世界を震撼させた狂牛病!|牛肉のBSE問題の今は??

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20年も前になるでしょうか。

牛が暴れまわる姿が全世界に放映され、日本にも毎日のように狂牛病にまつわる映像や評論家たちの「牛肉を食べたら人間も影響がおよぼすのでは?」という話題がありました。

日本国内では安全策のとられていない牛肉の流通がストップし、廃棄され、問題がないであろう牛肉は相場がガタ落ちし、売れない状況になった牛肉。

狂牛病が起きる前には「牛肉の偽装事件」があったばかりの状況で、牛肉全般の信頼はガタ落ちの中での事件でした。

  • 父が経営する会社が(牛肉卸)廃業になるのでは?と、肌で感じるほど高校生であった私。
  • 当時の様子を業界内で聞くと、卸値が1kgを50円でしか取引できず。
  • 食肉衛生検査所の職員は、ほぼ徹夜で毎日全頭検査をしていた。

など、多くの食肉関連の会社は廃業に。

多くの方々が不安や転職など相次いだ時期でもありました。

今回は20年以上たった現在、狂牛病いわゆるBSE問題の今についてご紹介していきます。

  • 狂牛病とはなに?原因とは?
  • 人体に影響があるのか?
  • 世界と日本の狂牛病状況はどうなっているのか?
  • 日本の狂牛病対策と現在。

について深掘りしていきます。

目次

今の日本の牛肉の流通にはBSEは皆無!|安心して牛肉を食べれます!

牛肉を販売している業態は、きびしい状況を抜け出し行政と共にたくさんの努力を重ね、現在の日本ではBSEは一頭も流通していません。

では、なぜなのか?

日本の対策として大きく4つのポイントがあげられます。

  1. 牛に与える飼料規制
  2. と畜における特定部位の除去及びスクリーニング検査
  3. トレーサビリティ制度
  4. 輸入牛肉に関する施策

最も重要なのは、流通を完全に止めたことで4つの対策がスムーズにできたことです。

これらがきちんと実行できたことでBSE(狂牛病)に感染した牛が流通していません。

事実、厚生省のしらべで平成21年以降の全頭検査以降から現在まで、日本でのBSE感染した牛は見つかっていません。

では、このBSEとは一体なにか?4つのポイントとはいったいなにか?について掘り下げていこうと思います。

BSE(狂牛病)とはいったいなにか?

世間一般的にいうと狂牛病といいますが、専門的にいうとBSEとなります。(牛海綿状脳症)

※以降の文体を狂牛病からBSEとして紹介していきます。

BSEとは、牛の脳組織が変性してスポンジ(海綿)状となり、異常な行動や麻痺など神経症状をあらわし、致死性の牛の疾患になります。

原因は、健康な動物の神経細胞に存在するたんぱく質のプリオンが変化した異常プリオンと考えられています。

発病や感染のメカニズムは今だ解明されていませんが、子牛の時期に給与された飼料に混入した異常プリオンが長い潜伏期の間に中枢神経で増殖、蓄積し、神経細胞を壊死を引き起こすことでスポンジ状の変性を起こすものと考えられています。

また、感染実験による感染牛の体内の異常プリオンの99%は脳、脊髄、背根神経節、回腸遠位部などの特定部位に蓄積することがわかっています。

また、この特定部位をSRM(特定危険部位)といいます。

この特定危険部位(SRM)を除去することで安全性の確保が可能となります。

BSE特定危険部位詳細

世界のBSEの発生状況は?

牛枝肉

牛枝肉

1986年に英国において最初のBSE感染牛が報告されて以来、ヨーロッパを中心に世界の27ヵ国で発生が確認されています。

1990年代の初めには発生のピークを迎え、最も発生が多かった1992年には、世界で約37000頭のBSE感染が確認されています。

その後、科学的な知見を積み重ね、各国がBSE対策を実施した結果2012年には世界での感染牛は約20頭に抑えられています。(農林水産省より)

ただし、未だ病原体が異常プリオンだとしても人間に感染するかどうか定かにはなっていません。

日本の4つのBSE対策とは?

前述にあげた日本の牛肉の安全策としてあげられた施策は4つをあげました。

「牛に与える飼料の規制」「と畜における特定部位の除去とスクリーニング検査」「トレーサビリティ制度」「輸入牛肉による施策」

になります。

これらによってBSEによる脅威から牛肉を安心して食することができるようになりました。

牛に与える飼料の規制

牛の飼料には肉骨粉を与えてましたが、平成13年10月以降の法令により、反すう動物由来の肉骨粉等を用いた反すう動物飼料の製造、販売、使用等は禁止しています。(骨は焼却処分)

また、全ての国からの輸入、出荷、交差汚染防止のため豚や鶏への給与も禁止していますが、その後、食品安全委員会によるリスク評価を受けて、豚や鶏への給与は再開しています。

また、月齢30ヵ月超えの牛の骨は焼却処分されています。

蛇足にはなりますが、科学的な知見になりますが異常プリオンの不活性化には十分な加熱処理が必要です。(133℃、3気圧、20分以上の加熱)

と畜における特定部位の除去とスクリーニング検査

BSEから人への影響については科学的な根拠は定かではないものの、悪影響を及ぼす最も有効的な対策は、特定危険部位(SRM)の除去と平成13年10月以降からと畜場に併設されている食肉衛生検査場にて全頭検査がおこなわれています。

特定危険部位を除去してからBSE検査が行われて合格したものが流通できるものとなりました。

現在では飼料規制やBSE検査の実績から評価して食品安全委員会の科学的なリスク評価に基づき、平成25年7月から月齢48以下のと畜牛がスクリーニング検査から除外されています。

[box class=”box_style_red” title=”ここもポイント”]

全国各地にあると畜場には併設された食肉衛生検査所があります。

ここでは食品(と畜された動物)に関する細菌検査や近年ではセシウム検査などもおこなわれています。

安心して牛肉を食べられるよう対策がなされています。

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トレーサビリティ制度

牛トレーサビリティ制度は、牛の個体識別のための情報の管理および伝達に関する特別措置法に基づき、BSEのまん延を防止するための措置、個体の識別のための情報の提供を促進し、消費者への利益確保の増進を図る目的があります。

要は、もしどこでなにが起こった害なのか明確にわかるようにした。ということと購入した牛肉はどのようなところで生まれ、育成されたものかわかるようにしたものが、この制度になります。

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輸入牛肉による施策

日本国内おいてはBSE発生国からの牛肉製品の輸入は禁止しています。

現在では、食品安全委員会におけるリスク評価に基づき、平成17年12月に月齢20ヵ月以下の証明書などの対日輸出条件に輸入を再開しています。

また、平成25年2月に月齢30以下の証明書等に輸入条件が緩和されています。

[box class=”box_style_blue” title=”執筆者がここが気になる!”]

批判する気はないのですが、近年では輸入牛肉の月齢偽装のニュースがあった。

輸入牛肉の安心できる担保があるのか心配です。

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まとめ

BSEは、科学的な知見のおいてはまだまだ解明されてないことはあるものの、現在の国内の流通では安全に確保されていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

行政で流通をストップさせた!

ここから4つの施策で安全が確保され、現在の日本でのBSEに感染された牛は見当たることはありません。

また、日本と世界の牛肉が安全に確保されつつあることに規制が緩和されつつあるということです。

ちなみにTボーンステーキを日本で食べたことがありますか?

この当時から特定危険部位から背骨を焼却処分していたため、背骨をつかったTボーンステーキが日本からなくなったのです。

現在では輸入牛肉から流通されるようになってきました。

牛ホホ肉外側

牛ホホ肉 

みなさんが食べているホホ肉は、じつは外ホホになります。

ほんとうにおいしい内ホホなる部位。これも食べれなくなったのも悲しいものです。

これからは規制緩和が進んで食べられる日がくることを願いたいものです。

ちなみに海外では日本ほどきびしくないので、Tボーンステーキは食べれます。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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