今回は、サーロインの整形・すじ引きについて解説していきます。
すじ引きには硬いすじと柔らかめのすじがありますが、一番やっかいなのが硬いすじになります。これをきちんと取らないと、肉が硬いなどの不具合があります。
非常に重要な作業になりますので、押さえておくと良いでしょう。
サーロインの背側の筋を引いたものですが、使い方は肉質を見極める事が必要です
エムマート市場(畜産市場)において、サーロインの筋引き(背筋引き)が多く見受けられます。
この背筋引きとはどのように筋引き・整形されているのか、又、どのような活用方法があるのかなど記載していきます。
サーロインは、リブロースから、らんいちへ続く腰の部位です。位置によって形、筋、脂の付き方が変わります。
リブロース、サーロイン、ヒレは代表的なステーキ向けの部位ですが、サーロインという名前だけで、すべてが同じ肉質・厚さになるわけではありません。
レストランでは焼き加減を選べる場合もありますが、食感の好みと食品安全は分けて考えます。
焼き加減の呼び名は、安全な中心温度・保持時間を保証するものではありません。
一般に使われる焼き加減の呼称には、次のものがあります。未加熱での提供を勧めるものではありません。
ベリーレア(ほとんど生焼け)
- レア(生焼け)
- ミディアムレア(中位よりやや生焼け)
- ミディアム(中位の焼き加減)
- ウェルダン(よく焼けたもの)
さて、今回は、このサーロインの整形とすじ引きの押さえておくべきポイントと方法について記載していきますが、本当に注意すべき点は、肉質を見極めることにあります。
サーロインでも、希望する厚切りステーキの規格に合わないものがあるためです。
例えば、希望する厚切りステーキの形を取りにくいものや、筋の処理が必要なものがあります。品種名や安さだけで決めず、販売店と実際の断面、厚み、整形範囲、用途について相談することが大切です。
品種や肉質によっては、用途が変わる事がありますので注意が必要です。
サーロインの活用において留意すべき点
サーロインはステーキだけでなく、薄切り、小割、焼肉などにも活用できます。重量だけで用途を決めず、断面の大きさ、厚み、筋、脂、食感を確認して商品化しましょう。煮込めば必ずやわらかくなるわけでもありません。
畜種や重量
和牛、交雑種、ホルスタインなどの違いに加え、個体の体格、月齢、肥育状態、切り出し位置、整形規格で形や厚みは変わります。経産牛は出産を経験した牛を指し、それだけで用途や食感を一律に決めることはできません。
厚みの違いを妊娠だけで説明する根拠は確認できません。購入時は、品種や総重量よりも実際の寸法・断面写真を確認してください。
旧稿で比較していた2商品のリンクは、2026年10月19日に掲載終了の表示を確認したため、現在の比較商品としては案内していません。現行商品の規格は、記事末の自社商品ページでご確認ください。
重量が同じでも、脂の残り方や形によって、希望するステーキが何枚取れるかは変わります。
「5kg以上でなければステーキにできない」「3kg以下ならミニステーキ」といった共通の境界はありません。1枚の厚さ・重量・形、必要枚数、筋の処理を決めて試作します。薄い部分は薄切り、小さい断面は小割など、実物に合わせた用途分けができます。
肉質の違いで工夫が必要
肉のきめ、結合組織、脂肪交雑、保水性などは、品種や個体、部位の位置、保管状態によって異なります。
焼く場合も煮る場合も、加熱条件によってたんぱく質の収縮や水分の流出が起こり、食感が変わります。
硬い筋を除く、繊維の方向に合わせて切る、薄く切るなど、狙う食感に合わせた下処理を行います。筋切りの有無で加熱時の反り方も変わります。
ホルスタインでも食感は一律ではありません。筋切りや小割は食べやすさを調整する方法ですが、すべての肉が同じやわらかさになるわけではありません。
酵素や調味液を使う場合は、配合・時間・温度で仕上がりが変わります。冷蔵下で管理し、酒やワインに漬けることを殺菌の代わりにしないでください。
肉をやわらかくする下処理の考え方
熟成についても「最低5日」という共通基準では判断できません。仕入れ先に処理日、包装状態、保管温度、期限を確認し、管理条件が不明なまま店内で保管日数を延ばさないでください。
加熱と加工時の衛生管理
生食用ではない牛肉です。一般的な加熱の目安は中心部75℃で1分以上、または同等以上です。焼き色や「レア」などの呼び名だけで安全を判断しないでください。特に筋切り・テンダライズ、注入、成形など内部へ菌が入る可能性のある加工をした肉は、表面だけの加熱で済ませず、中心まで十分に加熱します。
生肉用と加熱後の食品用の包丁・トング・容器を分け、冷蔵・冷凍は商品表示に従います。子ども、高齢者、妊娠中の方などに提供する場合は、十分な加熱を徹底してください。食感を調整する工程と、殺菌のための加熱条件を混同しないことが大切です。
食品安全委員会:調理とリスクマネジメントQ&Aも参考になります。
サーロインのすじ引きとポイント
「背筋引き」は背側の硬い筋などを除いた整形状態を表す流通上の呼び方ですが、残る脂・筋やばら足の長さまで共通とは限りません。以下は写真で見る加工例です。仕入れた時点の規格と、自店で追加する作業を分けてください。
整形歩留まり=整形後に使える重量÷仕入重量。取り除いた筋・脂、他メニューに回す端材、廃棄を分けて記録します。背筋引き済みでも追加整形やスライスのロスはあり、加熱歩留まりは別です。
用途にかかわらず、食用にする部分に小骨や軟骨などの取り残しがないよう確認します。乾燥した部分の整形は、原料の温度管理・品質が適切なことが前提です。異臭やぬめり、温度逸脱などが疑われる場合は使用を止め、削り取れば安全になると考えないでください。
また、サーロインのバラ足は、長すぎず、ロースの肉までばら足に切ることのないように注意が必要です。
サーロインは、肉質、形、大きさ、脂肪の付き方を確認して、ステーキや薄切りなどに使い分けます。
一頭から得られる重量は、体格、左右合計か片側か、整形範囲によって変わります。本記事では共通の一頭当たり重量や当社実測値は示していません。
らんじり側は中心部と形や筋の入り方が変わるため、同じ規格に無理にそろえず、ミニステーキ、小割、薄切りなどへ用途を分ける考え方があります。部位の価値を一律に低いと決めるものではありません。
ばら足を切り離す
下図は、ばら足をロース芯から約2cm残して切り分ける作業例です。残す幅は販売規格・用途に合わせて決め、すべての商品に共通する寸法とは考えないでください。
※ばら足とは、ロース部位についてるバラの部分のことです。
ロースのみみ部分の骨肌、汚れ、変色を取り除きます
- 最初、みみ部分のロース骨を抜いたあとのくぼみの周りを、右方より左へナイフを入れ骨肌と薄い膜を取り除きます。
- 次に、みみ部分の手前側面の骨肌と乾燥して変色した肉を削り取ります。(図参照)
サーロイン上面のすじと骨肌を取り除きます
脱骨あとの骨と骨肌も一緒に引けるだけ引きます。
サーロイン上面の骨肌と小骨を取り除きます
ロース上面に残っている骨肌と小骨を丁寧に取り除きます。
※くぼみに骨肌や小骨が残りやすいため、図を参考に包丁の角度を調整し、取り残しを確認します。
脱骨あとのくぼみの骨肌と小骨を取り除きます
脱骨あとのくぼみの骨肌と小骨は特に丁寧に取り除きます(図参照)
※この部分の取り残しが特に多くみられますが、必ず完全に取り除きます。
外側脂肪、背筋上面脂肪を取り除きます
- 図は脂肪を約5mm残す整形例です。脂を残す厚さは商品規格で決め、赤身を削りすぎないようにします。
- 背筋上面脂肪にキズを入れ(図のようにすじまで入れます)手前の背筋上面の脂肪を取り除きます。
※背筋へのキズの入れ込みには肉を切らないよう注意が必要です。
背筋を引きます
- 最初に背筋、みみ側面のすじを引きます。
- 次に、上面のすじを引きます。このとき、すじはだがつくように丁寧にひきます。
※図の例では脂肪をはがした範囲の筋を引いています。必要な除去範囲は販売規格と用途で確認し、赤身を深く削るロスと、硬い筋の取り残しの両方に注意します。
らんじりとの切断面の骨肌と軟骨を取り除きます
- 骨肌をていねいに取り除きます。
- 軟骨が細長くついている。これは、えぐるように丁寧に取り除きます。
※脱骨作業の仕方により軟骨の残っていないものもあります。
サーロイン商品の見本
サーロイン、らんじり側のミニステーキ(2分割してあります)

※らんじり側は肉質が硬くなり、すじもあります。真ん中とらんじり側と同じ商品づくりは避けた方がよいです。分割してらんじり側は、このようにミニステーキや焼肉、しゃぶしゃぶ、すき焼きにするほうが良いです。



サーロインステーキ
下の写真は、ステーキとして整形した商品の一例です。実際に仕入れる商品の脂・筋・寸法と同一であることを保証する写真ではありません。
※厚切りか薄切りかは、肉質、1皿の量、加熱設備、提供方法に合わせて決めます。厚切りにするほど中心の加熱条件の確認が大切です。
サーロインのしゃぶしゃぶ
切り方、並べ方ともふんわりと上手に切っています。盛り付けが良いと見栄えが良くなります。
サーロインのばら足
骨肌を取り除き、周りの脂肪を適度に整形して、赤身肉とあわせてこま切れ用にします。ばら足の脂をどこまで残すかは、こま切れの脂肪割合と用途に合わせて決めます。
まとめ
サーロインといえど肉質や品種によってステーキにはできないものがありますが、これは生産した方が悪いのではなく、本来の肉の取り扱いとは肉そのものを生かす事にあります。
用途を広げるときも、商品名、実際の規格、加工方法を対応させて説明することが大切です。
牛といえど生き物ですから、必ずしも品質が安定するとは限りませんし、個体差もあります。
食感や形の違いを見ながら、適した用途を探すことを大切にしています。ただし、温度逸脱や腐敗など安全性に疑問がある肉を、加工や調理で使い切るという意味ではありません。私に指導してくれた方は、非常に知識や技術が優れている方ばかりでしたが、皆一同にこのように生かす事をどのようにすればよいのか常に考えられておられました。
「その肉を使ってどのようにしたら人に喜んでもらえるのか」大切な事なんだと思います。
当社の現行サーロイン原料を確認する
2026年10月19日に、Mマート商品ID40の国産ホルスタイン経産牛サーロインの掲載を確認しました。筋引き済み、冷凍・真空包装、不定貫の原料ブロックで、薄切りや小割など実物に合わせた商品設計を前提としています。この記事の加工写真と同じ整形範囲・厚切りステーキ規格を保証するものではありません。
五十嵐商会のサーロイン原料をMマートで確認する / 用途と整形規格を問い合わせる
注文前に断面・厚み、残る筋・脂、実重量、最小ロット、単価と確定総額、送料、在庫・出荷日を確認してください。掲載と現在の販売可能在庫は同じ意味ではありません。
調理・衛生管理の参考資料
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」。営業で提供する場合は、自店のHACCPに沿った衛生管理計画と商品表示に従って温度・時間を確認してください。
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コメント
コメント一覧 (1件)
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