カタ・ウデをブロックで仕入れたものの、どこまで筋を引き、どの部分を焼肉やスライスに回せばよいか迷うことはありませんか。細かく切るだけでは、形がそろわず、使える赤身まで削ってしまうことがあります。
この記事では、五十嵐商会の既存の加工写真と解説をもとに、分割する境目、筋の処理、用途別の商品化を説明します。部位の一般的な特徴はウデ・かたの特徴と料理用途、牛全体の位置関係は牛肉の13部位をご覧ください。
部分肉の整形と小割りのポイント

小割りは筋肉の境目に沿って分け、整形は用途に応じて筋・脂肪などを除く作業です。最初に作る商品を決めると、焼肉用に形をそろえる部分、薄切りへ回す部分、煮込みやミンチに使う部分を分けて考えられます。
以下は加工方法の例です。分割範囲や呼び名は加工場・取引規格によって異なり、肉の大きさや筋の位置にも個体差があります。写真と現物を照合し、特定の長さや厚さをすべての牛肉へ当てはめないでください。
かたの肉質を確認する
かたは複数の筋肉からなり、筋や筋膜の多い部分と、比較的柔らかい部分が混在します。ブロック全体を同じ硬さとして扱わず、筋の入り方、肉目、脂肪量、形状を確認します。小割り後は焼肉・ステーキ・スライス・煮込み・加工原料などへ、現物に合う用途を選びます。
スライス用の整形・筋引き

- とうがらしを筋肉の境目に沿って分離し、全体の表面や骨肌、筋膜を確認します。
- 写真のにのうで(A)、かたさんかく(B)、うわみすじ(C)、こさんかく(D)を見分け、骨片や汚染部など除去が必要な箇所を確認します。
- うわみすじの骨肌や、食感に影響する太い筋を処理します。ナイフを筋に沿わせ、必要以上に赤身を削らないようにします。
- ミスジ中央の太い筋は、製品の厚さと用途に応じて除去するか、筋切りを含む規格を検討します。除去する場合は筋の位置を確認して両側の赤身を外します。
- 脂肪は、取引先と合意した厚さ・除去範囲にそろえます。固定の5mmをすべての商品に適用せず、商品規格を優先してください。
加工途中で保管する場合は、食品用のシートや容器を適切に使用し、商品の保存温度を守ります。ミートペーパーを挟むだけで、変色や微生物の増殖を防げると考えないでください。手指・器具・作業台を清潔にし、肉を室温に長く置かないことも重要です。
小割り方法と商品づくり
うわみすじを分割する
うわみすじとこさんかくの境目を確認し、かたさんかく側の筋膜に沿って分離します。境目を見ずに切り込むと、隣の筋肉へ赤身を残したり、形を崩したりするため、筋膜を目印に少しずつ進めます。

こさんかくを分割する
かたさんかくとの境目、続いてミスジとの境目を確認して分離します。筋肉の境目に沿い、表面の筋と赤身の境界を見ながら作業します。

にのうでを分割する
にのうでとかたさんかくの境目から分離します。にのうでがかたさんかく側へ入り込む部分があるため、見えている表面だけで直線的に切らず、筋肉の形を確認します。

かたさんかくとミスジを分ける
両者の境目に沿い、ミスジ側の筋を目印に分離します。ミスジがかたさんかく側へ入り込む形を確認し、片側へ赤身を過剰に残さないようにします。
分割後の小割りを確認する
下の写真では、うわみすじ(A)、こさんかく(B)、かたさんかく(C)、ミスジ(D)、にのうで(E)を示しています。写真の区分と、納入先が求める規格は別に確認します。

小割り後の用途例
にのうで
骨肌や食感を妨げる筋を処理し、薄切りの切り落とし、ミンチ原料、カレー・シチューなどへ検討します。筋の多い部分を厚切りの短時間加熱へ一律に回さず、用途別に分けることがポイントです。
かたさんかく
表面の筋と内部の太い筋を確認し、必要に応じて筋に沿って分割します。焼肉用では柵の太さと肉目をそろえ、厚さは肉質と提供方法に合わせて決めます。「和牛だからどこでも柔らかい」とせず、試作で確認してください。

こさんかく
表面の筋と余分な脂肪を、決めた規格に合わせて処理します。薄切り、切り落とし、ミンチ、煮込み原料などが用途の候補です。商品に使える赤身と除去する部分を分けて計量すると、用途ごとの歩留まりを把握できます。

うわみすじ
表面の筋を処理し、肉質と厚さが合う部分を焼肉などへ選びます。筋の多い箇所は別の用途へ回すことも検討します。一つの厚さや料理に全量をそろえるより、形状と食感を見て使い分けます。

ミスジ
ミスジは中央に太い筋があります。厚切りステーキ用では筋を除く規格、薄切りの焼肉用では筋切りも含めた規格を検討し、実際の食感を確かめます。中央の筋を除去したものと、残したまま切るものを同じ工程として混在させないでください。
肉目を断つ向き、形状、厚さをそろえます。機械的にブロックの3分の1ずつを用途分けしたり、解体位置の表現だけで切り始める側を決めたりせず、現物の筋を確認します。具体的な処理はミスジの中央の筋の取り方と切り方へ。

家庭向けの購入例を探す方は、既存のミスジの取り寄せに関する記事も参照できます。購入条件は各販売先の現行表示で確認してください。
とうがらし
表面の骨肌と筋を処理し、太い部分の筋に沿って分割します。形と肉目を見ながら柵を取り、加熱する焼肉やローストなどへ検討します。一般の加熱用牛肉を、生食や加熱不十分なたたきとして提供してよいという意味ではありません。
まとめ|歩留まりと商品価値を一緒に管理する
カタの商品化では、すべての筋や脂肪を一律に取り除くのではなく、販売する規格と用途を先に決めます。安全上除去すべきものは確実に処理し、そのうえで使える赤身を残すことが重要です。
整形歩留まり=用途に使える整形後重量÷受入重量×100です。焼肉用、スライス用、煮込み用、端材、除去部分を分けて計量し、どこまでを「使える重量」に含めるかを決めて比較します。歩留まりが同じでも、販売する商品と価格の組み合わせが違えば、売上と利益は変わります。
原価比較では、商品代・送料・加工経費を同じ範囲で集計し、実際に使える重量で割ります。計算方法は部分肉の原価計算をご覧ください。別部位の小割りを学ぶ方はらんいち・イチボの解説も参考になります。
業務用ブロックの仕入れは、五十嵐商会のMマート商品一覧で掲載中の部位・整形規格・重量・注文単位をご確認ください。在庫、価格、送料、納期、加工対応は商品ごとに確認が必要です。スライス加工済みの商品や、すべての小割りの常時供給を保証するものではありません。用途、必要数量、希望規格、納品地域を添えてご相談ください。
参考:日本食肉格付協会・牛部分肉取引規格/厚生労働省・家庭での食中毒予防。規格の一般的な定義と、掲載写真による加工例は区別して扱っています。





