ミスジステーキの筋切り・下処理|中央の筋の取り方と切り方

牛肉のみすじ

ミスジステーキを焼いたときに、「赤身は柔らかいのに、中央の筋だけが噛み切れない」と感じたことはないでしょうか。

ミスジは柔らかい牛肉として紹介されることが多い部位ですが、肉の中央に太い筋が入っています。この筋を処理せずに厚切りステーキへすると、部分的に硬さを感じる原因になります。

ミスジをおいしく食べるために重要なのは、肉全体をたたいたり、長時間漬け込んだりすることだけではありません。

まず確認するべきなのは、次の3点です。

  • 中央の筋を取り除くか、筋切りするか
  • 肉の繊維をどの方向へ切るか
  • 肉の厚さに合った加熱をするか

この記事では、国産牛を枝肉で仕入れ、脱骨・整形している五十嵐商会が、ミスジステーキの筋切り、中央の筋の取り方、繊維を断つ切り方について解説します。

目次

結論|ミスジの中央の筋は厚さと用途によって処理を変える

ミスジの中央にある筋は、必ずすべて取り除かなければならないわけではありません。

肉の厚さや使用する料理によって、筋を取り除くか、筋切りして残すかを判断します。

使用方法中央の筋の処理
厚切りステーキ筋を取り除くか、細かく筋切りする
薄めのステーキ中央の筋へ複数の切り込みを入れる
焼肉繊維を断つ方向へ切り、筋にも切り込みを入れる
炒め物薄く切り、繊維を短くする
煮込み筋を残して活用できる場合がある
業務用ブロック用途、食感、歩留まりを考えて除去を判断する

ミスジ全体が硬いわけではありません。

ミスジの赤身部分は比較的柔らかい傾向がありますが、中央の太い筋、繊維方向、肉の厚さ、加熱時間によって、硬く感じることがあります。

和牛 ミスジの部位

ミスジブロック。中央を走る筋の太さや形を確認し、筋切りまたは筋の除去を判断します。

ミスジとはどのような部位なのか

ミスジは、牛の肩甲骨周辺から取れる部位です。

一頭の牛から取れる量が限られており、赤身の味と適度な脂を楽しめる部位として、ステーキや焼肉に使用されています。

ただし、ミスジの名称は、肉の中に3本の筋が見えることに由来するといわれています。

特に肉の中央にある筋は、赤身部分よりも硬く、厚切りステーキでは噛み切りにくさにつながる場合があります。

そのため、「ミスジは柔らかい部位だから、下処理をしなくてもよい」と判断するのは適切ではありません。

現物を確認し、筋の太さと使用方法に合わせて処理する必要があります。

ミスジステーキが硬くなる3つの原因

1.中央の太い筋が残っている

ミスジの赤身部分が柔らかくても、中央の筋が太い場合は、その部分だけ噛み切りにくくなります。

特に厚切りステーキでは、筋の厚みも残るため、食べたときにゴムのような食感を感じることがあります。

筋が比較的細い場合は、包丁で切り込みを入れる筋切りで対応できます。

一方、筋が太い場合や、高価格帯のステーキとして提供する場合は、中央の筋を取り除いた方が食べやすくなります。

牛肉のみすじ
みすじの特徴は中心にすじがあり、すじを中心から放射しながら繊維が広がる

2.肉の繊維に沿って切っている

牛肉は、筋繊維が一定の方向へ走っています。

この繊維と同じ方向に切ると、一口当たりの繊維が長く残り、噛み切りにくくなります。

ミスジをステーキや焼肉へ加工する場合は、肉の表面や断面を確認し、繊維に対して直角になるように切ります。

3.加熱しすぎている

ミスジの赤身部分は、加熱しすぎると水分が抜けて硬くなります。

筋切りや筋除去を正しく行っていても、長時間焼き続けると、赤身部分がパサつきやすくなります。

肉の厚さに合わせて加熱時間を調整することが重要です。

ミスジステーキの筋切り方法

中央の筋を残したままステーキへする場合は、筋に切り込みを入れます。

筋切りの目的は、加熱したときに肉が反り返ることを防ぎ、中央の筋を噛み切りやすくすることです。

手順1.中央の筋の位置を確認する

まず、肉の中央を走っている白い筋を確認します。

肉によって筋の太さや位置は異なります。表面から見えにくい場合は、肉の断面も確認してください。

ミスジの中央にある筋。この筋が厚切りステーキの噛み切りにくさにつながる場合があります。

手順2.表面の膜を確認する

肉の表面に硬い膜が残っている場合は、包丁を寝かせて取り除きます。

膜を取るときは、赤身を厚く削りすぎないように注意します。

手順3.包丁の先端で筋へ切り込みを入れる

包丁の先端を使い、中央の筋に対して複数の切り込みを入れます。

赤身全体を切断するのではなく、硬い筋を狙って切ることがポイントです。

肉が厚い場合や筋が太い場合は、表面だけでなく裏面からも筋の状態を確認します。

包丁の先端を使い、赤身を切断しないように中央の筋へ切り込みを入れます。

手順4.肉の形を整える

筋切り後に肉の厚さや形を確認します。

肉の厚さが極端に異なると、焼き上がりに差が出ます。必要に応じて形を整えます。

筋切りするときの注意点

  • 赤身まで深く切りすぎない
  • 肉を完全に切断しない
  • 筋の位置を確認してから包丁を入れる
  • 切り込みの間隔を極端に広くしない
  • 筋切り後に肉の形が崩れていないか確認する

筋切りの深さや間隔は、肉の厚さや筋の状態によって変わります。

一律の回数で判断するのではなく、現物を見て調整してください。

ミスジの中央の筋を取り除く方法

中央の筋が太い場合は、筋切りだけでは食感が残ることがあります。

厚切りステーキや、食べやすさを重視する商品では、中央の筋を取り除く方法があります。

手順1.中央の筋に沿って包丁を入れる

筋と赤身の境目を確認し、筋に沿って包丁を入れます。

包丁を筋の方向へ沿わせることで、赤身を削りすぎることを防ぎます。

手順2.片側の赤身を外す

中央の筋から片側の赤身を外します。

一度に深く切るのではなく、筋の位置を確認しながら少しずつ包丁を進めます。

手順3.反対側の赤身も外す

筋の反対側も同じように外します。

中央の筋を取り除くと、ミスジの赤身部分が左右に分かれます。

手順4.筋除去後の形状を確認する

筋を取り除いた後は、左右の赤身の大きさと形状を確認します。

形のよい部分はステーキや焼肉に使用し、小さい部分や端材は炒め物、切り落とし、煮込みなどへ振り分けます。

筋に沿って包丁を進め、赤身を削りすぎないように中央の筋を取り除きます。

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中央の筋を取り除いた後の赤身。大きさや形に応じて、ステーキ、焼肉、切り落としなどへ用途を分けます。

ミスジの筋は取るべきか、残すべきか

ミスジの筋を取るか残すかは、食感だけでなく、商品歩留まりも考えて判断します。

筋を取り除いた方がよい場合

  • 厚切りステーキにする
  • 高価格帯のメニューに使用する
  • 食べやすさを優先する
  • 中央の筋が特に太い
  • 筋切りだけでは噛み切りにくい

筋切りして残せる場合

  • 薄めのステーキにする
  • 焼肉へ使用する
  • 中央の筋が比較的細い
  • 商品として使える重量を確保したい
  • 料理全体の原価を抑えたい

筋を残して活用できる場合

  • 煮込み料理
  • カレー
  • 牛肉のしぐれ煮
  • 長時間加熱する惣菜
  • 筋や端材を活用する加工商品

筋を取り除けば食べやすくなりますが、その分、ステーキや焼肉として販売できる重量は減ります。

業務用でミスジを仕入れる場合は、食感と歩留まりの両方を考えることが重要です。

ミスジを柔らかくする切り方

筋切りだけでなく、肉の切る方向も食感に影響します。

肉の繊維方向を確認する

肉の表面を見ると、細い線のように繊維が走っています。

分かりにくい場合は、肉の断面や端の部分を確認します。

繊維に対して直角に切る

肉の繊維に対して直角に包丁を入れることで、一口当たりの繊維を短くできます。

繊維に沿って切ると、噛んだときに長い繊維が残り、硬く感じやすくなります。

【画像:繊維方向を示した写真】

ホルスタインのミスジ

肉の繊維方向を確認し、繊維に対して直角に切ることで、一口当たりの繊維を短くします。

用途によって切り方を変える

ステーキ

肉の厚さと筋の状態を確認して切ります。

厚切りにする場合は、中央の筋を取り除くか、十分に筋切りします。

焼肉

繊維を断つ方向へ切り、中央の筋にも切り込みを入れます。

筋が太い部分は、筋を避けて商品化する方法もあります。

炒め物

繊維を断つ方向に薄く切ります。

一口大や短冊状にそろえることで、加熱時間を統一しやすくなります。

煮込み

筋や端材も含め、加熱時間に合わせて大きさをそろえます。

大きさが不ぞろいだと、柔らかくなるまでの時間に差が出ます。

筋切りしてもミスジが硬い場合の対処方法

筋切りをしても硬く感じる場合は、次の原因を確認します。

  • 中央の筋が切れていない
  • 筋が太く、筋切りだけでは処理できない
  • 繊維方向に沿って切っている
  • 肉が厚すぎる
  • 加熱しすぎている
  • 表面の硬い膜が残っている

対処方法は次のとおりです。

  • 中央の筋を取り除く
  • 肉を薄く切る
  • 繊維を断つ方向へ切り直す
  • 加熱時間を短くする
  • 焼肉や炒め物へ用途を変える
  • 煮込みやカレーへ使用する

ミスジだけでなく、硬い牛肉全般の対処方法については、次の記事で詳しく解説しています。

【内部リンク:硬い牛肉を柔らかくする方法|牛バラ・薄切り・ブロック肉別に解説(/580/)】

ミスジステーキを焼くときのポイント

筋切りや筋除去を行った後は、加熱しすぎないことが重要です。

基本的な手順は次のとおりです。

  1. 焼く前に肉表面の水分を拭き取る
  2. フライパンを十分に温める
  3. 肉の表面を焼く
  4. 肉の厚さに合わせて火力を調整する
  5. 加熱しすぎない
  6. 焼いた後に少し休ませる
  7. 食べるときも繊維を断つ方向へ切る

焼き時間は、肉の厚さ、温度、フライパン、火力によって変わります。

時間だけで判断せず、肉の状態を確認しながら加熱してください。

カラっと焼きあがったミスジ
カラっと焼きあがったミスジ

業務用ミスジブロックを仕入れる際の確認項目

五十嵐商会では、ミスジを基本的に業務用ブロックで販売しています。

スライス加工には対応していません。

購入後に筋引き、筋切り、カットを行う飲食店、精肉店、食品加工事業者向けの商品です。

業務用ミスジを仕入れる際は、kg単価だけでなく、次の項目を確認します。

  • 冷蔵または冷凍
  • ブロックの重量
  • 整形状態
  • 中央の筋の太さ
  • 表面の膜や脂肪
  • 筋除去後の歩留まり
  • ステーキとして使える重量
  • 焼肉や切り落としへ使える重量
  • 端材の使用方法
  • 必要数量
  • 納品地域
  • 希望納期

同じ重量のミスジでも、筋や膜の状態によって、商品として使える重量は変わります。

ミスジブロックは筋除去後の原価で判断する

業務用牛肉は、表示されている仕入単価だけで判断してはいけません。

筋、膜、脂肪などを除去した後に、実際に商品として使える重量を確認します。

使用可能部分の原価は、次の考え方で計算します。

使用可能部分原価=ミスジブロックの仕入総額÷商品として使用できる重量

例えば、次の条件で計算します。

  • 仕入重量:10kg
  • 仕入単価:税抜2,000円/kg
  • 仕入総額:税抜20,000円
  • 筋や膜を除去した後の使用可能重量:8.5kg

この場合の使用可能部分原価は、

税抜20,000円÷8.5kg=税抜約2,353円/kg

となります。

仕入単価は税抜2,000円/kgでも、実際に商品として使える部分の原価は税抜約2,353円/kgです。

これは計算方法を説明するための仮定例であり、実際の販売価格や歩留まりを示すものではありません。

実際の原価を計算するときは、送料、加工時間、包装資材、保管費、端材の販売価格なども確認します。

端材まで使い切ることで利益が変わる

ミスジの中央の筋を取り除くと、ステーキとして使えない部分が発生します。

しかし、筋や小さな赤身をすべて廃棄する必要はありません。

端材は、次の用途へ活用できます。

  • 牛肉カレー
  • 煮込み
  • 炒め物
  • 牛肉のしぐれ煮
  • 切り落とし
  • 惣菜原料
  • ひき肉原料

ミスジブロックの利益は、ステーキ部分だけでは決まりません。

ステーキ、焼肉、切り落とし、煮込みなど、部位全体を複数の商品へ振り分けることで、原料全体の価値を高められます。

五十嵐商会がミスジを見るときのポイント

五十嵐商会では、国産牛を枝肉で仕入れ、脱骨・整形して部分肉へ加工しています。

ミスジを確認するときは、次の点を見ています。

  • 中央の筋の太さ
  • 赤身部分の厚み
  • 肉のきめ
  • 脂肪の付き方
  • 表面の膜
  • 筋除去後の形
  • ステーキとして取れる部分
  • 焼肉や切り落としへ回せる部分
  • 筋や端材の使用方法
  • 整形後の歩留まり

同じミスジでも、牛の個体によって、筋の太さや赤身部分の形は異なります。

「ミスジだから必ず柔らかい」と一律に判断するのではなく、現物を確認し、筋処理と使用方法を決めることが重要です。

よくある質問

ミスジの中央の筋は食べられますか

食べることはできますが、厚切りステーキでは硬く感じる場合があります。

筋が太い場合は取り除き、比較的細い場合は筋切りして使用します。

ミスジステーキは筋切りが必要ですか

必ずすべて取り除く必要はありません。

肉の厚さ、使用メニュー、筋の太さ、食感、歩留まりによって判断します。

中央の筋が残っている場合は、筋切りまたは筋の除去が必要です。

特に厚切りステーキでは、筋の太さを確認してください。

ミスジが硬いのは品質が悪いからですか

品質だけが原因ではありません。

中央の筋、繊維方向、肉の厚さ、加熱時間によって硬く感じることがあります。

ミスジはどの方向へ切りますか

基本的には、肉の繊維を短くするため、繊維に対して直角に切ります。

筋切りをしても硬い場合はどうしますか

中央の筋を取り除く、肉を薄く切る、繊維を断つ方向へ切る、加熱時間を短くするなどの方法があります。

ステーキに向かない部分は、焼肉、炒め物、煮込みへ用途を変える方法もあります。

五十嵐商会ではミスジをスライスして販売していますか

五十嵐商会では、基本的に業務用ブロックで販売しています。

スライス加工には対応していません。

ミスジブロックの在庫や重量を確認できますか

在庫、重量、冷蔵・冷凍、整形状態は、入荷状況によって異なります。

使用メニュー、必要数量、納品地域、希望納期を添えてお問い合わせください。

まとめ|ミスジは中央の筋と繊維方向を確認する

ミスジは、赤身部分が柔らかくても、中央の筋が噛み切りにくさの原因になることがあります。

ミスジステーキを調理するときは、次の順番で確認してください。

  1. 中央の筋の太さを確認する
  2. 筋を取り除くか、筋切りするか決める
  3. 表面の硬い膜を確認する
  4. 肉の繊維方向を確認する
  5. 繊維を断つ方向へ切る
  6. 肉の厚さに合わせて加熱する

厚切りステーキでは、中央の筋を取り除いた方が食べやすい場合があります。

薄めのステーキや焼肉では、筋へ切り込みを入れて使える場合があります。

業務用ミスジブロックを仕入れる場合は、kg単価だけでなく、筋除去後の歩留まり、ステーキとして使える重量、端材の活用方法まで確認することが重要です。

業務用ミスジブロックをお探しの方へ

五十嵐商会では、国産牛を中心に、飲食店、精肉店、惣菜製造業者、食品メーカー向けの業務用牛肉を取り扱っています。

ミスジブロックについて、次のようなご相談に対応します。

  • ミスジブロックの在庫を確認したい
  • 冷蔵・冷凍の状態を確認したい
  • ブロックの重量を確認したい
  • ステーキ用に使えるか相談したい
  • 焼肉や惣菜用として使用したい
  • 筋除去後の歩留まりを考えて仕入れたい
  • 用途に合う牛肉部位を相談したい

五十嵐商会では、基本的にブロックで販売しており、スライス加工には対応していません。

在庫、重量、整形状態、必要数量、納品地域、希望納期については、お問い合わせください。

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該当するミスジ商品をMマートで販売している場合のみ、次の導線を設置します。

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五十嵐商会では、国産牛ホルスタイン経産牛を中心に、飲食店・精肉店・惣菜製造業者・食品メーカー向けの業務用原料を取り扱っています。

用途、部位、歩留り、原価管理を確認しながら、自社に合う商品をご検討ください。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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