近年の牛肉の高騰から飲食店の方々が、和牛から交雑へ、交雑からホルスタインへとシフトしているとの声を多数聞くようになりました。
- しかし、ホルスタインといえどどういったものなんでしょうか?
- いくらぐらいなのか?これから値段があがるのではないか?
などもエムマート市場においての問い合わせを受けるようになりました。
今回は、それらについて解説していきます。
近年の牛価格高騰からホルスタインサーロインが注目されつつあります
牛の価格高騰の要因において様々な意見が述べられています。
その要因としては、生産頭数の減少や飼料の高騰などあげられていますが、その根拠においては
平成28年7月成牛と畜頭数は、90.1千頭(前年比91.8%)となり、16ヶ月連続で前年割れとなった。
内訳を見ますと、和牛が40.4千頭(前年比90.0%)、交雑牛18.8千頭(同100.6%)、乳牛去勢16.5千頭(同93.4%)でありました。
出荷頭数減少傾向が継続していることが伺えます。
平成28年8月の成牛と畜頭数は、速報値(8/31まで集計)で81.2千頭(前年比96.8%)と減少しています。
(独)農畜産業振興機構が8月25日に公表した牛肉の需給予測によると、出荷頭数は、交雑種は酪農家における乳用牛への黒毛交配率の上昇により、増加に転じると見込まれるものの、和牛および乳用種は減少が継続すると見込まれます。
全体では、と畜場稼働日数が8月、9月ともに前年同月を上回ると見込まれ、8月の出荷頭数は前年同月を僅かに上回る一方で、9月の出荷頭数は前年同月を僅かに下回ると予測しています。
引用元: (独)農畜産業振興機構
とあります。ただ、今後においても不安定な価格が続くような状況になりそうです。
また、高騰が続いていながらも食肉の需要においては、家計においては
総務省発表の平成28年7月度家計調査報告による、全国二人以上の1世帯当たり牛肉購入量は511g(前年比108.7%)、支出金額が1,736円(同105.7%)と購入量、金額ともに伸びました。
引用元: 総務省
外食においては
日本フードサービス協会がまとめた外食産業市場調査7月度結果報告によると、前年に比べて土日が2日多い曜日まわりで、外食需要を概ね2~3%押し上げた。
ファーストフードでは、前年減の反動で数字的に好調の洋風がけん引し前年比9.8%増、ファミリーレストランも同3.8%増となり、外食全体では同5.9%増加した。焼肉は夏休み需要を取り込み前年比8.1%増と引き続き好調であったとしている。
引用元: 日本フードサービス協会
となっています。また、全国の在庫数をみますと
(独)農畜産業振興機構公表の平成28年6月末の推定期末在庫量は、112.7千トン(前年比84.9%、前月比102.6%)と、46月連続で前年を下回る数量になったが前月比では増加した。
内訳は、輸入品在庫が112.4千トン(前年比83.6%、前月比102.9%)、国産品在庫が10.3千トン(同103.7%、同98.5%)であった。推定期末在庫のうち、国産品は平成27年12月以降7ヶ月連続で前年を上回る水準が継続している。
同機構によれば、国産品と輸入品を合わせた期末在庫は7月は126.8千トン(前年比87.8%)、8月は125.3千トン(同 88.3%)、9月は120.9千トン(同84.5%)と前年比では7月から9月にかけて前年を大幅に下回ると予測している。
引用元: (独)農畜産業振興機構
市況においては
平成28年8月の東京市場枝肉卸売価格(速報値8/31時点)は、和牛去勢A5が2,800円(前年比113.0%)、和牛去勢A4が2,534円(同110.0%)、和牛去勢A3が2,375円(同110.1%)、交雑牛B3が1,690円(同102.0%)と、和牛は引き続き前年を10%以上も大きく回った。
(独)農畜産業振興機構が8月25日公表した9月の国内出荷予測頭数は、和牛が36.1千頭(前年比97.3%)、交雑牛が18.7千頭(同107.2%)、乳牛(雌含む)が30.9千頭(同96.2%)であり、全体では87.1千頭(同98.8%)としている。
と畜場稼働日が前年より1日多いため、1日当たり出荷頭数ベースで比較すると前年比95.1%としている。季節の変わり目やシルバーウイーク需要に期待したいが、高値により市中は需要が低迷しており、9月一杯は引き続き軟調もしくは弱もちあいが想定されます。
引用元: (独)農畜産業振興機構
とあります。
以上の事から、消費が伸びつつも価格の不安定な状況が続く予想もされます。特に和牛や乳用においては顕著にみられるのではないかと思います。
ホルスタインサーロイン肉の特徴
ホルスタインサーロイン肉は、飼養目的や(肉専用か乳用)品種の違いによって体格が違います。サーロインのみで見てみますと、肉全体が薄くなっており盤面が小さめとなります。しかしながら、犬猿されがちな脂のサシ(脂肪交雑)がなく、赤身肉の代表として見られるようになっています。
しっかりと動物性たんぱく質をとって健康を維持したいなどの声においては対応できるものとなっています。
また、ミンチとしてよく使われることが多かったホルスは、飼養方法に変化があってから味わいがでるようになり、価格帯が和牛よりも半値ほどで購入できることもあって注目されつつあります。
まとめ
ホルスタインサーロイン肉には、和牛とは違い飼養目的や品種の違いから肉質、色などが違います。また、需要が不安定であるがゆえに価格帯が上昇傾向になっています。
和牛や交雑の価格が高騰する中で、ホルスに変更する業態も増えてきています。
また、様々な問題をかかえつつある情勢に注視していく必要があるのではないかと思います。
追記
2019年11月において牛肉が高騰したものの現在では価格が安定してきています。
供給のほうは、不安定なものが続きますが枝肉価格を基準におくと和牛は2400円/kg前後、交雑は1900円/kg前後、ホルスタインは800円/kg前後になっています。
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[…] ホルスタインサーロイン肉の特徴と相場についてhttps://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/2061/御覧頂きありがとうございます。 近年の牛肉の高騰から飲食店の方々が、和牛から交雑へ、交雑からホルスタインへとシ… […]
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