、煮込み条件 |
牛タン
牛の舌で、網焼きやタンシチューなどに使います。タン先からタン元まで、筋・脂・厚みに違いがあります。焼肉と煮込みに分ける境目は、実際の肉質と商品規格を確認して決めます。
皮付き、皮むき、ブロック、スライスでは仕込みの負担が異なります。「上タン」等の名称だけでなく、使用する位置や整形範囲を注文先に伝えましょう。

ほほ肉
牛のほほの筋肉です。「かしら」「天肉」等の呼称もありますが、頭部のどこを含むかは取引先で確認してください。筋の状態に応じて赤ワイン煮などの煮込みに用います。
脂・筋の量、内側・外側等の商品範囲は現品と仕様で確認します。過去のBSE関連の説明だけで、現在の供給品目や規制範囲を判断しないようにしましょう。

ハツ
牛の心臓です。歯ごたえを活かした焼肉や炒め物などに使います。膜、血管、脂の処理と厚みを用途に合わせて確認し、中心まで加熱します。
特定の症状の改善や疲労回復を目的とする食材としては扱いません。食感や食べやすさも、切り方と調理条件で変わります。

レバー
牛の肝臓です。独特の風味があり、焼肉や炒め物等に使います。薄い膜や太い血管の除去は食感・仕上がりのための処理で、殺菌ではありません。
内部の菌は見えず、洗浄や血管除去では取り除けません。表面だけを焼く提供は避け、中心温度と時間を確認して十分に加熱してください。生肉に触れた箸やトングを、そのまま食べるための器具にしないことも大切です。

ミノ
牛の第1胃です。肉厚な部分を上ミノとして扱うことがあります。皮や筋の除去、切り込みの有無で、仕込みや食感が変わります。
焼肉・煮込み等の用途に合わせ、処理済みか未処理かを確認します。切り込みを入れるだけで安全になるものではなく、加熱は別に管理します。

ハチノス
牛の第2胃です。蜂の巣のような内壁が特徴で、煮込み料理などに使います。洗浄や下ゆでの状態によって、購入後の工程が大きく変わります。
生、下ゆで済み、調理済みを区別し、商品の表示・加熱指示に従います。胃の中で一番おいしい、といった一律の順位では選ばず、料理に合う食感と規格で選びましょう。

センマイ
牛の第3胃です。重なるひだと独特の歯触りがあります。皮の処理やボイルの有無、色や仕上がりの仕様を確認してください。
白く処理された見た目や「ボイル」の表示だけで、そのまま食べられるとは判断しません。必要な最終加熱と保存条件は商品ごとに確認します。

ギアラ
牛の第4胃で、アカセン、アカセンマイなどとも呼ばれます。ひだがあり、脂の残り方で食感や味の印象が変わります。
焼肉や煮込みの用途、脂付き・脂取り、開き方や切り方を確認し、中心まで加熱して使います。

ハラミとサガリ
いずれも横隔膜の筋肉ですが、ハラミは肋骨側の部分、サガリは腰椎側につながる部分として区別されます。地域や取引先によって呼び分けが異なることがあるため、単純な上部・下部だけで注文しないようにしましょう。
米国食肉輸出連合会の各国呼称表では、アウトサイドスカート(121C)をハラミ、ハンギングテンダー(1765)をサガリとしています。同表には別規格のスカートの記載もあるため、輸入品は国・コード・筋肉の範囲を確認します。膜や太い筋の除去、厚みを焼肉等の用途に合わせます。


小腸(ショウチョウ)
ヒモ、マルチョウ等とも呼ばれる小腸です。脂を残すか、開いて処理するかで商品状態が異なります。焼肉や煮込みに使う際は、内側の処理、脂の量、下ゆでの有無を確認しましょう。
生のものも加熱済みのものもあるため、「モツ」という商品名だけで処理状態を決めつけないことが大切です。

大腸(ダイチョウ)
シマチョウ、テッチャン等とも呼ばれる大腸です。焼肉、炒め物、味噌煮などの用途があります。脂付き・脂取り、開き・カットの状態に加え、必要な加熱を確認します。
小腸との硬さや味の序列は一律ではありません。脂の残し方や加熱条件が、食感と仕込み時間に影響します。

直腸(チョクチョウ)
テッポウ等の呼称がある直腸です。開き方や洗浄・脂取り・カットの状態を確認し、用途に応じて十分に加熱します。名称が同じでも畜種が異なる商品があるため、「牛」であることも確かめてください。

盲腸(モウチョウ)
消化管の一部で、煮込み等に使われるほか、加工用途もあります。食用のカット原料とケーシング等の加工用規格を同じものと考えず、用途、処理状態、必要な加熱を注文先に確認します。

アキレス
アキレス腱などの腱を扱う食材名です。胃や腸のような臓器とは区別します。煮込みやおでんに使い、加熱によって食感が変わります。
未加熱の硬い腱を切る作業は負担が大きいため、調理設備と作業技術に合うカット規格を選びましょう。煮込み時間は大きさと仕上がりで変わり、加熱・保存管理も別に必要です。

テール
牛の尾で、骨・筋肉・結合組織を含みます。骨付きの煮込みやスープなどに使います。関節ごとの切り方、1片の大きさ、脂や骨の割合を確認します。
見かけのkg単価だけでなく、骨等を除いた使用量と仕込み時間を考えて選びましょう。生の骨付き原料の切断には、適した設備と安全な作業条件が必要です。

仕入れ前に確認したい処理状態・冷蔵条件
- 部位・畜種・原産地、商品名が含む筋肉や器官の範囲。
- 洗浄・皮むき・血管や膜の除去・脂取り・カットの有無。
- 生、下ゆで済み、加熱調理済みの区別と、購入後の加熱指示。
- 冷蔵・冷凍の別、表示された保存温度・期限、解凍方法、開封後の扱い。
- 納入重量、ロット、税・送料、在庫、出荷と到着予定、返品等の条件。
整形で除く部分、加熱で減る重量、骨等の食べられない部分を分けて評価すると、1皿当たりの原価を比べやすくなります。未実測の歩留まりを一定値として置かず、実際の仕込みで量を記録しましょう。冷蔵や加熱は、期限超過や不適切な温度管理を帳消しにするものではありません。
部位名だけでなく、必要な処理状態とメニューの用途を整理してから仕入れを検討しましょう。業務用牛肉をお探しの事業者の方は、五十嵐商会のMマート商品一覧で、現在の用途・規格・ロット・不定貫重量・税込金額・送料・在庫・出荷日と到着見込みをご確認ください。
バナーは当社の商品一覧への案内です。掲載部位・内臓・完成料理や、スライス・小分け等の加工対応を保証するものではありません。Mマートは事業者・団体等を対象とする会員制の業務用市場です。購入者の利用条件をご確認ください。
まとめ
牛ホルモンは、部位・処理状態・加熱条件までそろえて比較することが大切です。写真を手掛かりに現品の仕様を確かめ、下処理と安全な最終加熱を分けて管理してください。
参照資料
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