牛肉を切る前に抑えておくべきポイントは、「目的」「部位の特徴」「繊維を見る」事が大切です。
基本的な事ではありますが、これができないとお肉を充分に活かす事ができません。
どのような切り方が最適なのか、迷っている方は最後まで読んで頂きたいです。
今回は、目的別に分けて5つのカッティング方法をご紹介していきます。
- カッティングをする前に必要なこと。
- 目的ごとにカッティング方法がわかる。
- 目的別のカッティングにどのような意味があるのか。
- どのような料理に最適なカッティング方法なのかわかる。
目的とはどのような調理の仕方になりますが、今回は基礎的な事をお伝え致します。
牛肉を切る前に抑えておくべきことは!?
牛肉のプロは、牛肉を切る際に必ず基本的な事が体で覚えています。
目的である「料理用途」「扱う牛肉の特徴」「繊維の方向」です。
例えば、ステーキをカッティングする際に非常に硬い部位を厚く切ったりはしません。
余計に硬くなるからです。
私が諸先輩によく言われたことがあります。
「女性の口まで運ぶまでが私たちの仕事」だと。
硬すぎても柔らかすぎてもお肉は楽しめません。
難しいところですが、お肉を扱う上で大切な事なのです。
牛肉を切る前に繊維の見分け方とは?
牛肉のカッティングをする前に見ておかなけれならないものがあります。
それは牛肉の繊維の方向です。
牛肉には大まかには横方向と縦方向の繊維が流れるようにあります。
部位によっては流れる方向は違いますが、一番最初にみるのは横方向の繊維に着目します。
これは、牛肉のほとんどの部位は横方向の繊維が一番みやすくわかりやすいようになっており、基本的には横方向に垂直にカットすれば肉を口に運んだときに繊維が歯に邪魔をせず、柔らかく感じることができます。
また、プロになってくると上から肉を見るだけでなく、横もみて繊維の流れをみて斜めにカッティングをするのか、繊維の間隔や肉質でカッティングの厚さを決めています。
ですが最初の頃はこの感覚がつかみにくいので、まずは横方向の繊維をみて厚くきったり、うすく切ったり、斜めに切って、自分で食べてみて食感と味わいを比べてみて感覚を養っていくほうがよいでしょう。
- まずは横方向の繊維を見つける。
- 横方向の繊維を見つけたら垂直に切ってみる
- やわらかさと硬さ、味わいは自分で食べ比べて感覚を養うべし!
カッティングの準備|カッティング方法とカッティングのポイント!
牛肉をカッティングする前の準備は、切れる包丁が必要です。
私の経験談にはなりますが、どの会社の技術者も必ず言うのが「切れないナイフを使う人は仕事ができない」と言われます。
道具と技術、知識は必ずバランスよく必要になります。
ですから、ナイフは必ず事前には研ぐ必要があります。
そうでないと肉の繊維を切るためのナイフは肉そのものを潰してしまうからです。肉を傷めるだけでなく作業自体も遅くなるため、必ず研いでおきましょう。
といっても研ぐ時間がなかったり、研ぎ方がわからない人でもちゃんとできるようにしてくれる道具もありますので紹介していおきます。
これはプロ用になりますが、ナイフの表と裏を刃の形にあわせて刃があるほうを7割、刃がないほうを3割ぐらいで研ぐと刃が切れやすくなります。
※片刃の場合。
こちらは一般用の包丁研ぎになります。
では、カッティングのポイントの一つで、カッティングの方向(切り方)から見た基本的なカッティング方法を5つ紹介していきます。
ステーキ・カッティング
繊維の方向に対して直角に切ることをいい、一番多く使われる方法で、また、肉の柔らかさを引き出すための基本的カッティング方法です。
幅広い用途に対応でき、このカッティングの特徴は、繊維に直角にきることにより、熱の伝わり方は、肉の中心まで早く伝わります。
カツ・カッティング
繊維に対して平行に切る方法です。
この特徴はステーキ・カッティングと違い、熱が肉の中心までゆっくり伝わるということで、油を多く使った料理などに有効的です。
また、もも部位などの赤身の多い部位によく使われます。
ソテー・カッティング
繊維に対して斜めに切る方法です。
ステーキ・カツ・カッティングの中間というものになり、熱の伝わり方も両者の中間的なものです。
また、このカッティングを利用することにより肉の表面積が広くなるので、肉の厚みのない部位で、比較的柔らかい部位を焼き肉用としてカッティングし提供する際によく使われる方法です。
ダイス・カッティング
カレー・シチュー用のカッティング方法としてよく知られるサイコロ状のカッティング方法です。
このカッティングで注意する点は、大きさを揃えるということで、これは一度の料理で同じ時間をかけた場合に、大きさが違っていれば出来上がり状態が違ってきます。
また、最近では、肉質的に柔らかい端材などをサイコロ状にカッティングした「サイコロステーキ」といった牛肉のステーキ品目がこのカッティング方法によります。
スティック・カッティング
肉の繊維に対して平行に切り、棒状にする方法です。
代表例は、中華料理のチンジャオロースの材料として使われる肉や加工品(ハム類)をサラダ等の具用にするときにも使われます。
以上がカッティングの種類となりますが、カッティングの知識も部位の特徴(きめ、柔らかさ、硬さ等)にあわせて活用することがポイントです。
肉質の見方についての詳細記事ははこちら
カッティングのポイント
肉のおいしさを引き出すカッティングのポイントには、どのようなものがあるでしょうか。
初心者が先輩に
「牛肉のロースを切身にきってくれ」と言われ、切り方等がわからないときには「どのような方向から、どのくらい切ったら良いのですか?脂肪の付着度合いは5ミリ、3ミリか、すじの引く箇所は・・・」
と作業の内容を先輩に確認することと思います。
この「どちらから(どの方向からか)」「どのくらいか」「どのくらいの量目か」、また「脂肪の付着度合い、筋引きのひきかたは・・・」といったことが問題になります。
- 用途にあった部位を選択する。
- 用途にあった柔らかさや味を引き出すためのすじや脂肪の付着度合いを見る。
- カッティングの方向(肉の繊維に対してどう切るのか)
- カッティングの厚さ(何センチなのか)と大きさ(表面も面積)ということになります。
牛肉を見分ける方法についてはこちら
まとめ
牛肉を商品化する際によく使われる言葉として、「カット」、「カッティング」がありますが、基本的な使い分けがあります。
「カット」とは牛・豚枝肉を部位別に分けるという作業。
つまり枝肉を大分割し、各部位を脱骨・整形する作業の意味によく使われます。
この時重要になってくるのが、枝肉から各部位をどのような基準にもとづいて分割するかということです。
何故なら、各部位を構成している筋肉(赤身)、脂肪、すじなどの構成割合でその部位の特徴が出てきます。
例えば、もも部位は赤身が多く、ばら部位は、脂肪が多くそれによって各部位の味が違ってきます。
つまり、「カットする」ということは、ただ単に枝肉の大分割、脱骨、整形作業のみを意味するのではなく、「用途別」に分割するといった意味も含まれています。
次に、「カッティング」ですが、これは、一般的にカットされた部位を小売用に切り身・スライス等にすることを意味する言葉です。
このカッティング方法により数々の品目が出来上がってきます。
カッティングの目的は、部位の特徴を生かし、用途にあったものを提供をすることです。
カッティングとは、ただ単に部位を切身・スライス等の商品形態にするという意味ではなく。
部位の特徴とその美味しさをカッティングにより引き出すことで目的が達成されたことになります。
参考として牛肉の部位別の特徴について。
用途によってカットの方法を変更し、熱の伝え方によって平行にカットするのか、直角にきるのかの違いを知ることができたのではないでしょうか。
牛肉は、あまり生で食べることをしないため加熱によって食感が変わります。
このカッティング方法が違うだけで、印象であったり、食感を左右することは間違いないと思います。
家庭で、調理場で、このカッティングはいたるところで行われますが、必ず抑えておきたい重要なポイントになります。
コメント
コメント一覧 (6件)
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