牛肉の部位とは?
牛肉の部位には全国で決められている「部位名」「部分肉」というのがあります。
全国のお肉屋さんの代表が集まり決めた部位名と、法律で決めた部位名があります。
日本では部分肉を13部位から業者間取引で使い、部位の数を11部位として消費者がわかりやすいようにラベル表示に記載されています。
部位名と部分肉では、同じようでもお肉屋さん同士の取引する際に「部分肉」として扱い、お客様には「部位名」を使うことになっています。
何故牛肉は部位にわかれているのか?
牛肉の部分肉には13部位、部位名は11種類があります。
では、何故このようなに11種類から13部位にわれているのかというと。
主に「料理用途」になります。
料理用途とは、ステーキ用、焼肉用、すき焼き用、しゃぶしゃぶ用、切り落とし用、こま切れ用、挽肉になります。
部位によって硬さ、やわらかさ、味わいなどによって料理用途が決められ、それぞれの部位がわけられています。
では簡単にどのようなものがあるのか図解していきます。
牛肉部位の図解から牛肉選びのポイントを知る方法とは?
牛肉の名称まとめ
部位表示 | 部分肉名 |
---|---|
ネック | ネック |
かた(うで) | かた(うで) |
かたロース | かたロース |
リブロース | リブロース |
サーロイン | サーロイン |
ヒレ | ヒレ |
らんぷ | らんいち |
もも | うちもも・しんたま |
そともも | そともも |
ばら | なかばら・そとばら |
すね | すね(まえすね・ともずね) |
※すねは「まえすね・ともすね」を別々で取引される場合があります。
牛の図でどのような位置にそれぞれの部位があるのでしょうか。
では英名では。
図では少しではありますが、日本の部位と外国産の部位の分け方が違いますが、これは食文化の違いによるものです。
牛肉は、腰のあたり(サーロイン)から末端(すね)にかけて肉質が硬くなっていきます。
例えば、サーロインの商品には「サーロインステーキ」がありますが、「すねステーキ」なんてのはありません。
すねは硬いので煮込み料理に使われます。
もう一つだけ抑えておかなければならないことは、値段になります。
牛肉の値段は、料理用途によって決まります。
値段と料理用途の関係は、
ステーキ用>焼肉用>すき焼き用>しゃぶしゃぶ用>切り落とし用>こま切れ用>挽肉
になります。
ステーキよりこま切れの方が高いなんてことはありえませんよね。
なにが言いたいかというと、サーロインやリブロースあたりを中心に末端にいけば値段は安くなるということです。
- 牛肉の部位は料理用途に分けられている。
- サーロインを中心にすねにかけて肉質は硬くなる傾向にある。
- 牛肉の部位には料理用途によって値段が変わる。
牛肉の格付けとは?
牛肉には「格付け」と呼ばれているものがあり、一般的にはA5などの表記があります。
A5だからおいしいなどの語弊がないよう記載していますが、格付けは基本的に業者間取引を円滑にするためであっておいしさの基準ではありません。
牛肉の品質の評価になります。
また、部分肉にも格付けがありますのでご参考に。
牛部分肉取引規格(格付け)は、以下のように決められています。
【部分肉の分割及びその名称】
この規格に定める牛部分肉は、半丸枝肉を別表1に定める分割・整形方法により分割、整形するものとし、その各部分肉の名称は「ネック」、「かた」、「かたロース」、「かたばら」、「ヒレ」、「リブロース」、「サーロイン」、「ともばら」、「うちもも」、「しんたま」、「らんいち」、「そともも」、「すね」の13とする。
【肉質等級及び重量区分】
【肉質等級】
部分肉の「肉質等級」は、当該部分肉が枝肉段階で牛枝肉取引規格により格付された「肉質等級」をそのまま適用するものとし、その等級の呼称は「5」、「4」、「3」、「2」及び「1」とする。
【重量区分】
部分肉の「重量区分」は、別表3に定める「重量区分」とし、その区分の呼称は「S」、「M」及び「L」とする。このように部分肉では、流通の円滑による規格が定められいます。
牛肉の11部位を網羅特徴などを徹底解説
料理用途に分けられている部分肉について実写を踏まえてご紹介していきます。
11部位をそれぞれの特徴、料理用途、値段、重量をまとめておきました。また、まとめておいたものに注意すべき点も記載しておきますので、あらかじめ読んでおいたほうがいいです。
- 料理用途は、硬さ柔らかさ、肉質での判断で可能料理です。(お店や地域によって違いがでます)
- 特徴にいは国産牛肉が中心となり(交雑種、ホルスタイン)、和牛は除いたものになります。(肉質が異なるため)
- 値段、重量については国産牛肉(交雑種、ホルスタイン)を基準に値段は国内の卸値相場になります。ですのでお店によってより高くなります。
- 切り落としは、部位一つでつくられます。こま切れは他の部位が混ざり合ったものになります。
部位名 | ステーキ | 焼肉 | すき焼き | しゃぶしゃぶ | 切り落とし | こま切れ | 挽肉 | カロリー | 重さ | 値段(kg/円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ネック | × | × | × | × | × | 〇 | 〇 | 234 | 4~6 | 1400~2800 |
かた(うで) | × | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 266 | 6~13 | 1500~3500 |
かたロース | × | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 246 | 8~17 | 1700~5000 |
リブロース | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 342 | 5~12 | 2300~6000 |
サーロイン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ | △ | 351 | 3~10 | 2300~7000 |
ヒレ | 〇 | 〇 | × | × | × | × | × | 208 | 2~4 | 3800~9000 |
らんぷ | △ | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | △ | 251 | 4~8 | 2300~6000 |
もも | × | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 260 | 3~8 | 2100~4000 |
そともも | × | × | × | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 229 | 5~9 | 1900~4000 |
ばら | × | 〇 | × | × | △ | 〇 | △ | 459 | 12~17 | 1600~6000 |
すね | × | × | × | × | × | 〇 | 〇 | 221 | 4~8 | 1200~3000 |
〇・・・可能 ×・・・不可能 △・・・一部可能(値段は時期によってかわります)
ネック
脂肪は少なく、赤身が多く硬め。挽肉やこま切れに。
すじが多いため煮込み時間は長めにしないと硬いままです。
かた(うで)
肩甲骨から肘あたりについている牛肉の部位になります。
やや赤身が多く硬め、エキス分やコラーゲンが多く部位。
これを分割すると、ミスジがとれます。あながち焼肉としてもつかえる部分が多くあります。
例えば、さんかく(くり)という部位で、見極めは難しいですが焼肉としてもいけるので中々あなどれない部位になります。
また、とうがらし(とんび)は、過去にユッケとしても使われ、品種によっては焼肉として使われることがあります。
かたロース
人間でいうと首の付け根から背中の一部分になります。
主にしゃぶしゃぶ、すき焼きとしてつかわれますが一部は焼肉としても使われます。
特に焼肉で使われる「ざぶとん」といわれる部分の味わいは、だれもが満足できるだけの肉質。
リブロース
きめが細かく、サシが入って風味があります。
肉質がやわらかく、水分がほどよいためどのような料理にもむいています。
焼き方を失敗しても、ちゃんと食べれるため万能選手。
牛肉の部位で高価な三大ロイン(サーロイン、リブロース、ヒレ)の一つ。
肩と背中の間にある部位になりますが、肉の中心に大きな面があります。
これを肉芯といいます。
アメリカなどはリブアイロールという商品があるように「目」としていわれています。
ここが大きいと、日本ではかなり牛肉の評価が高くなります。
ヒレ(ヘレ)
誰もが知る名前と高価な牛肉の部位ではないでしょうか。
一頭からわずかしかとれない部位のため、希少価値大といわれます。ほとんど筋肉を動かしていないことから、肉の柔らかさは他の部位を圧倒します。
ステーキがほとんどになります。
サーロイン
サーロインは、別名「腰肉」と言われています。
リブロース、サーロイン、ヒレをまとめて「ロイン」とも言われています。このロインは牛肉の部位でも高級部位とされています。
ステーキの代名詞としてサーロインは、肉質の柔らかさ、しまり具合などバランスがよく、肉の味わいがもっとも感じ取れる部位になります。
ただし、リブロース側は柔らかく、お尻に近づけば硬くなる傾向になりますので、ステーキ選びはリブロース側の選択が肝となります。
バラ
牛肉の卸業者の中では「ばら」を2分割にして取引されています。
「中バラ」「外バラ」を総称して「ばら」としていますが、お腹の牛肉をさしています。
「中ばら」は、背中側で「外バラ」はおへそ側といっても良いでしょう。
脂と肉がほどよく絡み合い、肉質の硬さから主に焼肉用として使われます。ただ、部位を分割すると「かいのみ」「フランク」など特徴的な焼肉を味わうことができます。
フランクは、笹の葉の模様をした脂があるため一部の焼肉店では「笹の葉カルビ」という名前があるくらいです。
もも
「うちもも」と「そともも」のセットを「もも」といいます。
うちももは、かたちがよいので「たたき」「ローストビーフ」によく使われます。
しんたまは、牛肉の肉質が硬めであるためコマ切れなどにつかわれますが、肉質が良いものは、分割し「しんしん」などの部位に分かれ、うす切りの焼肉に使われます。
味わいは、たんぱくになります。
赤身の牛肉を食べたい人には、うってつけになりまが、水分の含有量を多く含みますので、部位の中では栄養価が高い素材です。
ただ、デメリットとしては火を通すと縮む特性が他の部位より大きくみられますので、焼き方に難点があります。
らんぷ
部位名はらんいちになります。
お尻のあたりの牛肉になりますが、写真奧側がサーロインとつながり、手前がそとももへとつながっていきます。
サーロインとつながっている側の肉質はやわらかく、そとももに近くなるほど硬くなる特徴をもっています。
この牛肉を分割しますと「いちぼ」などにわかれますが、一部ではステーキとしても使われることあり、硬い方向にいくと焼肉としてつかわれていきます。
https://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/4157/
そともも
硬い肉質は、良くてスライスものに使われますがしぐれ煮などの料理には最適な素材になります。
ほとんど肉の味がしないため、正直、牛肉の部位の中では不人気な部位です。
https://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/486/
すね
牛肉のすじとしてつかわれる「すね」部位は、「まえすね」「ともすね」として分けられます。
まえすねの「まえ」は前足の事をあらわし、ともすねの「とも」は後ろ脚をあらわしています。
どちらもスジが多く入り込んでおり、主に煮込みものとしてつかわれますがこの部位を分割すると「たわら」「せんぼんすじ」などの貴重な焼肉がとれます。
シロのような歯ごたえと肉の味がしっかりとでるため、隠れた珍品としてコアなファンに人気になります。
牛肉希少部位とは?どのようなものがあるのか?(ネタバレ)
牛肉の希少部位にはさまざまあります。
希少価値とは一頭からわずかしかとれないため、希少性があるという意味になります。
しかし、希少部位といっても部位から小分けしたものからとれるため、牛肉を小分けするほど量目が少なくなるということです。
わずかしかとれないのは必然です。
では、どのような部位から希少部位が生まれるのか図解でご紹介していきます。
牛肉の名称まとめ
部位表示 | 希少部位 |
---|---|
ネック | ひも(鶏でいうせせりです) |
かた(うで) | くり、みすじ |
かたロース | はねした、ざぶとん |
リブロース | リブ芯 |
サーロイン | なし |
ヒレ | シャトーブリアンなど |
らんぷ | いちぼ、らんぷ |
もも | しんしん、ヒウチなど |
そともも | せんぼんすじなど |
ばら | かいのみ、フランク、ゲタ山 |
すね | たわらなど |
代表的な希少部位と言われるものを紹介しました。
もう少し詳しくというかたは、別記事でご紹介していますので参考にしていただければと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
- 部位名はお肉屋さんの代表的なかたが決めたものと法律で決められたものがある。
- 料理用途で部位を選ぶと失敗しにくい。
- サーロインを中心から肉質が硬くなっていく。
- 料理用途で牛肉の値段が変わる。
以上ですが、おわかりいただけましたでしょうか?
「あたりまえだと」わかっている方も多いのですが、これらを知っているだけでも店頭で販売されている牛肉をどのように選べばよいのかわかってきます。
では次回に。
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