畜産市場エム―マートの食材を扱う前に抑えておくべきカットの仕方とは?(国産牛・和牛)

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業務用市場にエムマートにおいて、業務用であるからこそ牛肉の販売方法が「部分肉」となっています。

今回は、「部分肉」の取り扱いには留意すべきポイントがいくつかありますのでご紹介していきます。

目次

牛肉の作業工程にはそれぞれのカットや取り扱いに注意しておくべきことがあります

エムマート(業務用食材卸売市場)において、牛肉の販売形態のほとんどは部分肉となります。

中には、ある程度整形や分割されたものがありますが、ここでは、そのエムマート市場において販売されている部分肉を取り扱う前に抑えておくべきポイントがありますので、是非参考にしていただきたいと思います。

精肉段階でのおいしさの提供は、視覚に訴える売り場づくり、商品づくり、盛り付け技術と肉の発色状態にあります。

肉の色は、肉中に含まれている色素タンパク質ミオグロビンと血液由来のヘモグロビンによるもので、肉中の割合はほぼ7:3です。

新鮮な肉の切り口は、ミオグロビンによる紫赤色を呈し、空気に触れることにより明るい赤色に変化します。

この現象をブルーミングと呼びます。これは、ミオグロビンが空気中の酸素と結合してオキシミオグロビンに変化するためです。またさらに長く放置しておくと肉色は、赤色から褐色に変化します。

これは鉄イオンが酸化され、メトミオグロビンを形成するからです。このような肉色の変化の促進要因は、温度、紫外線、酸素、PH、熟成度具合、微生物の増殖程度などがあります

例えばオーストラリア産の牛肉等の日本までの輸送期間は約2~3週間程度(船便)です。この輸送期間中の食肉は低温熟成され、ユーザーに届けられます。

一般的に熟成期間における食肉の発色は、商品化後比較的早く、その分退色も早くなります。そこで肉色を少しでもブルーミング状態に保つためには、温度管理の徹底とドリップ除去が重要なポイントになります。

温度管理については、バックヤードでの部位の停滞時間を極力短くするため、原料部位は冷蔵庫から小出しにすることや商品化のスピードアップ、商品化後の即冷却の徹底、売り場での温度管理が重要です。

ドリップ除去は、包装開封後のドリップ除去はもちろんのこと、まな板上のドリップを極力つけないようにすることです。

また、冷蔵庫内に部位を保管する場合は、部位と部位を重ねることによる圧縮ドリップの産出を極力おさえるよう棚に部位を置くことも大切です。

食肉は、常に安定した品質ではりません。

必ず個体差がありますので、商品によってはドリップの産出があります。よって商品化する際は、下の写真のようにミートペーパーで包み、冷蔵庫で冷却します。

また、商品化したすべてのトレーに吸水紙を敷き、商品からのドリップ産出による見栄えの低下や変色の抑制にあたります

プライマルカットのポイントとは?

プライマルカットとは、枝肉を部位別に分ける作業から脱骨・整形、用途別に小割・すじひきする作業までの意味で、精肉商品づくり、つまりリテールカットの前処理という意味です。

この作業でポイントになることは、リテールカットの最終目的である用途にどのように小割・すじひきするかということです。

このことから各部位を肉質・食味(食感)別を考えるときには、部位を筋肉としてとらえ各部位が枝肉のどの部分にどのように付着していたかを考えることにより、その部位がどのように運動がどのように運動しているか(よく運動しているか、していないのかなど)や各部位を構成している筋肉(赤身)、脂肪、すじなどの構成割合などをポイントにします。

この意味から、部位を肉質・食味(食感)別に仕分け用途別にすることは、すじを境に分割し、小割部位毎に仕分けプライマルカットすることが大切になってきます。

リテールカットのポイントとは?

リテールカットは精肉商品づくりの意味です。

このリテールカットにより数々のアイテム(品目)が出来上がりますが、このリテールカットの目的は、第1に部位のおいしさを引き出すこと、第2に部位の特徴を活かし、用途にあった商品を提供をする、第3に売れる商品をつくることです。

つまり、リテールカットとは、ただ単に部位を切り身・スライス等の商品形態にするという意味ではなく、部位の特徴とそのおいしさを引き出し、用途別に商品を提供していくことです

このためにリテールカットのポイントとは、

      • 用途にあった部位を選択する
      • すじや脂肪の付着度合い(用途にあった柔らかさや味を引き出すため)
      • カットの方向(肉の繊維に対してどのように切るのかなど)
      • 厚さ(何センチ・何ミリなのか)と大きさ(サイズ、表面の面積)といことになります。

ただ部位を切れば商品になるという考え方を改め、この4つのポイントを頭に入れて、食べる方の商品づくり、商品開発を行い、おいしい肉を提供することが大切です。

まとめ

今回は、エムマートの市場において脱骨や部分肉についてのポイントを記載していきましたが、料理用途でどのようなものを作るのかが最大のカギになってきます。

  • 格安コーナー商品一例
    例えば、焼肉用にカットする場合は、硬いすじを引いていく作業は必要ですが、逆に煮込み用などに使われる場合は、引かなくてもよいこともあります。

また、繊維に対して直角に切る場合は、焼肉用が硬くならないように必要ですが、中華などであるように食感が必要なホイコーロなどは、繊維に沿ってカットします。

重要な事でもありますが、牛の肉質を見極める事が大切です。牛肉といえど元々は、生き物です。同じ人間でもそれぞれ違うように牛も似たようなものと感じますが、それぞれ個体差があります。

よって格付けように品質の基準はあるもののあくまでも基準であり、それぞれ安定したものがありません。

肉のきめ、肉質などを見極め、それぞれの使い方やカットの仕方が変更していく必要があります。難しいものではありますが、大切なことではありますので参考にしてください。

また、エムマート市場で購入を検討されている方には、格安コーナーを利用すると良いかもしれません。ここでは、お試し用で重量が小さいものや価格が割引になっているものが多数ありますので、是非とも活用してみてはいかがでしょうか。

創業100年牛肉博士
404: ページが見つかりませんでした | 創業100年牛肉博士 創業100年の国産牛肉卸の歴史と著者である代表が、企業の歴史の知識と著者が15年かけて関東、関西を中心に培ってきた知識と技術をもって牛肉のすべてを公開しているサイト...
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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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