かいのみは、牛のともばらを小割するときに取り出す赤身の部分です。「どこにあるのか」「ハラミとは違うのか」「筋をどこまで取り、どの用途に分けるのか」を、元の小割写真に沿って説明します。
肉の厚み、表面脂肪、脂肪交雑は個体と整形状態で変わります。赤身が多い部分だから脂がほとんどない、あるいは水分が少ないから日持ちする、と一律には判断できません。

かいのみの位置と英語名を確認する

国内の小割では、ともばらの内側の赤身としてかいのみを取り扱います。横隔膜の筋肉であるハラミ・サガリとは分けて考えます。「対になるから同じ体系」という説明では、仕入れる部位を取り違えてしまいます。
米国食肉輸出連合会の各国呼称表では、かいのみはフラップミート(185A)、ハラミはアウトサイドスカート(121C)、サガリはハンギングテンダー(1765)として記載されています。かいのみをアウトサイドスカートと同定するのは適切ではありません。同表にはインサイドスカート(121D)にもハラミの和名が記載されており、輸入品は英語名だけでなく国・規格コード・筋肉の範囲まで確認してください。
ともばらの特徴と用途
ともばらは範囲が広く、掲載例ではなかばらとそとばらに分けて扱っています。場所により赤身の厚さや脂肪・筋の入り方が違い、すき焼き、焼肉、シチュー、切り落とし等へ用途を分けます。
表面脂肪や筋を多く除く規格では整形ロスが増えますが、部位名だけで歩留まりは決まりません。保存は商品の温度・期限・包装状態を基準にし、脂肪や水分に関する印象を日持ちの根拠にしないでください。

写真で見るともばらの分割と筋引き
以下は熟練者向けの加工例です。原料の大きさ、厚み、整形規格が違えば分割線も変わります。清潔な器具と安定した作業台を使い、原料の温度管理を行い、手指を刃の進行方向へ置かないでください。
1.なかばらとそとばらを分ける
掲載例では、写真の点線に沿ってなかばらとそとばらを切り離します。写真ではおおむね二つに分けていますが、同重量の二等分を必須条件にするものではありません。実際の筋肉の境と販売規格に合わせます。

2.かいのみ側の厚みと用途を見分ける
かいのみ側へ進むと、写真例では赤身が厚くなっています。外側の赤身とかいのみの境、肉の厚み、筋の残りを確かめ、切り落とし、シチュー、焼肉などの用途を分けます。硬さは部位内の位置や個体でも変わります。

3.内側のかぶり・脂肪・筋を取る
先に内側のかぶりを切り離します。かぶりを取った後の内側脂肪を除き、赤身を削り過ぎないように、かいのみの表面の筋を引きます。

写真の中央の点線を目安に、aとbの二つの部分へ分けます。a・bそれぞれの外側脂肪を取り、その下の筋を引きます。記号はこの写真の加工例を示すもので、一般の取引規格名ではありません。



4.厚みがある原料を、かいのみと外側赤身に分ける
この小割は肉付きに厚みのある原料の例です。薄い原料まで同じ分割をすると、商品が小さくなり、歩留まりや作業効率が悪くなることがあります。薄い場合は小割を増やさず、用途に合うサイズを残す判断も必要です。

かいのみと外側赤身の境に沿って、写真の点線のように分けます。かいのみ側に残る脂肪と筋を、目的の整形規格に合わせて取り除きます。
5.a部分を肉の目に沿って小割する
二分割したかいのみのa部分は、本体側が厚く、反対側へ行くほど薄い形です。写真の点線を目安に、肉の目に沿って三つに分けます。その後、食べる際の繊維の長さがそろうよう、切り出す方向を決めます。
用途は、厚みを残せる部分ならミニステーキや焼肉、薄い部分や端材なら切り落とし等を検討します。原文で挙げていた「たたき」は過去の用途例で、表面だけを焼けば安全に食べられるという意味ではありません。通常の加熱用原料は中心まで十分に加熱してください。


厚み・脂・筋に合わせた商品づくり
かいのみは赤身の多い部分として扱いますが、脂肪交雑が入るものもあります。肉付きがよい原料と薄い原料を、同じ厚さのステーキ用にそろえようとすると無理が生じます。写真だけで個体全体の水分量や脂肪量を決めず、現品を見て用途を分けましょう。

繊維の向き、切り出しの厚さ、加熱の程度によって口当たりは変わります。加熱中に水分が失われると硬さやパサつきが出ることがありますが、「水分が足りない部位」と一律に扱わず、中心までの安全な加熱と食感の両方を確認します。

焼肉カットの基本と、修業時代に教わったこと

牛肉を切る前に、どちらを表に見せるか、肉の目と筋がどちらへ走るかを確認します。色艶や見栄えは盛り付けの判断材料ですが、安全の判定とは分けてください。
同じ商品内では厚さと間隔をそろえるのが基本です。原文の約6mmは焼肉カットの一例であり、すべてのかいのみに最適な厚さではありません。薄い部位・厚い部位、加熱器具、1皿の量を合わせて決めます。手指で幅を取る場合も刃先から十分に離し、刃を肉の下へ差し入れて手元へ向けるような危険な操作は避けます。
ナイフは幅が狭いものなら必ずよいということではなく、作業と原料に合うものを選び、切れ味と取り扱いを管理します。
私が修業していたころ、諸先輩方は「ナイフの切れないものは、仕事ができない」と話していました。切れ味を整え、カット幅や間隔をそろえる。当たり前のようで、その当たり前が難しいと今でも感じます。
仕入れは部位名に加え、整形範囲と用途で比較する
- かいのみを含む原料か、取り出し済みの単品か。国・規格・筋肉の範囲は合っているか。
- 筋・表面脂肪・かぶりの残り、厚み、ブロックの重量は用途に合うか。
- 整形で除く部分、カットの端材、加熱で減る重量を別に記録できるか。
- 用途ごとに使える重量と加工の手間を含めて、1皿の原価を比較できるか。
整形後の使用可能重量で原料代を割ると、仕入kg単価とは異なる原価が見えてきます。端材を他の料理に使う場合も、廃棄と混同せず、用途ごとの実重量を記録してください。未実測の歩留まりや、かいのみの常設在庫は仮定しません。
小割の手間と用途配分まで考えて、業務用原料を選びましょう。業務用牛肉をお探しの事業者の方は、五十嵐商会のMマート商品一覧で、現在の用途・規格・ロット・不定貫重量・税込金額・送料・在庫・出荷日と到着見込みをご確認ください。
バナーは当社の商品一覧への案内です。掲載部位・内臓・完成料理や、スライス・小分け等の加工対応を保証するものではありません。Mマートは事業者・団体等を対象とする会員制の業務用市場です。購入者の利用条件をご確認ください。
まとめ
かいのみは横隔膜とは区別し、名称・規格と現品の形を合わせて確認します。写真のa・bや点線は加工例として使い、肉の厚みと筋の状態に合わせて商品を組み立ててください。保存期限は、肉の色や水分の印象から延ばさないことも大切です。
参照資料
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