柔らかい牛肉と硬い牛肉の見分け方|部位・繊維・選び方

交雑種のリブロース

焼肉用として買った牛肉が、思ったより硬かったことはありませんか。柔らかい牛肉を選びたいときは、部位、筋や繊維、料理に合う厚み・整形規格を確認することが出発点です。見た目だけで食感を100%見抜く方法はありません。

この記事は購入前の選び方を中心に解説します。購入した肉を柔らかく調理する方法は硬い牛肉を柔らかくする方法、肉の目に合わせる切り方は牛肉の切り方の解説をご参照ください。

目次

柔らかい肉と硬い肉を選ぶ3つの確認点

  • 部位と用途:厚切り・薄切り・煮込みのどれに使うかを決める
  • 筋と繊維:筋膜の残り方、肉の目、切る向きと厚みを確認する
  • 規格と状態:冷蔵冷凍・整形・期限・包装を確認し、可能なら少量で試作する

プロの仕入れでも、原料の状態と食べた経験を合わせて判断しています。水分が多いほど栄養やうま味が多い、見える繊維の幅だけで柔らかさが決まる、と一般化することはできません。

プロがみている枝肉
プロの仕入れしている牛肉はこれだ「枝肉」

枝肉を見て選ぶ仕入れと、売り場のパック肉や通販の原料を選ぶ場面では、確認できる情報が違います。購入時は分からない条件を販売者に聞き、用途と実物の規格を合わせて考えましょう。

料理に合う部位を選ぶ

日本食肉格付協会の牛部分肉取引規格は13部位を基本にしています。これは部分肉の取引規格で、「法律が牛肉の部位を13個だけに限定している」という意味ではありません。小売表示の部位区分、地域の呼び方、小割名とは分けて確認します。

図は部位の位置を知るためのものです。同じももや肩の中にも複数の筋肉があり、筋膜・結合組織、個体、整形、切る位置で食感は変わります。「サーロインとリブロースの境目から外側へ行くほど必ず硬い」といった同心円状の分類では説明できません。

一般にヒレやロースはステーキの候補になり、すねなど筋や結合組織の多い原料は煮込みの候補になります。ただし、ももや肩ロースにも整形・厚みに応じて焼肉やローストへ使える部分があり、すべて煮込み専用ではありません。お尻の見た目だけでランプの硬さを決めることもできません。

筋繊維と筋膜は、切る向き・厚みと一緒に見る

肉の目として見える筋繊維の束や、筋肉を包む膜・筋は、歯切れを考える手掛かりです。見かけの幅は切断方向でも変わり、写真に見える幅だけで硬さの順位は決まりません。

筋肉の繊維の幅がとくに広いそともものしきんぼう
しきんぼう断面

上はそとももの「しきんぼう」の断面例です。繊維の走り方と筋の位置を見ながら、用途に合う薄さや切り方を検討します。すべてのしきんぼうが同じ食感になるという比較ではありません。

サーロインの断面、繊維の幅がせまい

サーロインも原料の個体差や筋、切る位置で食感が変わります。霜降りの入り方は口当たりの判断材料ですが、サシが細かければ必ず柔らかい、脂が多ければ必ず好みに合うとは限りません。日本食肉消費総合センターの下ごしらえの説明でも、筋や繊維に合わせた処理が紹介されています。

水分・みずみずしさだけでおいしさは決まらない

みずみずしい牛肉のステーキ

焼き上がりのジューシーさは、肉の保水性、脂、厚み、加熱条件など複数の要因で変わります。表面がぬれていることと、栄養価やうま味が高いことは同じではありません。オレイン酸は脂肪酸の一つで、水分中に多いほどよいという成分ではありません。

農畜産業振興機構掲載のおいしさの解説(2014年)でも、脂の性質と食感・味・香りを総合して考えています。古い解説を現在の相場や特定商品の分析結果として使うものではありません。

乾燥や多量の汁漏れは状態を確認する手掛かりですが、それだけで腐敗や安全性は判定できません。売り場の商品を指で押したり、パックを傾けたりせず、表示・包装・保存温度・販売者の説明を確認してください。肉の戻る速さで柔らかさや安全を確定する方法は勧めません。

業務用は1食原価と加工負担まで比べる

安いkg単価だけで選ぶと、筋や脂を外す手間、端材、加熱後の重量で差が出ます。使用可能部分のkg原価は「仕入kg単価÷整形歩留まり(小数)」を基本に、送料や加工費を加えて考えます。加熱後の提供重量を使う場合は加熱歩留まりを別に評価し、整形歩留まりと混同しないでください。

筋切り器を使う加工では、表面の菌が内部へ入り得るため、器具の洗浄等と中心部までの十分な加熱が必要です。「輸入牛なら必ず筋切りが必要」「処理すれば必ず柔らかくなる」という保証はできません。

加熱用の牛肉は生食に使わず、衛生的に取り扱って十分に加熱してください。厚生労働省の食中毒予防の案内では、中心部75℃で1分間以上、またはこれと同等以上の加熱効果を持つ方法が示されています。厚さや表面の焼き色だけで安全を判定しないことが大切です。

まとめ

柔らかい牛肉を選ぶには、部位と料理の相性、筋処理、繊維の向き、厚みを確認します。見た目・弾力・水分だけに頼らず、規格を販売者に確認し、試作で食感と実際に使える量を確かめましょう。

仕入れ前に確認すること

部位名だけで決めず、商品ごとの原料・整形状態・用途を確認してください。当社の商品には購入者側で整形・カットする原料ブロックがあります。希少部位の小割やスライス済み商品が常時あるという意味ではありません。

不定貫の重量、注文単位・ロット、税区分、送料、冷蔵・冷凍、期限、出荷日・到着見込みを各商品欄と送料表で確認し、在庫・希望納期・用途に不明点があれば注文前に出品者へご確認ください。

料理に合う部位と整形規格を一覧で確認する

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業務用牛肉の仕入れをご検討中の方へ

五十嵐商会では、国産牛ホルスタイン経産牛を中心に、飲食店・精肉店・惣菜製造業者・食品メーカー向けの業務用原料を取り扱っています。

用途、部位、歩留り、原価管理を確認しながら、自社に合う商品をご検討ください。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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