牛肉のラベル表示には様々な記載があります。
何故様々な事を書く必要があるのでしょうか?
それには、消費者にとって信頼を得るためにあります。
今回は、ラベル表示についてご紹介していきます。
- 表示についてはどこが管轄しているのか?
- 販売されている牛肉のラベル表示の意味とは?
- ラベル表示にはどういった決まりがあるのか?
ラベルに記載してある表示には、法規にのって様々な情報が記載されています。
食品の表示は、景表法、食品衛生法、JAS法、健康増進法等に基づき、その政省令、通達、ガイドライン、条例等によって決められています。
平成21年9月に消費者庁発足とともに、食肉を含む食品の表示は、消費者庁に一元的に所管されています。
さらに平成25年6月に、JAS法、食品衛生法のうち表示に係わる規定が「食品表示法」として成立しています。
対面販売(計量販売)、小売店での表示
食肉専門小売店など、陳列された食肉を購入者の希望に応じて計量販売する場合。
- 食肉の商品名称
- 原産地
- 100gあたりの単価
- 冷凍及び解凍品にあってその表示
- 牛(国産)にあっては個体識別番号
5項目を外部から見やすいように邦文で表示してあります。
事前包装された食肉の表示
食品スーパー、コンビニ店など、事前包装(パック)された食肉を販売する場合はその包装に、対面販売小売店表示での5項目を加えて表示します。
①量目(入っている重量)
②販売価格
③消費期限
④加工場(包装した場所)の名称
⑤加工場(包装した場所)の所在地
商品名称について
食肉商品名称は、「食肉の種類」と「部位」で表示します。
「食肉の種類」とは、牛肉・豚肉などいい、「部位」とは、リブロース、バラなどの部位名称を指します。
輸入牛肉の部位も日本的表現の部位名称で表示します。
牛・ぶたの副生物(内臓)も、タン(舌)、レバー、ミノなどの部位名称を表示します。
また、牛・豚の消化器などは一括「シロモツ」と表示することもあります。
原産地の表示
国産の場合は「国産」「国内産」と表示します。
県別の表示はしなくても良いことになっています。
食肉の場合、特に国産牛肉は子牛と成牛の飼養地が異なる場合が多く、また、牛肉やその他の食肉についても加工する場所(屠畜場、部分肉加工場、精肉工場)と、飼養地の都道府県が違うことが多いので、栽培の場所と加工場所が一定な農産物などと違って、県別表示してもあまり意味がないことになるからです。
輸入食肉の場合はその「国名」(アメリカ、オーストラリアなど)を表示します。
原産地は、最も飼養期間の長い場所をいいます。
子牛を輸入して日本で育てられた場合、どちらの飼養期間が長いかによって原産地が決まります。
原産地を都道府県や一般的にしられている地名で表示する場合は、主たる飼養地が属する都道府県や市町村名そのほか一般的に知られている国内の地名を表示すれば、「国産」の表示はしなくてもよいとされています。
銘柄牛の中に、国内の地名が入っている場合も、「国産」の表示は省略できます。
原産地表示・・・加工度の低い加工食肉表示
生鮮食品に近い6品群の食肉であって、容器に入れ事前に包装されたものについて、食肉の重量が50%以上を占める商品は、食肉の原産表示を表示します。
店内で加工され消費者に販売する場合は、表示義務はありませんが、原産地表示の関心が高まっていることもあり、その情報提供が食肉に対する信頼につなげるため、食肉小売店頭で原産地表示をする店舗が多くあります。
個体識別番号の表示
国内で飼養された牛には、個体識別番号を表示した耳標を装着します。この牛が、屠畜されて枝肉になり、部分肉になっても卸売業者、加工業者はその取引の都度、個体識別番号とその商品情報を管理・保存し、小売段階へ伝えることになっています。
小売店では、消費者に個体識別番号を表示し販売します。
ただし、①加工したもの②ひき肉(ミンチ)③切り落とし、細切れなど、幾つもの牛肉や、整形時に副次的に得られた端材を使う場合は個体識別番号を表示しません。
個体識別のデータは、(独)家畜改良センターのホームページにアクセスし、個体識別番号を入力すれば、その牛肉の種別、生年月日、流通ルート等が把握できる仕組みになっています。
品種・種別・銘柄・「wagyu」などの表示
食肉の品種等の表示はしなくても良く、任意とされています。
但し、和牛や黒豚についてはその旨を表示して販売することが多く、この場合、次のように正しく表示しなければなりません。
和牛の表示
和牛と表示できるものは、
- 黒毛和種
- 褐毛和種
- 日本短角種
- 無角和種
の4品種、それと1~4の品種を交配したものです。
※ちなみに海外から輸入された「wagyu」の表示はできません。
黒毛和種が和牛の大半を占めていますが、黒毛和種以外の牛肉に「黒牛」「黒」の文字を使用すると、消費者に誤認を招くことがあるのでその場合、品種名を併記することにしています。
また、和牛以外のものに「わぎゅう」「WAGYU」等紛らわしい表示を行った場合も不当表示に該当します。
「和牛など特色のある食肉の表示に関するガイドライン」(農林水産省)では、「子牛登記証明書」などの書類によって上記の品種を証明できて、国内で出生し、飼養された牛であることとされています。
混合した食肉の表示
複数のものを混合して販売するときは、重量の多いものから順番に記載します。3つ以上のものを混合する場合は「その他」で示します。
消費期限の表示
消費期限とは、定められた方法により保存した場合に、腐敗、変質その他の品質劣化に伴い、安全性を欠くこととなる恐れが無いと認められる期限を示す年月日です。
期限の設定は、個々の加工者が試験(公的な試験機関に依頼して)を行うことになっています。
ここには、記載することは難しいですが当社においても公的試験を受けて消費期限の安全性に担保しています。
また、試験方法については厚生省のガイドラインに記載されています。
冷蔵部分肉を精肉に加工した場合、4℃で保存されたスライス肉は牛肉で6日、豚肉で5日、鶏肉で4日、可食期間があることを一般社団法人日本食肉加工協会が試験した消費期限フレームより記載されています。「一般社団法人日本食肉加工協会」より
精肉など、概ね5日以内で品質の劣化がみられる食肉には、前記の消費期限を表示し、部分肉など比較的品質が劣化しにくい食肉には「賞味期限」を表示します。
値引き(割引)販売の表示
二十価格を表示して販売する場合は、次の2つの要件を適正に示す必要があります。
①同一性の商品、同品質、同部位、同銘柄のもの
②「比較対象価格」相当期間(過去8週間の内の過半の期間)の販売価格。
しかし、商品の同一性や、対象価格を示すことは難しい場合が多く、小売店へは、一定の時間から閉店までの間にその商品を値引きする、タイムセールを推奨しています。
生食用食肉の表示
生食用食肉については、厚生労働省により、その加工基準が定められ(平成24年10月)、消費者庁により生食用表示基準が示されています。
まとめ
値段の表示などの記載だけではなく多くの情報が明記されているラベルは、消費者が安心して商品を購入できるようにしてあるもので、この明記と実際に違うものに関しては、厳しい措置がとられるようになっています。
また、このように実際に正しく販売されているかどうかについては、調査する方がいて、ランダムにお店をまわり実際に商品を購入し、DNA検査まで行っており、購入したものが本当にその牛であっているのかどうか確認しています。
違った場合は、厳しい措置をとられ自治体によっては表示に関する罰則があった場合、会社の名前をホームページに(自治体)記載されていることがありますので注意が必要です。
過去に偽装問題などあり、牛肉を取り扱うことについては非常に厳しい傾向にあります。
安心・安全は大切なのです。
では次回に!
牛肉の個体識別番号についてはこちら
コメント
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