日本国内で販売されている牛肉には大きく大別しますと、国産牛肉と輸入牛肉があります。
国産牛肉には和牛と国産があります。
牛の種類(品種)でいうと、和牛肉は日本国原産の4品種が生産した牛肉であり、国産牛肉のうち和牛肉以外のものは、ホルスタイン種と交雑種の生産した牛肉です。
また、輸入牛肉は、主に欧州を原産国とする品種による牛肉で、これらの品種は外国種とも呼んでいます。
国内産の牛には和種は4種・ホルスタイン・交雑種が主軸
和牛肉は最も品質の良い肉ですが、和牛とよばれるのは、黒毛和種、褐毛(あかげ)和種、日本短角種、無角和種の4種類となっています。
これらは、いずれも昔から日本において各地で飼われていた在来牛を改良したものですが、品種として確立したのは昭和19年(日本短角種は昭和32年)のことです。
全国規模の改良としては、明治に在来牛の体格を大型にするため欧米から多種多様な品種が輸入され、在来牛に交配して雑種がつくられました。
しかし外国種との雑種は不評でわずか十年ほどで中止されました。
その後40年かけて現在の4品種が確立されたのです。
現在の和牛には、外来種の影響は残っていると考えられています。
外国種との交雑以前の姿を示すものとしては、山口県萩市の離島である見島に天然記念物として残る「見島牛」などが知られています。
和牛は使役に用いると同時に、肉食が解禁された明治以降後肉用に用いられました。
使役に用いた後の成熟した牛の肉は、独自の風味を持ち、牛鍋のような薄切りの牛肉を野菜と煮る食べ方とも相性がよく喜ばれました。
和牛は「役肉用牛」とも呼ばれました。
また、和牛の肉には「サシ」(脂肪交雑)と薄い鮮紅色が特徴的な肉質ではありますが、これは飼育中(出荷前)にビタミンAのコントロールを調整することであらわれます。
ビタミンAの調整が牛の肉質にかかわるポイントではありますので、地域によって生産者の技量次第で大きく変化します。
黒毛和種
黒毛和種は、和種の中でも全国的に最も多く飼われている品種になります。
国内全体の約94%となっていますが、繁殖用は九州、東北、北海道、肥育用はこれらの他、関東でも多数飼われています。
毛色はやや褐色を帯びた黒ですが、子牛の間は明るい褐色のものもあります。
褐毛和種
褐毛(あかげ)和種は、「あか牛」「褐毛牛」とも呼ばれ、飼養頭数は全体の約1,2%ほどになります。
熊本県と高知県に多く、次いで北海道と長崎県が続きます。
熊本県と高知県とでそれぞれ別個に改良されましたが、いずれも朝鮮半島に飼われている韓牛と同じ起源とされています.
熊本系には改良の過程で交配されたシンメンタール種(欧州原産)の影響が強く残るとされています。
毛色は明るい赤褐色ですが、高知系には皮膚や鼻、尾などが黒いものもあります。
阿蘇山や四国山地の野草地に放牧する飼い方が特徴で、黒毛和種より脂肪交雑の入り方は少ないものの、草を十分に与え育てた健康な赤身肉というイメージで親しまれています。
日本短角種
日本短角種は、岩手、青森、秋田の北東北三県と北海道で飼われており、国内全体の約0,5%ほどになります。
岩手県の民謡・南部牛追い歌はよく知られていますが、この地方で運搬用に用いた赤毛の牛に、英国原産のショートホーン種が交配されてつくられました。
ショートホーン種の名は、角の長大な品種(ロングホーン)と比較して名付けられたものですから、その名を継いだ日本短角種の角も黒毛和種と比べて短いわけではありません。
日本短角種は、粗食に耐え乳量が多い特徴があり、春に奥山に繁殖牛を放牧すると、手間をかけなくても秋には大きく育った子牛を連れて帰ってくるというので、キノコ採りなどとも呼ばれる粗放な飼い方で知られています。
肉質は黒毛和種には劣りますが、牧草主体で飼育した赤身肉には格別な美味しさがあるとするファンが根強く、こうした生産にとりくむ生産者もいます。
無角和種
無角和種は、山口県でつくられた角のない品種です。
特徴においてはアバディーンアンガス種から引継ぎました。
肉付きの良い品種ですが、肉質面では脂肪交雑は少なく、飼養形態としても黒毛和種との大きな違いがなかったことから早くに頭数が減少し、今では、わずかに山口県を中心に飼われています。
ホルスタイン種|交雑種
ホルスタイン種は乳用種ですが、大型で発育がよく、赤肉を効率よく生産する優れた能力があります。本種の雄子牛の大半は肉用になり、毛色はほとんどが黒白の斑です。
ホルスタイン種は、和牛肉より肉質の評価は劣りますが、安価な供給元として重要な位置を占め、「国産若牛」とネーミングされています。
現在は、環境とも配慮された牛として注目をあびており、別名「牧草牛」とも言われています。
ホルスタイン種の雌牛に黒毛和種の雄牛を交配してつくられる交雑種は、雄雌ともに肉用に仕向けられています。
黒毛和種の肉質とホルスタイン種の発育の良さをほどよく備え、和牛肉ほど脂肪交雑は入りませんが、安価で美味しい牛肉を供給しています。
あまりいい言い方ではありませんが、「雑種」とも言われています。
日本国内では、和牛とホルスタインの掛け合わせがほとんどで肉質、味わいはハーフということで中間と言えるでしょう。
アバディーンアンガス種|輸入牛肉の品種
牛肉の輸入元であるオーストラリアや米国で生産の主力となっているのは、アバディーンアンガス種とヘレフォード種です。
アバディーンアンガス種は、英国スコットランドで作られた品種で比較的良いとされています。粗飼料の利用性が良く、乳量も多いなど放牧飼養によく適しています。
肉質は外国種の中では比較的よいとされていますが、日本でもごく少数北海道で飼養されています。
日本の和牛と色合いが似ているため、「黒毛牛」とも言われています。
日本のステーキチェーン店などは、このアンガス牛がよく使われています。
ヘレフォード種|輸入牛肉の品種
ヘレフォード種は、アバディーンアンガス種と並んで、世界で最も飼養頭数の多い肉専用種の一つです。
原産地は英国イングランド地方で、もともと有角でしたが、米国で無角の品種が作られました。毛色は、赤褐色ですが、顔面から胸、腹にかけては白色という特徴ある牛です。
粗放な飼育に堪える頑丈な牛で、アバディーンアンガス種ほど乳量はありませんが、放牧に適した品種です。
肉質はアバディーンアンガス種より劣り、日本でも導入されましたが、今ではほとんど飼養されていません。
まとめ
代表的な国産牛肉には、和種が4種類がありますが、私たちが知っている和種は黒毛和種になります。
また国産において交雑・ホルスタインがほとんど食卓に並んでいるのではないでしょうか。
また、近年では「WAGYU」と呼ばれたりしていますが、海外で育った黒毛和種が存在します。
日本でいうなれば交雑種となりますが、それだけ日本の牛は海外でも注目されていることは間違いないでしょう。
今回は、代表的な牛をあげましたが、まだまだ多くの品種があり、それぞれの特徴があります。
いつしか食したいものです。
コメント
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