肩ロースを仕入れるとき、「どこまで焼肉やステーキに使えるか」「すじ引きにどれくらい手間がかかるか」は気になるところです。
肩ロースは大きな部分肉で、リブ側からネック側へ筋肉や筋の入り方が変わります。全体を同じ厚みで切るより、使う部分と料理を合わせることが商品価値につながります。
当社は、肩ロースを一頭全体の販売価値を支える重要部位と考えています。単価を下げる前に、用途、1食原価、使い切りを確認しましょう。
この記事でわかること
- 肩ロースの特徴を解説!
- 特徴からわかる肩ロースのおいしいところを発見!
- 問屋さんならではの知識が満載!
今回は、そのような「肩ロース」の整形のポイントをおさえながらどのような部分が、焼肉やステーキに使われているのか解説していきます。
「肩ロース」の焼肉やステーキにはリブ側を活用するとよい!
「かたロース」は「クラシタ」と呼ばれることがあります。ただし肩ロース全体を指す場合と小割りの呼び名に使う場合があるため、取引先と範囲を確認します。海外のChuck Roll等も、日本の分割線・整形条件と同じとは限りません。
本記事の「くらした部分」は写真の加工説明で使う呼び名です。小割り名と商品規格全体の名称を混同しないでください。
「かたロース」の特徴
「かたロース」は比較的大きな部分肉ですが、一頭で最も重い部位と一律には言えません。品種・体格・ネックの有無・分割方法で重量は変わります。
必要量は購入する1本の実重量と規格で判断します。写真の整形前原料と、現在のネックなし販売商品は同一仕様を保証しません。
「かたロース」は、同じ部位でも部分によって肉質や柔らかさ、風味がことなります。
リブ側のロース芯はステーキ・焼肉の候補になります。ただし、リブロースと同じ格付・食感を保証するものではありません。
写真の中央側の小割りは、断面や脂肪交雑を見て商品化する例です。サシや食感は個体によって異なります。
ネック側は筋や結合組織が目立つ部分もあり、薄切り・コマ材・煮込みが使いやすい場合があります。味の優劣を位置だけで決めず、同じカット・加熱条件で試作します。
ネック付き原料では、その部分を分けて用途と整形ロスを確認します。現在の当社Mマート肩ロースID118はネックなし仕様です。
すじ引きと整形
「かたロース」部位は、抜骨後の骨はだや小骨が多いため、これらは口に入れるわけにいきませんので、取り除く必要があります。ネックは特に多いため注意する。
肉の厚い部分だが脂肪は薄目につけます。
内側のかたロース上面の骨はだ、スジを全部とりのぞきます

抜骨後の骨はだや、骨と骨との間のスジを取り除きます。
ナイフは刃先からあご(手元)の端まで全部使って手早く、確実に引き上げていく。
けんびきすじ(背筋・鬼すじ)を取り除きます
- けんびきすじ(黄靭帯)に沿って上側、下側にナイフを入れる。(深くめくらないこと)
- ネックの方よりけんびきすじをめくりあげ一気にはぎ取る。
- そぎ取ったあとの、下側の硬いすじやかたこぶのまわり丁寧に取り除きます。
ネックの骨はだ、小骨、すじを取り除きます
- まず、図のように1骨ごとに、細くつながっている血管、脂肪、すじ、骨はだを同時にとれるだけ一度に取り除きます。(除去割合は原料と作業条件で変わるため、固定値では計算しません)
- 残りの骨はだ、小骨は捌きナイフで丁寧に取り除きます。
ネックの先端の薄い膜、汚れ、乾燥、変色、脂肪を取り除きます
ネックの先端は早く変色したり乾燥しやすい。
乾燥や変色部分は状態を確認して処理します。異臭・ぬめり・温度逸脱などが疑われる原料は、表面を削れば安全とは判断せず、衛生管理基準に従って使用可否を決めます。
ばらあし上面のすじを引きます
- ばらあし上面のすじ(膜)を脂肪と一緒に引きます。(脂肪が多いときは、まず脂肪だけを取り除き、その後すじを引きます)
- このとき、かたロースの山の上面の軟骨を一緒に取り除きます。
ばらあしくぼみの骨はだ、小骨を取り除く
小骨の確認は必ず必要です。
ネック外側のすじ、汚れ、印、乾燥、血管を全部取り除きます
- すじの引きやすいように、凹凸のところは手で平らになるようになでる。
- ここに太い血管があるから取り除きます。
- 太い血管に沿って、細長くついている脂肪は取り除きます。
ネック部のすじを引きます
ネックの外側の平らな面のすじ(すじというより膜)は、薄いが硬いので取り除きます。
その下の脂肪を残すかは用途と納入規格に合わせます。
かたロースの脂肪を取り除きます
捌きナイフを使って肉をめくり上げ、脂肪を取り除きます。脂肪を5mm程度残すのは加工例であり、すべての商品の必須規格ではありません。
はご板の軟骨を取り除きます
捌きナイフを使うと取り除きやすいです。
かたロースのスジをひきます
- はご板の骨はだ、すじをつづけて引きます。
- 脂肪を1mm程度残すのはこの加工例の目安です。仕上げは用途と規格に合わせます。
はご板とは肩甲骨のことを言います。牛を捌く人ならよく使う言葉です(肩甲骨が羽子板に似ていることから)
くらした部位の小割とすじ引き
くらした部分も小割前に内側、外側のまわりはすべてすじを引いてから小割します。
こうすると、作業しやすく効率もよいです。
1部位しか使わないときは、まわりのすじを引かずに分割し、必要な部分だけを小割りし、すじを引きます。
ネック端を切り離します
・点線よりネックを切り離します。切り離す目安は、第一肋骨(バラ骨)のネック側です。
くらした部位とかたロース部位を切り離します
かたロース芯をはがしとるようにして、左手で持ち上げ、くらした部位とかたロース部位を分割します。
バラ足を切ります
ロース芯より2センチ位のところにナイフを入れます。
下側のくらしたは切らないように、バラ足だけを切ります。
くらしたのすじを引きます
脂肪の厚い部分は適度に削りとり、すじを引きます。くらしたの肉厚部分は脂肪をほとんど取り除き、すじを引きます。他は薄目に脂肪をつけて仕上げる。
くらしたの脂肪部分を切り離し分割します。
- かたこぶを切り離します。
- 脂肪の多い部分と赤身を切り離します。
かたロース部位上側
写真のロース芯側を小割りする説明です。Chuck Eye Roll等の名称は海外の規格書・仕入仕様で確認してください。
特徴としては、かたロース部位は、リブロースの延長の部位になります。
したがってリブ側の形状と筋を見て、ステーキ・焼肉に使える範囲を選びます。同格・同じ食感になるとは保証しません。
ネック側へ向かうと、筋肉の構成や筋の入り方が変わります。
筋が気になる部分は、薄切りや惣菜原料へ分けるなど、用途を変えて価値を活かします。
このように同じ部位でも異なった肉質です。
主にステーキや焼肉用に使われます。
写真で確認する小割り部分の特徴
参考動画:クラシタ(肩ロース)の商品化。 埋め込みが表示されない場合は、YouTubeで動画を開くことができます。
「ざぶとん」等の小割り名と、肩ロース全体の別称「クラシタ」を一対一に対応させず、写真のどの筋肉・範囲を指すか、取引先の分割線と整形仕様を確認します。
特徴としては、赤身肉で肉も厚く、断面も適度にあり、サシも入りやすい部位なので見栄えも最高です。
風味の好みや食感は個体・脂肪量・熟成・加熱で変わるため、リブロースやサーロインより劣ると一律には判断しません。
繊維方向が変わるところは柵を分け、繊維を断つ向きと厚みを調整します。
焼肉用に使われることが多いです。
かたこぶ部位
特徴としては、細長い赤身肉です。
サシも入りやすい部分ですが肉質は硬い部位になるため、切り落とし用として使われます。
かたロースかぶり
この部分は、サシが入りやすく見栄えもよいですが、肉が薄いのがほとんどです。
肉厚のものは焼肉用ですが、味わいからシチュー用として使われることが多いです。
肉質が硬めのため厚切りには向いていません。
肩ロースの重量構成と一頭全体の販売価値
肩ロースのように重量構成の大きい部位は、販売単価と使い切りが一頭全体の販売金額に影響します。販売金額は「各部位の販売可能重量×その部位の販売単価」を合計して考えます。当社の実測重量構成比や利益率を示す数値は本記事では掲載していません。
単価を維持するには、焼肉向け、薄切り向け、コマ材・惣菜向けに分け、整形除去分と端材の利用先を区別します。原料・加工・包材・送料負担等を差し引くまで、粗利益が確保できたとは判断できません。
用途別に確認したいこと
- ステーキ:ロース芯側の筋・厚み・1枚重量を確認し、同じ加熱条件で試作する。
- 焼肉:小割りごとの繊維方向と筋を見て、カット厚・サイズを合わせる。
- すき焼き・しゃぶしゃぶ:スライス幅・脂肪量・解凍状態を確認する。
- コマ材・惣菜・煮込み:端材の大きさ、筋の処理、加熱歩留まりと作業時間を確認する。
国内区分は日本食肉格付協会の牛部分肉取引規格も参照してください。
加熱用牛肉は中心まで十分に火を通します。特に筋切り(テンダライズ)・調味液の浸透・結着・牛脂注入などの処理肉やひき肉は、中心75℃で1分間以上、または同等の加熱条件を確認してください。焼き色や肉汁の色、表面の焼き時間だけでは判定せず、温度計で中心温度と保持時間を確かめます。 厚生労働省掲載の衛生管理資料(加工処理肉の加熱)をご確認ください。
1食原価は、使用する段階の重量で計算する
整形後の使用可能部分原価=仕入kg単価÷整形歩留まり(80%なら0.80)。送料・加工費を別途加えます。加熱後の盛付重量を決める場合は加熱歩留まりも必要ですが、加熱前重量で計算した原価から同じロスを二重控除しないでください。詳しくは牛肉の歩留まりと1食原価の計算で確認できます。
五十嵐商会の肩ロースを選ぶ前に

2026年10月15日の掲載確認では、国産ホルスタイン経産牛・ネックなし・冷凍ブロック、1本約10〜15kgを真空包装して1箱で販売する商品です。税込3,024円/kgと表示されています。薄切り・焼肉・コマ材等が主な検討用途で、厚切りステーキを全量から取れる規格ではありません。当社は基本的にブロック原料で販売しており、写真の小割り・スライス加工済み商品とは異なります。
当社確認では販売可能な在庫があり、暫定金額36,288円(税込)で案内可能です(2026年10月15日確認、単価×12kgの換算額)。不定貫のため最終重量・確定金額・送料・在庫・発送日を当社への問い合わせでご確認ください。掲載の発送目安は受注後7営業日以内ですが、必要納期と供給数量は注文前に確認します。
用途、カット厚、1日使用量、保管可能量を伝えると、使い切りと発注数量を検討しやすくなります。肩ロースの小割りとステーキ加工例は加工技術の参考としてご覧ください。
まとめ
今回は、「かたロース」部位を徹底解説しましたが、いかがだったでしょうか。
紹介した割り方などは、あくまでも一例にはすぎませんし、用途も限られたものではありません。
まずは、割ってみて、食べてみてどのように自分が感じたかによって使い方が違います。
大切なのは、「知る」ことが大切だと思います。




コメント
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