牛うで(かた)の整形・すじ引き方法|20枚の工程写真と原価の見方

うで(かた)は筋肉の境目と筋の位置を確かめながら、使う料理に合わせて整形する原料です。この記事は既存の20枚の工程写真に沿って、購入者側で行う筋引き・小割りを説明します。部位全体の特徴や商品化の総論は関連記事に分け、ここでは工程と除去部分の判断を中心に扱います。

目次

作業前に品温・器具・用途を確認

原料表示に従って低温で管理し、一度に長時間出したままにせず、必要量ずつ作業します。作業台・包丁・手を清潔にし、生肉と加熱後の食品を分けて交差汚染を防ぎます。清潔でない布を肉の下に敷かず、血管や骨肌の除去を安全性の保証と考えないでください。

写真中の5mm・5cm・3cm・15cmや切り分け比率は、掲載原料と用途での作業例です。固定の寸法基準ではなく、筋の走行・原料の大きさ・残す商品の規格に合わせます。厚生労働省の食中毒予防も参照し、営業で行う場合は施設の衛生管理計画に従ってください。

牛肉料理の用途幅が広いうで(かた)部位は非常に活用しやすい

大きな「うで」の原料ブロックは、冷蔵庫や作業台に収まるかを仕入れ前に確認します。小割りすることで、各筋肉の用途に合わせた加工や保管を検討しやすくなります。

そのため小割りの仕方や分割しておくと一ずつの部位は、小さくなりますが、それぞれの小割りしたものが希少価値の高い焼き肉用としても活用されることがあります。

用途幅が広いのがこの部位の特徴といっても過言ではありません。

仕入先によって小割り・真空包装の対応範囲は異なります。当社は原料ブロックの販売で、以下は購入者側で行う加工の技術例です。当社による小割り・スライス・個別加工を確約する案内ではありません。

また、うでの部分を総称して「牛かた」と呼んでいますが、みすじ、さんかく、とうがらしなどの数多くの筋肉の集合体です。総じてよく運動する部位ですから、筋膜や腱などが多く、

肉色はやや濃いめです。

筋肉ごとの繊維や筋の位置、個体・整形状態により食感は異なります。うで全体を一律に硬い・柔らかいと決めつけず、用途と切る位置を確認します。

筋や結合組織の多い部分は煮込みの候補になり、筋を処理して用途に合う薄さに切ると、すき焼きやしゃぶしゃぶなども検討できます。筋引きだけで食感が必ずそろうという意味ではありません。

今回は、そのうで(かた)部位を使った整形・すじ引きや分割方法などの代表的な例を通して商品化までの方法を紹介していきます。

うで(かた)部位のすじ引きと整形のポイント

うで(かた)部位は、外側から内側にすじが多く入り込んでいます。

このすじを内側深く取り過ぎると本体自体がバラバラになり、商品化づくりができにくくなります。必要以上には、内側のすじを取らないよう注意する必要があります。

また、ほんみすじ部位とくり部位の境は、身割れしやすいです。すじを引くとき、うわみすじを必要以上にめくり上げると身割れします。ここが身割れすると、変色したり、またスライスにするときバラバラに割れて商品づくりがしにくくなります。

うで1

うで(かた)の整形・すじ引き

かっぱを取り除き、脂肪を取り除きます

  • 薄いかっぱ肉を取り除きます。
  • 包装や原料の状態、異物・汚染の有無を先に確認します。見た目の汚れを削れば安全になるとは判断せず、異常時は使用を止めて確認します。脂肪の厚い部分を5mm程度残すのは、この原料での作業例です。用途・商品規格に合わせて調整します。
  • くり部位、すじ上面、にのうで部位の脂肪を取り除きます。
うで2

にのうで、ほんみすじ、くりのすじを取り除きます

  • にのうで部位上面のすじを引き、続いてほんみすじ、横のすじと骨肌を引き上げます。
  • くり部位上面のすじを引きます。くり部位上面の中に食い込んでいる太いすじを中まで(約5センチ程)取り除きます。また、小割しないで商品づくりするときは、ほんみすじ上面のすじと脂肪を取り除き、ほんみすじのすじを引きます。(みすじ側を残して分割するときは手をつけないほうがいいです)

※小割するときは手をつけずにそのまま残します。

うで3

にのうで部位の脂肪、血管を取り除き、すじを引きます

にのうで部位上面の脂肪と血管を一緒に取り除き、にのうで部位上面のすじを引きます。

うで4

にのうで部位、骨肌のすじを取り除きます

※このとき、うわみすじ部位左側を引いておきます。

  • にのうで部位上方の肉を上にはねて、手でなでて平らにし、骨肌やすじを引きやすいようにします。
  • 脱骨のあとの骨肌やすじを引きます。
  • うわみすじ部位左側のすじを引きます。
うで5

うわみすじ部位の裏側の骨肌を引きやすいよう横になでてから骨肌を引きます

※右端に軟骨が残っている場合が多く、注意が必要です。

ほんみすじ部位のあたま部分のすじを取り除きます

  • 先に、ほんみすじ部位のあたま部分のすじと膜を一緒に取り除きます。(そのときは図のようにうわみすじ部位まで)
  • 細長いすじを途中まで(約3センチ)取り除きます。
  • ほんみすじの太いすじを15センチ位までナイフを入れて取り除きます。(小割りするときはそのまま残します)
うで7

ほんみすじ部位の骨肌を取り除きます

  • 写真は経験者による逆手の作業例です。原料を安定させ、刃の進む先に手を置かず、無理な力をかけない持ち方で骨肌を引きます。初心者に逆手を無条件に勧めるものではありません。
  • 硬い部分は、残さず完全に取り除きます。
うで8

うわみすじ部位のすじを引きます

  • うわみすじ部位の太いすじを引きます。

※すじ引きの一番しやすい部分

  • 上方薄いすじを引きます。
うで9

くり部位の上面のすじを引きます

  • 右端先端よりうわみすじ部位のところまですじを引きます。
  • 以上終了です。
うで10

うで(かた)部位の小割とすじ引き(右側部位)

うで(かた)部位の小割り

  • まず先に、周りのすじを全部引いてから作業を始めることです。こうすると、作業がしやすく早く仕上がります。
  • 周りのすじを全部引いてからといっても、次のイ、ロのすじに手を付けないで、そのまま残します。

イ:くり部位の全部 ロ:ほんみすじ部位の太いすじ

うで11

うで(かた)部位より、にのうで部位を取り除きます

かた部位と、にのうで部位の境に沿って分割します。ほんみすじ部位の肉が、にのうで部位下側まであるので注意します。

うで12

うわみすじ部位を取り除きます

  • うわみすじ部位を、くり上面のすじに沿って離します。
  • 次に、かわら部位との境を離し、うわみすじ部位を取り外します。
うで13

かわら部位を取り除きます

  • くり部位より、かわら部位を切り離します。
  • 次に、みすじ部位の裏側の点線より、かわら部位を分離します。
  • かわら部位に脂肪を付けます。
うで14

ほんみすじ部位のすじに沿って、くりとみすじに分割します。

ほんみすじ部位の横のすじに沿って分割します。

ほんみすじ部位とこさんかく部位を分割します

本みすじ部位あたま部位(太いすじのところ)下側のこさんかくをすじに沿って分離します。

うで15

うわみすじ部位の分割(左部位)

中に食い込んでいるすじに沿ってうわみすじを分割します。 ※逆手を使う場合もある作業例です。刃の向きと手の位置を管理できない場合は行わず、持ち替えや原料の置き方を調整してください。

うで16

ほんみすじ部位の分割

太いなかすじに沿って分割します。写真の逆手の持ち方をそのまままねず、刃の進路と手の位置、原料の安定を優先し、経験者の指導を受けて作業してください。 ※このすじは、中ほどが平らでなくデコボコしていて作業がやりづらいので注意が必要です。

うで17

うで(かた)部位の商品づくり

商品づくりのポイント

うで(かた)は赤身の多い筋肉を含む原料で、脂やサシの入り方は個体や位置により異なります。ただ、肉質にムラがあって、図のようにA,B,C,Dではやわらかさや肉質も異なるので商品化には注意したい。

うで18

A部分

切り口が整うまでコマ材用に切り落とします。(下側にばら肉・そとばらやなかばらを敷き、一緒に切ります) ※ばら部位は、隠さないで見せた方が良いです。

うで19

B部分

切り口が整ったらすきやき用に切ります。(赤身肉で最も断面の大きい部分) ※コマ材不足の時は、にのうで部位側を1/3切り離し、2等分にしてばら肉と合わせてコマ材用にするとよいです)

うで20

C部分

すき焼き用として切ります。また、赤身肉で柔らかいのでしゃぶしゃぶでもよいです。

D部分

肉質、味ともによく、また柔らかいのですき焼き用かしゃぶしゃぶ用切ります。 ※小分割してほんみすじの筋を処理すると、加熱用の焼肉などが候補になります。筋引きや表面加熱だけで生食・たたきとして提供できるわけではありません。加熱用として中心まで十分に加熱する条件を確認します。

E部分

分割して切り落とし用にします。 ※細かいみすじより商品づくりところがありますが、にのうで部位より始めてよいと思います。

うで21

歩留まりと実質原価を確認する

仕入重量、商品として使える重量、脂・筋・端材・廃棄を分けて量り、整形歩留まり=使用可能重量÷仕入重量で確認します。使用可能部分のkg原価は、仕入金額に送料・加工費等を加えた金額÷使用可能重量が基本です。煮込み等の加熱歩留まりは別に測り、1食当たりの提供重量へ換算します。

この記事の写真から実測歩留まりや当社の加工実績を推定しません。除去する脂・筋をどこまで別用途に使えるか、作業時間を含めて試作で確認しましょう。味を確かめる場合も加熱用原料を生で味見しないでください。

まとめ

筋肉の境目を見ながら、用途と規格に合わせて必要な筋・脂を取り除きます。20枚の工程写真は原料の一例です。刃の安全、品温、交差汚染、実際に使える重量を合わせて管理することが、商品づくりと原価判断につながります。

仕入れる前に原料規格を確認

部位名だけでなく、原料ブロックか加工済みか、冷蔵・冷凍、不定貫重量、注文単位・最低ロット、税込・税別、送料、期限、発送日と到着見込みを商品ごとに確認してください。希望する在庫・規格・納期が不明な場合は、注文前に出品者へお問い合わせください。

うで等の原料ブロックと現行規格を一覧で確認する

あわせて読みたい

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

業務用牛肉の仕入れをご検討中の方へ

五十嵐商会では、国産牛ホルスタイン経産牛を中心に、飲食店・精肉店・惣菜製造業者・食品メーカー向けの業務用原料を取り扱っています。

用途、部位、歩留り、原価管理を確認しながら、自社に合う商品をご検討ください。

名前

この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

名前

コメント

     
牛肉の知識のピックアップ記事
     
牛肉の購入方法のピックアップ記事
     
牛肉レシピのピックアップ記事
     
業務用食材市場Mマートのピックアップ記事
目次