ローストビーフはロースやもものブロックを使ってオーブンで焼いたものになります。
肉内部の温度を適切に温度調節しながら火の通り具合を調節し、切り分けたときに赤い肉汁がにじみ出ることがよいとされています。
しかし、肉の温度の調節といってもひじょうに難しいものです。
- お肉は熱によって肉の繊維が縮んでいくため、お肉が硬く感じるようになる。
- 牛肉のもも部位は水分量が多いため、熱を加えると肉汁が出過ぎるためパサついてしまう。
- 肉の品質によって熱の伝わり方が違うため、仕上がりに差がある。
- 生焼けだと衛生上、菌の温床になる。
ローストビーフは肉を焼いたときの香ばしさを感じにくいものの、硬い部位であるももでもほどよい食感と冷凍や冷蔵で保管でき、取り置きが可能なため、よい調理法です。
そこで考えられたのが低温調理です。
焼きすぎると硬くなるお肉の特徴から、低温で加熱することによって肉の中心が赤いままでも柔らかく食べられ、熱が入っているため、菌の増加を抑制することができます。
牛肉は塊肉、ブロック肉で購入するすればカット済みのお肉より手間がかかっていないため、コスパによいことと保存に適したものになります。
ローストビーフはこうしたお肉の塊に最適な調理であり、おいしく、安心して食べられる低温調理が最適なのです。
- 低温調理をする理由がわかる。
- 低温調理のデメリットとメリットとは?使い勝手がよい低温調理器具を知ることがきます。
- 従来の低温調理方法と低温調理器具とは何が違うのかわかる。
- 【牛肉のプロ解】ローストビーフにはどのような部位と切り方がよいのか知ることができます。
- 【牛肉のプロおすすめ!】低温調理を使ったレシピまとめ
焼くことがお肉の料理だけではなく、最新の調理方法がいかに便利なのか理解していただければと思います。
【やわらかく焼きたい方にはこちらの記事がおすすめ!】
低温調理をする理由するとは?
製品は、肉塊のままで、その中心部を次の表の第1欄に掲げる温度の区分に応じ、同表の第2欄に掲げる時間加熱し、又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌しなければならない。この場合において、製品の中心部の温度が35°以上52°未満の状態の時間を170分以内としなければならない。 《別表》
第1欄 55° 56° 57° 58° 59° 60° 61° 62° 63° 第2欄 97分 64分 43分 28分 19分 12分 9分 6分 瞬時
難しい内容ですが、中心部を55°で97分以上から63°では瞬時以上までのいずれかで調理しなければなりません。
すなわち、お肉の中心までしっかりと加熱してくださいということです。
お腹が痛くならないようにするには、オーブンでは肉の中心温度が不安定なので低温調理でしっかりと確認することが必要なんです。
- 低温調理だから美味しくなるのではなく、ローストビーフのような料理には、安心して食べられるようにすること。
- 肉の中心温度を知る、計測できることは温度調節が可能になる。
【お肉の料理には中心温度が密接!なぜ?理解するにはこちらの記事!】
ローストビーフで低温調理器を使う利便性とは?
ローストビーフを調理する上で低温調理をの方法とはどういったことをするのでしょうか。
実際に従来の低温調理とはどういったものか、低温調理器とどういうふうに違いがあるのか確認していきます。
従来の低温調理の方法
家庭で行う上で準備と方法についてご紹介していきます。
- なべ
- 真空包装(パック)の袋
- 真空包装の機械(真空包装がなければジップロックで代用)
- 肉芯温度計
- 温度計
- 牛肉ブロックを冷蔵庫から取り出し、肉の温度をもどします。(10分~20分ほど)
- 取り出した牛肉は下味をつけます。(塩、こしょう)
- 鍋に肉が浸る程度に水を入れ、鍋取付用温度計を付けて100°を超えないように温めます。
- 肉を真空包装に入れ真空にします。この時、真空包装は2重のほうが漏れた時の対策になります。
- 温度計は鍋の水は70°~80°にし、約1時間待ちます。
- 鍋から牛肉を取り出し、開封してから肉の中心温度を確認します。63°付近で肉汁がしたたる程度でしたら完成
低温調理器の調理の方法
低温調理の方法は従来と変わりませんが、低温調理器のコスパは格段にあがることはいなめません。
ただし、この低温調理器のよいところは鍋の温度管理をしなくてもよいところにあります。
従来の低温調理では70°~80°で温度管理しなくてはいけないことで、この温度をこえてくると急激に肉質がしまって硬くなる傾向にあるからです。
また、鍋から離れて他の作業などできるため、便利と言えます。
低温調理器とは自動で温度管理してくれる調理器なのです。
焼くということと同じでおいしいとやわらかさは、経験を積むのみです。
オーブンなどは火加減や肉の温度の調整が難しいです。
手軽さで選ぶのではなく、ローストビーフをはじめて作る方には低温調理器を使ったほうが上手にしあがります。
肉の中心温度で自分がおいしいと感じられる温度がわかってきたらオーブンに挑戦するとよいでしょう。
オーブンですとオリジナルソースも作れるようになります。
【ソースを作るためのレシピ集はこちら!】
牛肉の焼肉などに使うソース・タレ・ドレッシングの黄金の法則とは?
【圧力鍋も使い勝手がよい!冬場の料理にはこの記事を!】
硬い牛肉には圧力鍋が最適!使い方と圧力鍋を使った煮込みレシピまとめ!!
ローストビーフのおすすめ部位とは?
これらは何故わけられているかというと、流通のしやすさではありません。
お肉の部位にはそれぞれ特徴や個性があります。
私には得意分野と苦手な分野がありますが、お肉にも焼き物に適している部位や煮込み料理にてきしている部位などそれぞれです。
それは、味わいや肉質、硬さや柔らかさなどといった特徴があるために適した使い方をしてくださいという意味で多くの部位にわけられています。
ランイチのイチボ
もも系代表格といえるランイチを小割するとイチボとランプという部位に分かれます。
このイチボはサーロインにつながっていることもあり、クレートという箇所にはステーキとして使われることが多い部位になります。
脂肪交雑を含む部位でもありますが、味わいはあっさりとして柔らかさがあります。
準高級部位として高価な部位ではありますが、飲食店でローストビーフに使われることが多く、プロの味わいを引き出すにはかかせないキャラクターを持っています。
みずみずしさの乏しさを感じますが、焼き方が下手でも美味しく焼け、なおかつ味わいはサーロインに匹敵します。
【らんいちを徹底解説!詳しくはこちらの記事を!】
牛肉部位をプロが解説!「らんいち」を徹底解剖!「イチボ」とは何?
牛肉のうちもも
牛肉のうちももをローストビーフにすることは定番ではありますが、もも特有のみずみずしさと価格が安価な部位になります。
赤身肉としても脂をさけたい方にはおすすめ部位ですが、形のよさが柵どりがしやすいため、焼肉のように切ったり、大判のように大きく切れるため人気の高い部位になります。
ただし、硬い部位のため薄切りにすることをおすすめします。
低温調理でローストビーフを使ったおすすめレシピ
冷めたままでも食べられる肉料理は豚と言われてましたが、時代が変わったと感じるのが多々あります。
牛肉は冷やしてもうまいなんてことはなかったのは私だけなのでしょうか。
牛肉のプロがおすすめするレシピはたたき風ではありますが、ローストビーフをベースに活用していただければと思います。
生片鮮牛肉(しょんぴぇんしぇんにゅうろう)
材料(4人分)
- 牛かた肉(塊)・・・300g
- ねぎ・・・1/3本(斜め薄切り)
- 生姜・・・2~3枚(薄切り)
- 油・・・肉の4%(大さじ1杯)
- 大根・・・200g
- トマト・・・小1個
- パセリ・・・少量 【調味料】
- 醤油・・・大さじ2 1/2杯
- 酢・・・大匙1杯
- 砂糖・・・大さじ2杯
- すりごま・・・おおさじ2杯
- 豆板醤・・・小さじ2/3杯
- ねぎ・・・大さじ2杯(みじん切り)
- 生姜・・・(みじん切り)
- 小さじ2杯 にんにく・・・小さじ1/5杯
作り方
- 調味料で牛肉に下味をつけ、ネギ、生姜を絡ませて野菜の香味を移し、30分そのままおいておきます。
- フライパンに油を熱し下味をつけた牛肉をいれ、強火で肉の表面に焼き色をつけます。しばらくさましておき、汁気をふき取った肉だけをラップでしっかりと包み、2~3時間ほど冷凍します。食べる3時間前に冷蔵室へ移し、半解凍にします。
- 大根は、長さ5cmに切り、縦に薄く切ります。さらに縦に斜めに太めの千切りにし、さっと水洗いしたら、よく水気をきっておきます。
- トマトは湯むきにし、1.5cm角に切ります。
- たれの材料を混ぜ合わせておきます。
- 半解凍の肉を繊維に逆らって極薄にきります。もりつけ皿に大根を盛り、肉をとりわけやすいように時計まわりに少し重ね、中央にものせて大根を覆います。周囲にトマトとパセリをあしらい、別皿のたれをかけて食べるとサラダ感覚の肉料理ができあがります。
牛肉のたたき風白妙酢添え
材料(4人分)
牛ヒレ肉・・・300g
醤油・・・大さじ1杯
にんにく・・1かけ
あさつき(万能ねぎ)・・・20g
油・・・おおさじ1杯
わかめ(もどしたもの)・・・50g
ミニトマト・・・8個 【白妙酢】
絹ごし豆腐・・・1/2丁
醤油・・・大さじ2杯
だし・・・大さじ2杯
酢・・・大さじ1杯
作り方
- 牛肉に醤油を全体にふりかけておきます。
- 大根とニンニクはすりおろし、あさつきは小口切りにします。
- 大根おろしを軽く搾り、あさつきとよく混ぜ合わせておきます。
- 油で熱したフライパンに肉を入れ、全体的に色付く程度に焼けたら取り出します。
- 肉におろしにんにくをすりつけ、肉に全体にまぶせます。それを包丁のはらでたたきラップに包み冷蔵庫で冷やします。
- 肉を薄切り、わかめ、ミニトマトとともに盛り、白妙酢を添えます。
牛肉のたたき風
甘辛ダレが牛肉の味わいを引き立たせてくれます。
材料(4人分)
牛ももブロック・・・400g
長ネギ・・・1/2本
しょうがの薄切り・・・薄切り
レタス・・・200g
貝割れ菜・・・50g
油・・・大さじ1
塩・・・小さじ1/3
こしょう・・・少量
ピーナッツバター・・・30g
しょうがのすりおろし・・・小さじ1/2
にんにくのすりおろし、豆板醬、ごま油・・・各小さじ1
砂糖、醤油・・・各大さじ2
酢・・・大さじ1
作り方
- 長ネギは薄切りにし、塩、しょうがとともに牛肉にこすりつけて20分ほどおく。
- フライパンに油を熱し、薬味を外した肉を入れ、全面を焼き付ける。弱火にして5分ほど焼く。
- 2をアルミホイルできれいに包んで徐々に冷まし、厚さ5mm程度に薄く切る。
- レタスはせん切り、貝割れ菜は根を取って2つに切る。
- ピーナッツバター、しょうがのすりおろし、にんにくのすりおろし、砂糖、豆板醬をよく混ぜ合わせ、残りのタレの材料も加えてたれを作る。
- レタスに肉を乗せて貝割れを添え、タレをかける。
牛肉を使ったしぐれ煮
材料(4人分)
牛モモ肉(薄切り)・・・300g(カッパやそとももが良い)
サラダ油・・・大さじ1杯
生姜大・・・1かけ
酒・・・1/3カップ
水・・・1/3カップ
酢・・・小さじ1杯強
砂糖・・・大さじ1杯1/2
みりん・・・大さじ1杯強
ハオ油・・・大さじ1杯
醤油・・・大さじ2杯
はちみつ・・・大さじ1杯
ふき青煮 ふき・・・400g
だし・・・3/4カップ
砂糖・・・大さじ2杯弱
塩・・・小さじ1杯弱
醤油・・・小さじ1杯
作り方
- 牛肉は4~5cmに切り、サラダ油をまぶします。
- 生姜は薄く皮をむき、半分は千切りにして水にさらし針生姜をつくります。
- なべに酒、水、酢を入れて煮立たせ、牛肉を塊にならないように加え、約10分煮ます。そして砂糖、みりん、ハオ油を加え5~6分煮ます。
- 牛肉を取り出し、その後にはちみつ(又は水飴)を加えて煮汁を煮詰め、牛肉を戻してからめます。
- ふきは葉を切り落とし鍋に入る大きさに切り、塩をふり板ずりします。
- 熱湯にふきを入れ、少し柔らかくなったら細かいものから水に取り皮をむき、よく水気を切り6cmに切ります。
- しょうゆ意外の調味料をなべで煮立たてふきをくわえます。箸でまぜながら2分程度煮たら皿にとり、冷やします。その後煮汁に醤油を加え、やや冷めたらふきにかえけます。
- 器に牛肉とふきを盛り、針生姜をあしらいます。
まとめ
低温調理とは肉芯を加熱することで菌の増加を抑制し、安心して食せる調理法になります。
- いきなりオーブンで温度管理が難しい場合は、低温調理をやってみる。
- 低温調理を効率よく調理するには低温調理器を使うとよい。
- 低温調理でつくるローストビーフは、安心かつ冷蔵、冷凍保存がきくから便利!
- 使用する部位は肉汁たっぷりのもも系を使うとよいが、硬さもあるため、「イチボ」と「うちもも」がおすすめ!
- 低温調理だからうまくなるとは限らない。あくまでもブロック肉調理の入門!
【オーブンを使ったローストビーフの特集はこちら!】
コメント
コメント一覧 (5件)
[…] 炭火で作る牛たたきとと特選レシピ […]
[…] 炭火で作る牛たたきとと特選レシピ […]
[…] 炭火で作る牛たたきとと特選レシピhttps://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/707/御覧頂きありがとうございます。 ローストビーフが世の中はびこる中、「たたき」がさみしく感じます。 今回は、「た… […]
[…] 炭火で作る牛たたきとと特選レシピhttps://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/707/御覧頂きありがとうございます。 ローストビーフが世の中はびこる中、「たたき」がさみしく感じます。 今回は、「た… […]
[…] 炭火で作る牛たたきとと特選レシピ […]