季節のイベントや通年の牛肉の料理で人気といえば「ローストビーフ」です。
今では当たり前に店頭にあって和牛の高級部位から輸入の牛肉をつかってローストビーフが販売されているのを見かけます。
サンドイッチやサラダ、おつまみなど、ローストビーフにはさまざまな提供方法があります。仕入れを考えるときは、まず自店で加熱する原料肉が必要なのか、調理済みの完成品が必要なのかを分けましょう。
薄切りの厚さやたれの合わせ方で、同じ原料でも食べやすさが変わります。必要な1皿の量、仕込み設備、人手に合う商品を選ぶことが大切です。
当社でも、ローストビーフ用途の原料肉についてご相談を受けてきました。この記事の当社Mマート導線は、生の原料肉の案内です。
この記事を読むとわかること
- 業務用のローストビーフの選び方とは?
- 品種による価格の違いとは?
- 部位別による価格の違いとは?
牛肉の卸目線ではありますが、これまでの販売やお問い合わせで確認してきた、規格・用途・原価の見方をご紹介します。価格や在庫は注文時点の商品条件を優先してください。
品種と部位だけでなく、規格と1皿の原価を比べる
牛肉の仕入れでは、品種・部位に加え、整形状態、冷蔵・冷凍、ロット、送料をそろえて比較します。kg単価が安いことと、使える部分の原価が低いことは同じではありません。
品種による値段の違いとは?
牛肉を比べるときは、産地と品種を区別します。アンガス、ヘレフォード、ホルスタインなどは品種で、国産・輸入は産地の区分です。国産牛には和牛、交雑種、乳用種などがあります。
産地や品種の名前だけで、現在の価格を一律に順位づけすることはできません。同じ部位、整形状態、等級、冷蔵・冷凍、注文量、税区分、確認日をそろえて見積もりを比べてください。

国産の赤身を生かしたい場合、乳用種も仕入れ候補の一つです。輸入牛より必ず安いという意味ではありません。

やわらかさは品種だけで決まりません。個体、月齢、部位、筋の残り方、保管状態、カット・加熱条件にも左右されます。
試作では、同じ厚さ・加熱条件・提供温度で食感を確かめます。
また、ローストビーフを作るうえでも赤身率は非常に重要になってきます。
赤身主体にするか、脂のコクを生かすかは、メニューの狙いによって変わります。和牛でも脂肪交雑の程度は同じではありません。

赤身と脂の割合も、産地や品種名だけで固定せず、実際の商品写真・規格と試作で確認します。
同じ乳用種でも、去勢牛と経産牛、肥育方法、個体によって脂や食感は異なります。
この基準は、価格調査する上でも是非ともおさえておかなければなりません。
2017年初稿時の価格記載について
旧記事には、枝肉kg単価の例として「乳用種C2:700円台、交雑種B3:1,500~1,900円台、和牛A3:1,900~2,400円台」と記載されていました。市場名、対象年月、税区分、原資料を現在確認できないため、過去の記述としてのみ残しています。2026年現在の相場や見積もりには使わないでください。
枝肉価格は、骨・脂肪・複数部位を含む段階の価格です。骨を外して整形した部分肉の販売kg単価や、加熱済みローストビーフの単価とは直接比較できません。現在の仕入れ判断には、必要な部分肉・完成品の実際の見積もりを使います。


部位によっても価格が違う??
品種によって価格が違うことがお分かりいただけたかと思いますが、次に価格帯が違うのは「部位」による価格差です。
サーロイン、リブロース、ヒレ、らんいち、内ももなど、部位が変われば形、筋、脂、カットの取りやすさも変わります。
卸業者ごとに商品規格や価格の決め方が異なります。
これは何故かというと、作業時間や整形の手間に加え、部位ごとの需給、品質、仕入れ条件などが販売価格に影響するためです。
また、部分肉相場というものがあり、それらによっても価格調整を行います。
ですから、部位別の価格順位も固定ではありません。同じ品種・整形状態・ロット・税区分で、用途に合う候補を比較することが基本になります。
一頭の販売価値を各部位で確保する考え方と、個々の商品の仕入れ原価は分けて判断しましょう。
ただし、肉質や品質によってローストビーフに使える部位とそうでもない部位があります。
例えば、すねは筋が多く、一般的な薄切りローストビーフには扱いにくい部位です。一方、サーロインでも脂の量が狙うメニューに合わない場合があります。
この部位の中で、ローストビーフによく使われるのが赤身がつよく、肉の味わい、価格帯でちょうど良いものがうちももです。
当社でも、赤身主体の原料をお探しの方には、内ももの規格をご案内しています。
部位を変える場合は、価格だけでなく、整形後の形や切り出せる皿数まで試作で確認してください。
ただ、一概にこの部位はローストビーフには使えないといえませんが、お店によっては高級感をだすためにサーロインをローストビーフにするところもあります。
たとえば、米沢牛さかのさんのローストビーフは、和牛の高級部位を使ったローストビーフが特徴で、赤身と脂身のバランスを楽しむ商品の一例です。
ローストビーフの研究には欠かせないお店で、私も注文してしまいました。
ローストビーフの部位選定については一概には言えないなというのが率直な意見ではあります。
当社のローストビーフ用・国産牛内もも原料を確認する(加熱前のブロック肉)
原料kg単価から1皿原価へ計算する
整形歩留まり、加熱歩留まり、スライス歩留まりは、それぞれの工程に入る重量を分母にして測ります。グリムキ済みでも加熱歩留まり100%にはなりません。
- 使用可能重量=仕入重量×整形歩留まり×加熱歩留まり×スライス歩留まり
- 使用可能部分のkg原価=(原料代+配賦した送料・加工費)÷使用可能重量
- 1皿の肉原価=使用可能部分のkg原価×盛り付け重量kg
計算例は実績ではない仮定です。税抜2,500円/kgを4kg、送料500円、整形90%、加熱75%、スライス95%とすると、使用可能重量は4×0.90×0.75×0.95=2.565kg。10,500円÷2.565kg=約4,094円/kg、加熱後の肉80gで約327円です。たれ、副菜、人件費、光熱費は別途加え、端材を他メニューに使う場合は原価を適切に配分します。
原料4kgと、完成した料理4kgは同じではありません。完成品を仕入れる場合も、解凍・開封後の使用可能量と商品表示を確認してください。
加熱と保管を含めて仕入れ規格を決める
原料肉は生食用ではありません。調理では中心部75℃で1分以上、または同等以上の加熱条件を確認します。厚い塊の低温調理は、表面を焼いた時間や肉色だけで安全を判断せず、中心温度と保持時間を管理してください。冷却する場合は速やかに冷却し、提供まで10℃以下で保管します。営業では自店の衛生管理計画に従います。
Mマートで当社の原料と購入条件を確認する
2026年10月19日に、商品ID75の国産ホルスタイン経産牛・内ももグリムキ原料の掲載を確認しました。冷凍の不定貫ブロックで、調理済みローストビーフではありません。表示単価・暫定総額と実重量での確定金額は分けて確認し、追加整形、送料、在庫、出荷予定は注文時点でお問い合わせください。
五十嵐商会のMマート商品一覧を見る / 用途・規格・注文条件を問い合わせる
まとめ
業務用の仕入れでは、原料肉と調理済み完成品を分けたうえで、自店のメニューに合う規格と1皿の原価を比べましょう。
品種と部位、整形状態、歩留まり、作業費と送料を一緒に確認します。
整形済み原料は作業時間を減らせる候補です。最も得かどうかは、加工費と実際に取れる量を含めて比較しましょう。
お肉の原価計算でもっとも必要なのが歩留まりになってくるからです。
一つの部位で、どれくらいの商品ができあがったのか要は、ブロック肉がきてもすべてローストビーフにできるわけではないからです。筋を引いたり、カットする際の端材がでたりします。
ローストビーフ用として販売される原料でも、追加整形の要否や加熱後の目減り、スライス時の端材は別に確認してください。
作業時間と端材を減らせるかを、自店の加工条件に合わせて検討できます。端材やロスが必ずゼロになるという意味ではありません。
調理・衛生管理の参考資料
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」。営業で提供する場合は、自店のHACCPに沿った衛生管理計画と商品表示に従って温度・時間を確認してください。
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コメント
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