肩ロースの脱骨は、骨の形とナイフの刃先をどこに沿わせるかが、仕上がりに関わる作業です。骨に肉を残さないことを意識しても、形が分からないまま刃を入れると、無駄な切り込みが増えてしまいます。
この記事は、食肉処理に従事する方に向けた、左側の肩ロースを捌く作業記録です。元記事の動画と8枚の写真を使い、7つの工程を順に確認します。施設・規格・担当者によって方法は異なります。
ナイフの手入れと骨掃除から学んだこと
私が牛肉の卸売に入社したときは、ナイフを研ぐ作業と骨掃除を繰り返していました。機械や道具、現場の掃除を通して、物を大切にすることや整理整頓も学びました。
同じ作業の繰り返しにいら立つこともありましたが、日々の積み重ねと諸先輩方の指導が、商品を作る土台になりました。骨掃除は骨の形を覚え、ナイフをどう使えば肉と骨を切り離せるかを考える機会でもあります。
作業前に確認する条件
刃物を扱う専門作業のため、この記事だけを見て未経験者が実施することは勧めません。施設の作業手順、教育担当者の指示、指定された保護具と器具の管理方法に従ってください。刃の進路に手や体を置かず、部位を安定させて作業します。
原料の指定温度、作業時間、器具・作業台の衛生、骨片や異物の残りを確認します。生肉を扱った器具や肉汁で、他の食品を汚染しないよう区分してください。写真の姿勢や持ち方を、そのまま自分の現場の安全手順に置き換えないことが大切です。
左肩ロースの捌き動画と部位の位置

以下の骨名は元記事の作業説明に基づきます。元の第3工程には胸椎の工程中に頚椎の番号が混在していたため、該当文の番号は外しています。骨の識別と切断位置は、実物・施設の手順・指導者の確認を優先してください。
写真で確認する7つの工程
1.胸椎内側の雑肉を取る

第6胸椎の内側より第7頚椎まで入れ、雑肉を第7までめくって取り除きます。
ネック手前にして第6頚椎左側より波状に第2頚椎まで入れ、第5頚ばら部上面よりナイフをねかせてめくります。
第3頚椎まで完全に露出させ、右部、棘突起右面を出す。
2.頚椎横突起の周辺から胸椎・ばら骨の面を出す

頚椎・胸椎関節部にナイフの刃先を使って食い込ませ、刃先を軸に弧を描くようにして切り離します。
胸椎棘突起裏面を出し、胸椎、ばら骨左側を入れ、右側ばら骨も入れます。
第6胸椎棘突起裏面左側より先端までナイフを入れ、刃先を軸にして右側へ回し、切る。
胸椎左側、棘突起裏面よりナイフを寝かせ入れ、胸体に沿って徐々にナイフを立て、ばら骨末端まで入れ、右側、ばら骨にも入れる。
3.胸椎・ばら骨を除去する

左手で棘突起を持ち、右側棘突起間を刃先で切り、乳頭突起上面を刃先で出し、乳頭起まわりを左より右へとばら骨結節手前まで入れます。
※刃先は浅く
左手で胸体をつかみ、左側へ引くように持ち、ばら骨結節にあるすじを切り、刃先だけ右関節部、ばら骨結節に沿ってナイフを入れる。
くぼみに沿って胸椎裏面・ばら骨裏面の左右から入れ、胸椎とばら骨を除去します。
※同じ要領で、第1胸椎まで除去します。
4.第7頚椎を除去する

頚椎棘突起裏面を出し、左側後関節突起にナイフをいれます。
関節部もナイフを入れ、また前関節突起に沿って入れ、こんどは突起先端よりナイフを逆に向けて突起裏面に入れます。
完全に関節部を切り離します。
次に、左側よりナイフを入れ、左側突起に沿ってナイフを上向きに半円を描くように横突起まで入れ、横突起まわりを入れて除きます。
5.第1頚椎を除去する

ネック手前、関節を切り離し、右側を切り、ナイフ裏面に入れ、左側くぼみにも入れて取り除きます。
6.第2頚椎を除去する

ナイフを関節部に入れ、前突起関節に沿って突起先端よりナイフを逆に向けて突起裏面に入れ、完全に関節部を切り離します。
左手で突起を持ち左へねじり、裏面、後関節突起と横突起を切り離し除去します。
7.第3頚椎から残る頚椎を除去する

後関節突起にナイフを入れ、先端よりナイフを逆に上向けにして関節部を切りはなし、左手で棘突起を持ち左へねじります。
前関節突起より関節突起右側を切り下げ、先端より刃を左側へと上向け、頚椎裏面をぐるりと半円を描くように横突起まで入れ、横突起まわりを入れ、頚ばら裏面を切り離し除去します。
同じ要領で第6頚椎まで除去します。
頚椎捌きも、左部位捌きと同じ方法で除去すると綺麗に仕上がります。
右部位はこの逆になります。
仕上がりは、残肉と作業負担を一緒に見る
骨に残る肉だけでなく、切り込み、骨片の残り、作業時間、担当者の安全を一緒に確認します。作業前後の重量を量らずに、特定の手順なら歩留まりが何%上がると決めることはできません。
商品としての肩ロースの特徴は肩ロースの部位と用途、調理での使い方は肩ロースステーキの考え方へつなげて確認してください。
まとめ
肩ロースの捌きは、骨の形と刃先の位置を理解する基礎の積み重ねが大切です。今回の左側の記録を参考にしながら、現場で定めた安全・衛生手順と求める規格に合わせて、仕上がりを確認してください。
業務用の牛肉を仕入れる方へ
原料ブロックを仕入れる際は、脱骨作業の記録と販売商品の状態を分けて確認します。本記事は、当社が現在骨付き品や特別な脱骨加工を受注していると保証するものではありません。
Mマートは業務用の企業・店舗・組織などを対象とする会員制の市場です。一般消費者の個人利用とは異なるため、利用条件を確認してください。当社の掲載商品は原料ブロックの規格を基準に、購入者側での整形・小割・スライスの負担も見込んで選びます。
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部位規格・衛生管理の参考
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