牛の胃は4つで、第1胃がミノ、第2胃がハチノス、第3胃がセンマイ、第4胃がギアラと呼ばれます。焼肉店での食材名と、体の中での働きを対応させると、違いが分かりやすくなります。
食材として買う場合は、胃の名前に加えて、生・洗浄済み・下ゆで済み・加熱済みのどの状態かも確認してください。「処理済み」という言葉だけで、そのまま食べられるとは判断できません。
牛の胃が4つある理由と反すうの仕組み

牛は、一度飲み込んだ食物を口へ戻してかみ直し、また飲み込む「反すう」を行う動物です。第1・第2胃は一体となって働き、微生物による飼料の繊維成分の分解や、内容物を口へ戻す動きに関わります。
細かくなった内容物は第3胃で選別され、水分等が吸収されます。第4胃は胃液を分泌し、人の胃に近い働きで消化を進めます。「第1~第3胃が同じ働き」「第3胃から第1・第2胃へ一律に逆送する」とまとめず、それぞれの役割を分けて考えましょう。
胃の大きさは年齢や体格で変わります。第1胃が最も大きいことと、すべての牛で容積が200Lあることは同じではありません。農畜産業振興機構の4つの胃の解説では、胃ごとの働きが説明されています。
第1胃:ミノ(ルーメン)

第1胃は肉厚で、歯ごたえのある食材として使われます。厚い部分を「上ミノ」、脂を挟む部分を「サンドミノ」と呼ぶなど、流通上の呼称や切り分け方には違いがあります。皮や筋の除去、切れ目、脂の残し方を規格で確認しましょう。
「ガツ」等の呼び名だけでは、畜種や胃の範囲が曖昧になることがあります。注文時は「牛の第1胃」のように畜種・胃番号も伝えると、別の原料との取り違えを防ぎやすくなります。
下処理や煮込みは商品状態に合わせます。旧記載の圧力鍋20~30分、その後10分という数字には、機種・圧力・量等の検証条件がなく、共通の安全条件として使えません。取扱説明書と原料の指示に従い、規定量・圧力・減圧方法を守ってください。
第2胃:ハチノス(蜂巣胃)

胃の内壁が蜂の巣のように見える部位です。弾力のある食感で、煮込みやもつ焼き等に使われます。「トライプ」「トリッパ」という名称だけで必ず第2胃だと決めず、購入する原料の部位・処理状態を確認してください。
元記事で紹介したトマト煮込みは、下処理したハチノスを細く切り、玉ねぎ・にんにくとオリーブオイルで炒め、白ワイン・ホールトマト・スープ・ローリエと煮込む考え方です。塩・こしょうで整え、パセリや粉チーズを合わせます。分量や加熱条件の決まった完成レシピではないため、下ゆで回数だけで安全とせず、中心までの加熱と食感を確かめます。
第3胃:センマイ(葉状胃)

葉を重ねたような多くのひだがあり、独特の歯ざわりを楽しむ部位です。皮の処理によって色や見た目が変わるため、写真の色だけで加熱済み・生食可能とは判断しません。語源の諸説は確証がないため、ここでは断定しません。
細切りや洗浄済みで販売されていても、短い湯通しだけで提供できるとは限りません。加熱用は中心まで十分に加熱します。冷菜にする場合も、加熱後に清潔な器具・容器で速やかに冷却し、冷蔵管理したものを使います。生肉に使った氷水・ざる・包丁を、加熱後の食品へ使い回さないでください。
元記事の酢味噌和えは、十分に加熱して衛生的に冷やしたセンマイへ、味噌・醤油・粉唐辛子・酢・砂糖を合わせたたれを食べる直前に和え、好みでねぎやすりごまを加える料理の例です。酢や味噌を加えることは、安全な加熱・冷却の代わりにはなりません。
第4胃:ギアラ(しわ胃・アボミ)

第4胃は「赤センマイ」と呼ばれることもありますが、第3胃のセンマイとは別の部位です。ひだや脂の残り方、処理状態により食感や仕込みの手間が変わります。名称の語源は確証がないため一つに決めつけません。
ぬめりや臭いへの下処理は、取引先の処理状態と用途に合わせます。塩もみ・水洗い・茹でこぼしは、汚れや臭いへの下処理であり、殺菌が完了したことを意味しません。洗浄が必要な場合は飛沫や器具からほかの食品を汚染しないようにし、最終的な中心加熱を行います。
加熱・冷却・保存で共通して確認すること
- 生・下処理済み・下ゆで済み・そのまま食べられる加熱済み製品を区別し、表示の保存温度・期限・加熱指示を優先します。
- 加熱用は中心温度75℃で1分間以上、または同等以上を確認します。沸騰した湯に入れたことや、見た目の変化だけでは中心の条件は分かりません。
- 煮込み後に保存するときは室温で長く放置せず、清潔な浅い容器へ小分けする等で速やかに冷却し、冷蔵します。保存日数は原料・工程・温度管理で異なるため一律に設定しません。
- 再加熱するときも中心まで十分に加熱します。温度管理不良や期限超過を再加熱で解決しようとしないでください。
食材として選ぶときは部位と処理状態を伝える
業務用では、胃の部位、脂付き・皮むき・開き、カット寸法、生か加熱済みか、冷凍・冷蔵、数量と納期をそろえて確認します。仕入単価が同じでも、下処理量や煮込み後の重量で1食原価は変わります。写真は部位の説明であり、当社が牛の胃の全品目を常時在庫していることを示すものではありません。
メニューと仕込み設備に合う原料かを確認して、業務用牛肉を選びましょう。業務用牛肉をお探しの事業者の方は、五十嵐商会のMマート商品一覧で用途・規格・ロット・不定貫重量・税込金額・送料・在庫・出荷日と到着見込みをご確認ください。
バナーは当社の商品一覧への案内です。この記事で扱う部位・内臓・ひき肉・完成料理や、スライス・小分け等の加工対応を保証するものではありません。Mマートは事業者・組織・団体等を対象とする会員制の業務用市場です。購入者の利用条件をご確認ください。
まとめ
牛の4つの胃は、反すうと消化の異なる働きを担い、食材としても食感や処理方法が違います。名前だけでなく、実際の納入状態と加熱指示を確認することが、仕込みと安全管理の基本になります。
参照資料
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