ホルスタイン|サーロイン肉は本当に硬いのか?

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安い肉といえば「硬い!」と思いがちですが、国産牛において安い肉といえば「ホルスタイン」になります。

では、そのホルスタインは本当に硬いのか?

今回は、「ホルスタイン」は硬いのか?についてご紹介していきます。

  • ホルスタインサーロイン肉を知るうえで必要なこととは?
  • ホルスタインのライフサイクルとは?
  • ホルスタインに熟成も必要な手段?その方法とは?

以上になります。

目次

肉専用種より硬いと感じますがホルスタインを知る事が大切なポイント!

ホルスタインサーロイン肉

ホルスタインは、「硬い」とのイメージがつよいとありますが、肉用種と比べ劣るのは「硬さ」に対して確かな部分があります。

しかし、日本の歴史からの観点からみると「薬膳」として扱われてきた食肉文化において、牛肉は「生かし方」によっては、それらを改善し明日への活力としてきました。

例えば、発酵調味料である味噌を肉に漬けて保存性を保ち、また、柔らかくし時の権力者に対して献上してきました。

日本国内の生産されるホルスタインは、ヘルシーな赤身肉であり、和牛より安く手に入ることができますが、安い上で「硬い」、「不味い」とのイメージがあります。

今回は、そのホルスタインが何故硬いのか?どのようにしたら硬さを払拭させ、美味さを引き出せることができるのか?などを牛の生産におけるライフサイクルから解き明かし「生かし方」の一例を記載していきます。

肉専用種(和牛など)のライフサイクル

生まれた子牛は5~7ヶ月間、母牛に育てられますが、後半の2~3ヶ月間は草や配合飼料(アメリカなどから輸入できるとうもろこし、こうりゃん、大豆などを原料に配合した飼料)、穀類なども与えられます。

また、雄牛は生後2~3ヶ月齢時に去勢します。これは、肉質を良くし、太りやすくし、性質をおとなしくして飼いやすくするためです。

こうして大きくなった子牛は、5~6ヶ月齢時に離乳し、雌牛は育成後、一部は肥育に仕向けますが、主に繁殖に用いれられ、雄牛(去勢牛)は肥育に仕向けられます。

肥育仕向けとなった去勢牛(生後10ヶ月齢・体重約290kg)は、約20ヶ月かけて肥育され、約690kgに仕上げられます。

この間、配合飼料や大麦、草、稲わらなどが与えられますが、大まかにいって10~11kg程度の穀物類の餌を与えることにより、体重が1kg増える計算になります。

この他、肉専用種の雌牛で繁殖の役目が終わったものは(平均9歳)そのまま屠畜されるほか、1~3ヶ月間「飼い直し」と言って、配合飼料や穀物を用いた短期間の肥育を行い肉質を良くして出荷されるものがあります。

ホルスタインのライフサイクル

日本で飼われている乳用牛の大部分がホルスタイン種ですが、乳用牛の場合、その飼養目的が牛乳を生産することにあたるため、牛乳のでない雄牛は優秀な種雄牛になるもの以外は食肉用として肥育に向けられます。

ホルスタイン種の雄子牛は、生まれると約一週間、母乳で育てられます。これは、分娩直後の牛乳(初乳)に色々な免疫物質が含まれているためで、子牛を丈夫に育てる上で初乳を飲ませることが必要不可欠です。

その後、母牛は搾乳に用いれられますので、子牛は母牛から離され、脱脂粉乳などを原料とする人工乳、乾草、配合飼料などにより人工哺育され、肥育素牛として、7ヶ月齢、体重270kgに育成されます。

それらの素牛が一年余りかかって肥育され約670kgに仕上げられます。その間、与えられる餌は肉専用種の場合とほぼ同様です。

ただ、ホルスタイン種は大型品種であり、一日当たりの増体能力が優れていることから、肥育期間は肉専用種よりも短くて済みます。

また、脂肪交雑が少ないなど、肉質では肉専用種に劣ります。牛は、草食動物なので、人間が消化吸収できない草などの繊維質を牛乳や肉に作り替えることが出来るという特性をもっています。

従って、放牧状態でも牧草が豊富であれば自然に太るのですが、肥育の後半はもっぱら配合飼料中心にかなりの量の穀物を与えて肥育しています

ホルスタインサーロインを熟成させると?

屠畜直後の硬直状態のままでも食べることは出来ますが、肉は「熟成」という過程を経ることで柔らかくなり、より一層独自の風味がでてきます。

動物の体内細胞に含まれる何種類かの酵素は、乳酸やリン酸を生成し、これらは微生物の発生を抑えつつ、死後も一定時間働き続けます。

また、死滅した細胞(主としてタンパク質の組成)やコラーゲンを膨潤させ、肉を柔らかくし同時に保水性を生じさせます。この一連の現象を「自家消化」と言います。

冷蔵庫での牛肉の保管の理想的な維持温度は、摂氏0℃~2℃くらいです。熟成期間としては、牛肉では5日以上10日位が適当となります。

保管中にもし、冷凍状態になりますと、熟成作用は停止するか緩慢な状態になります。また、庫内温度が5℃以上になりますと、熟成は早く進みますが、同時に食肉そのものの変敗が起こります。

熟成においては、温度管理などが重要となってきますが、肉本来の味を引き出すためには必要不可欠となってきます。また、熟成期間の始まりを知るには屠畜日を参考にしておくと良いでしょう。

現在では様々な方がホルスタインサーロイン肉を使って熟成をさせ味わいを引き出すことが可能だと言われています。

熟成を経て硬さを克服することもよい手段ではないでしょうか。

まとめ

牛肉には、肉専用種と乳用種との大別がなされます。これには、それぞれ生産される目的の違いがありますが、肥育に際して違いがあるものの肉用としての最後があります。

要は、人が食しても可能な状態まで育てられる事になります。また、肉の生かした方においては、「熟成」というものがあります。

これらにおいて、ホルスタインにおいては「硬い」や「不味い」とのイメージが定着されているものがありますが、やはり生かした方、取扱い方によってこのようなイメージが定着されているものだと思います。

肉専用と乳用との違いはありますが、それぞれの特性を知り、どのように生かしていけば良いのかなど参考になればと思います。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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