牛肉の流通には、多くの通過点があります。
子牛の競り⇒生産農家が飼育⇒と畜場⇒枝肉の競り⇒卸、バイヤーが購入⇒自社工場で部分肉へ⇒2次問屋へ⇒精肉店、飲食店、スーパー⇒部分肉から精肉に⇒消費者へ。
一般的にはこのような図式が多いとされています。
では、農場で直接買い付けすれば安く購入できるのでは??
と考えられます。
実は、自分も考えていましたがそれほど甘いものではありません。
全国的に牛肉の相場がセリによって決められているため、自分だけ安く購入するというのは非常に難しいものがあります。
ただ、現在の日本の流通には複雑なため、価格も割高感も否めないのですが、オーストラリアでは生産から販売まで一貫している場合が多いです。
また、オーストラリアの方々は牛肉を購入する際にはキロ単位で購入するため、消費者の消費量が多く、また牛を大量生産するために牛肉の価格が非常に安いということがあります。
では、部位で一番安いものを探そうと思えばこの全国的に決められている相場を見定めるしかないのですが、今回は全国的な基準がある牛肉の相場をご紹介しながらどの部位が一番安いのか探っていきましょう。
全国的な相場の基準は2つの牛肉の競りできまっている!
前述でお話したように全国的に牛肉の相場が決められています。
これは、取引の公平性が必要なため、一人が独占的に得をしようなんて考えないようにしているためです。
誰だって儲けたいなんて考えますが、儲けることができないようにするためではなく、あくまでも公平に取引をしようという考えです。
では、この公平性を決めるための取引の基準とはどこが決めているのかというと『競り』になります。
牛肉の競りには、2つの箇所で基準が決められており、枝肉と部分肉になります。
※他には「子牛の競り」「生体の競り」などがあります。
他にも数々の基準はありますが、相場を左右するのがこの2つになります。
この基準が世の中の牛肉の値段を決めているのです。
また、この価格相場から消費者が購入する際に諸経費や人件費などが重なり、私たちの手元にくるわけです。
では一体牛肉の価格の相場は、現在どうなっているのか部分肉相場をご紹介していきます。
ただ、国内の牛肉の主な取引は、和牛と国産の交雑牛と乳用種となっていますし、それぞれの相場が違うため分けてご紹介していきます。
和牛の部分肉相場が異常に上がっている!?高級なお肉の和牛相場
「資料 : 部分肉価格(センター「年報・業務月報」)、枝肉価格(農林水産省「食肉流通統計」)
日本を代表する牛肉の和牛。
和牛でも品種があるため今回は、黒毛和牛をピックアップしていますが黒毛和牛の流通は全国的に約94%になりますので、一番参考になります。
セットというのは業界では、フルセットとセットにわけられます。フルセットは一頭分で、セットは半頭分ということになります。
世の中にはまとめ買いがお得とありますが、牛にもあります。
価格は一キロ単位の価格になりますが、どのような部位も相場が非常に上がっているのがわかります。
全体的にみればどのような部位も2年前に比べればキロ当たり1000円ぐらいは上がっているのはわかるかと思います。
一番安い部位でもそとももになりますが、現在では約3500円/kgほどになります。
ここから諸経費や人件費が重なり大きな値段になるのですが、そとももの使い道は煮込み料理などのミンチや細切れになりますのでお高いハンバーグになることはわかるかと思います。
現在の和牛は非常に希少ですのでいたしかたないですが、ブランド牛になりますとより高価になってきます。
国産の交雑種は安い部位はないの!?
「資料 : 部分肉価格(センター「年報・業務月報」)、枝肉価格(農林水産省「食肉流通統計」)
和牛の次に安価な交雑種は、和牛と乳用種の掛け合わせが最も多くお値段も中間ぐらいにあたります。
といっても和牛との価格差が平均的にみても約500円/kgになりますので、悩みどころになります。
乳用種と比べ料理がしやすく、見栄えは和牛に劣るものの価値の高い牛肉になります。
高級料理店やチェーン店以外のお店ではよく使われていることが多く、肉には妥協したくはないが価格は抑えたいという方によく使われています。
国産最安値の乳用種は一体どうなの??
「資料 : 部分肉価格(センター「年報・業務月報」)、枝肉価格(農林水産省「食肉流通統計」)
牛肉の高騰によって需要が増えた乳用種は、1998年と比べて枝肉相場が2倍近くあがるようになりました。
それにともなって部分肉もかなり上がったと言えるでしょう。
ただ、部分肉においては他の品種においてまだまだ安価が続いており、ロインなどの高級部位を除外すればどの部位も大きな価格差はありません。
乳用種は硬いと感じることが多いので料理をする際には一工夫が必要な牛肉になります。
最新の牛肉の相場情報が知りたい場合は、食肉流通センターなどネットで掲載されてますので気になる方は調べてみてください。
まとめ
牛肉の高騰から部分肉の価格は非常にあがりましたが、やはり安い部位となればそとももになります。
記載にはありませんでしたが、すねなどの部位も非常に安いと思われがちですが牛すじが売れていることからそとももとあまり変わらないとも言われています。
生産農家が減りつつある牛肉は、価格あがるのは必然ですが安心と信頼における国産は非常に大切にしたいものです。
では次回に!
追記
牛肉の価格が高騰しつつある中、2020年3月時点でコロナウィルスによる牛肉の価格は減少しつつあります。
ただし、買い需要は高価な和牛や交雑牛ではなく、ホルスタイン経産のような安価なものにシフトしています。
それは、ミンチ材やこま切れなどの需要が高くなっているものと思われ、2020年4月では和牛、交雑牛はかなりの安価に。和牛経産やホルスタイン経産は横ばいかもしくは価格が上がり傾向にあります。
部分肉では、多くの卸業者の在庫に残りやすいものがロイン系(サーロイン、リブロース、ヒレ)になり、部分肉の相場より価格が大きく下落しています。
ロイン系の買い方に今後のポイントになるのではないでしょうか。
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