「和牛」と「国産(牛)」の違いにはきちんとした理由がある

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お肉を購入するときに価格が表示されているそばに「和牛」もしくは「黒毛和牛」や「国産(牛)」もしくは「国内産」と表示が書かれているのものが多数ありますが、ここで、「国産」や「和牛」とはどのように違いがあるのかご存じでしょうか?

「何が違う!?」
「意味あるの!?」

と思う方はおられるのではないでしょうか?

実は、「和牛」と「国産」には、きちんとした違いが区分されています。

この区分について誰が決めているのか?どういった理由で区分されているのか解説していきたいと思います。

また、何故このような疑問がでてくるかというと、「国産」と「和牛」においてこのような区分される根拠にはラベルや価格表示において法律の義務があることが根拠となっています。

実際には、「国産」と「輸入」の明確に分けるためであり、和牛という表示においては任意であることをおさえておいていただきたいと思います。この考えがないと誤解や混乱をまねく要因であると思います。

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目次

法規の原産地表示について明確に「和牛」と「国産(牛)」の違いが区分されています

平成9年頃から全国的に話題となった牛肉の表示偽装事件から業界全体にわたって消費者に信頼を失ったことがありました。輸入したものを国産と偽って販売したことにより、表示においてきびしくなったのです。

また、BSE問題や食中毒と様々ありました。事件がおこるたびに法規がかわり、現在では毎年のように変更しているように思います。

今では、勉強しておかないと何がなんだかという時代となりました。また、お肉関する法規は「農水省」と「厚生省」の管轄にありますので、より複雑になっています。

これをわかりやすくとりまとめのが「食肉公正競争規約」となるとおもいきや「消費者庁」が関わるようになりましたので、複雑きわまりないと思います。

和牛と国産の違いが明確に区分されている法規とは?

過去において表示において関わる法規は「JAS法」「食品衛生法」「牛トレサビリティ」「健康増進法」でしたが、これを「食品表示法」として平成25年6月28日公布されました。

あくまでも表示にかかわることで、食品表示法以外にも多数あります。これらをとりまとめているのが「食肉公正競争規約」となっています。要は、お肉屋さんのルールブックとなります。

ルールブックが必要なのは、食品の安心と安全が必要といわれ、また、信頼回復において大切なことになります。

国産(牛)とは

では、ルールブックにのっとって国産とは何か?について記載していきます。ここでの大切なのは、厳密に国産と輸入の違い規定することが大切になります。食肉の偽装をおこさないためにも明確なルールがあります。

尚、食肉の場合は、国産か輸入(この場合国名)かで、原産地を表示します。農産物と違って国産の都道府県名を表示する義務はありません。では、原産地とは、飼養期間が最も長い場所(国)のことをいいます。

また、食肉とは、畜肉(牛肉、豚肉、馬肉、山羊肉、めん羊肉)家兎肉、家禽肉の総称となります。飼養期間の長さで限定しているため、品種区別されていません。ですから、日本の黒毛和牛が海外で飼養期間が長ければ輸入品になります。実際にオーストラリアで日本の和牛は育てられていますので、飼養期間が長い国が原産地表示となります。

例えば、アメリカで12カ月育った牛が日本で10ヵ月育った場合ですと「アメリカ産」牛肉となり、その逆の場合は「国産」といえるのです。

何故このようになるかというと生粋の日本の牛はほとんどいないからです。黒毛和牛においても過去の歴史から海外の牛を交配したものがありますので、はっきりと言えないことから、飼養期間の長さで決められています。

では、どのようにしたら国産のものなのかわかるかというと、価格表示にある10桁の個体識別番号で検索できます。この番号によって日本のどこで育てられ、どれくらいの期間で育てられたかわかるようになります。

ここで購入したものを検索すると国産なのか輸入なのかわかるようになります。

また、時折行政がランダムにお店を選び、肉を購入し、DNA検査をして番号と牛があっているのか調べていますし、違っていれば行政処分はあります。今、ごまかせないようにきちんとなっているということです。

和牛とは

では、和牛とは何かといいますと、「食肉公正規約」、すなわちルールブックには、以下のように記載されています。

食肉の畜種、品種、銘柄等の表示は任意とされています。

出典 食肉取引協議会

和牛の場合は、その旨表示して大半であり、和牛表示する場合も夏季のルールにのっとって表示する義務があります。

  • 黒毛和種
  • 褐毛和種
  • 日本短角種
  • 無角和種
  • 上記によって品種間の交配による交雑種また、和種と和種内の交雑

また、法規ガイドラインにおいて種別区分の書面及び牛トレーサビリティ制度により品種や日本国内で出生したこと、国内で飼養されたことが確認できる牛の肉と決められています。

きちんとした書類などの証拠があって和牛と表示できます。

では、なぜ国産の表示において品種の名前など記載がないのだろうかと思いますが、これは、任意になります。ホルスタインや交雑種においては任意ですが、義務必要なのは輸入されたものなのか、国産なのかが明確にわかればよいというわけです。

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出典 食肉公正取引協議会

 

まとめ

「和牛」と「国産」の違いには、法規の表示の義務において明確に区分されています。大切なのは「国産」か「輸入」の違いがポイントとなり、飼養期間の長さで変わります。

また、和牛において根拠となる牛トレサビリティ(履歴)と証明できる書類があることと和種の品種のみによって表示が可能になります。

また、表示が任意です。ですから、日本で長く飼育されたものが国産となり、和牛は和種として証明できるものが違いとなります。

不安になったら家畜改良センターの個体識別番号を検索してみるとよいでしょう。
https://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/163/

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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