サーロインがステーキに向く理由|牛肉の部位と用途・切り方

サーロインはステーキでよく知られる部位です。仕入れや商品づくりで大切なのは、名前の知名度だけでなく、肉の繊維、すじ、脂肪、厚さと加熱方法を合わせて考えることです。

ステーキに向くかどうかは、国籍によるあごの強さで一律には決まりません。同じ部位でも個体差と小割した場所によって食感が変わり、サーロイン以外にもステーキに使える部位があります。元の部位写真を見ながら、用途を決める視点を整理します。

目次

ステーキと焼肉は、厚さだけで決まるわけではない

元記事では、お店による例として、約1cmをステーキ、約2.5~4mmを焼肉に分ける扱いを紹介していました。これは全国共通の規格ではありません。厚さだけで価値を決めず、提供する料理、食感、1食分の重量、販売価格と原価に合わせて設計します。

牛肉は筋肉であり、構成する筋肉やすじの状態、脂肪の付き方によって硬さが異なります。小割した肉の表裏と筋目を確認し、必要な筋引きを行ってからカットすることが大切です。繊維を短く断つ方向は、かみ切りやすさを考える一つの基本になります。

私が、職人達の中で修業していた頃は「お客様の口に入いるまでが、私たちの仕事だ」と耳が痛くなるほど聞かされていました。この考えは、今でも仕事に向かうときの指針になっています。

整形後の歩留まり、切り分けた重量と厚さ、加熱後の食感まで確認して、ステーキ・焼肉・こま切れなどへの配分を決めます。ひき肉にする場合も、原料の衛生管理と中心加熱を別に考える必要があります。

肉

写真で見る牛肉の部位と、用途を決めるポイント

以下は当社製品の部位写真です。写真はその原料の一例で、現在の販売商品・在庫や、すべての個体の肉質を示すものではありません。日本食肉格付協会の牛部分肉取引規格では13の名称を定めており、店頭の売り場名や小割名とは範囲が異なる場合があります。発注時は部位名と整形範囲を確認しましょう。

参考資料:日本食肉格付協会「牛部分肉取引規格」

ネック

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首の周辺の部位です。複数の筋肉やすじを含み、きめや硬さを見て、煮込み、こま材、ミンチ原料などへ使い分けます。分割・整形の範囲は、実際の納品規格で確認してください。

かたロース

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ネックからリブロースへ続く側の部位です。スライスなどに使われ、小割した部分は肉質と筋の状態によって焼肉やステーキにも検討できます。「ざぶとん」などの小割名だけで、すべて同じ柔らかさと考えないことが大切です。

かた(うで)

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前肢側の複数の筋肉を含む部位です。すじの入り方と食感に違いがあるため、スライス、こま材、煮込み、焼肉などへ分けて使います。元記事で挙げた「とうがらし」「こさんかく」なども、納品される範囲を確認してから用途を決めます。

リブロース

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背側にあるロースの一部で、ステーキやスライスに使われます。脂肪交雑、外側の脂肪や周辺筋の付き方は原料によって異なります。小割や脂肪の除去を含め、提供する形に合わせて整形します。

サーロイン

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リブロースから腰・もも側へ続く位置にある部位で、ステーキによく使われます。盤面を取りやすい一方、外側の脂肪やすじ、端の形状などを見てカットを調整します。「サー」を爵位に結び付ける逸話は、部位の品質や語源の確定根拠としては扱いません。

ヒレ(ヘレ)

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ロインの内側にある部位で、柔らかな食感を生かしてステーキなどに使われます。関西では「ヘレ」と呼ぶこともあります。1頭から得られる割合を一律3%とはせず、原料と整形規格に応じて重量を確認してください。

そとばら・なかばら

sotobara
そとばら
nakabara
なかばら

赤身と脂肪、筋膜が重なり、場所によって筋目や食感が変わります。焼肉で「カルビ」として扱われるものもありますが、カルビという商品名だけでは部位や脂肪量は一定ではありません。かいのみ、フランクなどの小割も、筋と繊維を見て整形・カットします。

うちもも・しんたま

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うちもも

うちももは赤身の用途を検討しやすい部位です。原料の脂肪量や小割した部分によって食感が違うため、ロースト、スライス、焼肉など、商品ごとに判断します。

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しんたま

しんたまも複数の筋肉を含み、部位全体を同じ柔らかさと考えずに小割します。脂肪の少なさだけでなく、すじと繊維、加熱後の食感を確認しましょう。

そともも

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もも系の部位で、比較的しっかりした食感の部分を含みます。スライスや煮込みなどに使われ、小割した筋肉の形状と繊維を見て、厚さと切る方向を調整します。

らんいち・ランプ

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サーロインにつながるもも側の部位です。部分肉名の「らんいち」と、小割した「ランプ」「イチボ」は範囲を分けて確認します。地域や取引先で呼び方が異なることもあります。ランプやランボソ、イチボなどは、場所による食感とすじを見てステーキや焼肉などへ使い分けます。

すね(まえずね・ともずね)

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ともずね

前肢側をまえずね、後肢側をともずねと呼びます。硬い腱やすじを多く含むため、煮込みなどの用途に合わせて処理します。すべての腱が同じ加熱時間で食べやすくなるわけではありません。

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まえずね

食肉の現場では前側を「まえ」、後側を「とも」と呼ぶことがあります。細かな呼称だけで発注せず、写真、規格書、整形状態などを取引先とそろえて確認すると、用途との食い違いを減らせます。

まとめ

サーロインはステーキの代表的な部位ですが、部位名だけで厚さや柔らかさは決まりません。筋肉・繊維・脂肪とすじの状態を見て、用途、歩留まり、加熱後の仕上がりを合わせて判断しましょう。

生肉の見た目や切り方だけで安全性は判断できません。生肉用と調理済み食品用で器具を分け、調理時は中心まで十分に加熱します。特にひき肉、筋切り・テンダライズ、調味液の浸透、成形などを行った肉は、表面だけの加熱で済ませず、中心部75℃で1分間以上を目安に温度を確認してください。

参考資料:厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」

業務用の仕入れでは用途と規格を確認

ステーキ、焼肉、スライス、煮込みなど、使う料理と必要な加工範囲を決めてから原料を比較してください。

Mマートは、飲食店・事業者・組織・団体などが業務用食材を仕入れる市場です。買い手会員の利用条件をご確認ください。一般の家庭用購入とは利用条件が異なります。

五十嵐商会のMマート商品一覧で、現在掲載中の部位、整形状態、冷蔵・冷凍、規格とロットをご確認いただけます。税込単価と注文総額、不定貫商品の暫定重量と実重量、送料、在庫、出荷日と到着希望日は、それぞれ分けて確認してください。全品の加工対応や在庫、希望日への到着を一律に保証するものではありません。

次のバナーは当社の商品一覧への入口です。画像内のサーロインは案内の一例で、この記事のすべての部位や加工例を表すものではありません。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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