食肉の業態にいるとまわりからいろんな質問を受けることがあります。
ただ、その質問も非常に答えにくいものがあり、特に言われるのが一番おいしい焼肉屋はどこ?その次に一番おいしい肉の部位は?などなど多数です。
いつも困るのですが1番てのはなく味には個人の受け止め方がそれぞれ違うのでなかなか言えません。
ましてや一番おいしいお店なんてのも言えません。この質問がくると、決まってよく売れているお店(人気がある)を教えています。
無難なんです(;^_^A
ただ、個人的にこのお店の料理の提供の仕方であったり、お肉の見極めだったり、あつかっているものが良いな。もってお客さん入ってもいいんじゃないかな。素直に良いと思ったお店は紹介することもあります。
また、部位にはそれぞれ特徴があり、その人の好みや希望があればこの部位がいいよ!
と
答える事もあります。
今回は、数多く寄せられる牛肉の質問に答えていきたいと思います。
今もではありますが、熟成肉って流行っていますよね。でも、と殺した後に熟成されているの生きている間に熟成されているの?と殺後お肉はどうしているの?牛をそのまま売っているの?
という質問がありました。
この質問に答えていくためにはまず知らなければならないことがあります。
牛肉の流通とは一体どうなっているのか!?
とても大切なことではありますが、牛肉の流通を知らなければ答えにくいのでご紹介していきます。
先ずは、と殺される前の段階では育てられています・・・当たり前の話ですが。
野菜と一緒で農家さんが丹精込めて牛を育てています。ただ、農家さんといえども牛を購入されているところもあります。自分の牧場で交配し、出産をさせることと、子牛を競りで購入する方法があり、いずれかを選んで育てることが農家さんの仕事になります。
現在の牛肉の高騰の一つかもしれませんが、この子牛の値段が高騰したため牛肉の値段が上がったとも言われています。10年ほど前は子牛の価格は20万ほどで売買されていることがありましたが、現在では50万円以上の値段がつくこともあります。
そこから牛を育てて出荷となるので一体いくらになるのやらです。
牛のと殺される時点では(出荷)350キロ~重いもので600キロありますが、牛が1キロ太るのに8キロのエサが必要になります。子牛の時は50キロ以上で競りにかけられますので、エサ代や管理費、人件費など様々かかります。
では、と殺とは一体どこで行っているのかというと、全国各地域にある食肉処理のセンターがあります。これは、全国の牛の流通の要であり、衛生においても重要な施設となっています。尚、BSE検査やと殺された牛が人間にとって食べるときに危害があってはならないので併設して食肉衛生検査場というのがあります。
食肉処理センターと食肉衛生検査場があって私たちは安全に牛肉が食べられるわけです。
この施設はと畜場法という法規によって決められているので必ずと殺されところが決まっています。
また、と殺される動物も決まっています。牛、豚、鶏、馬、羊がこの施設で処理されています。
ただし、先ほどの記載になかったイノシシなどの動物は、他の施設か個人でと殺される場合がありますので留意していただければと思います。
次にと殺された牛はどうなるのかというと食肉処理センターでよく併設されていますが、「競り場」がありますのでここで競りにかけられ売買されています。また、売買される状態(と殺後)は、四足、頭、内臓が除去されて2分割され、「枝」「半丸」とばれています。
ここで購入されているのがバイヤーといわれる方で、主に卸業者の方が多く牛の品質を見極めて購入されています。
見極めの基準はこちら
複雑な牛肉の流通とは一体どうなっているの!?
また、生体での売買される地域もあります。
では牛肉のと殺後はどうなっているのでしょうか?
と殺後は競りにかけられ、購入した工場に出荷されます。
工場に搬入された牛(枝)は、1次問屋の仕事である牛の骨を抜き取る(脱骨)作業があります。
そして、精肉店やスーパーなどが処理しやすいように部分肉として分割されていきます。
部分肉は基本的に11部位~13部位に分けられ出荷されます。
日本の牛の流通は少ないのでストックする量は少ないのですが、海外へいくと食べる量が半端ではないので保管している冷蔵庫が学校の体育館並にあります。
まるでコス〇コみたいな置き方ですね(;^_^A
その後、精肉店やスーパーなどに搬入されお客様が食べやすい状態にカットされます。
なかなかおいしそうですが、私たちが食べられるまでには非常に多くの過程と人が携わります。また、流通の基本的なことはこれらの過程を踏んでいますが、そうでもないのが飛騨牛の産地岐阜県です。
岐阜県は、全ての流通が一貫しているため様々な会社が携わることなく一社で生産から販売まで行っています。
地域によっても流通が違います。全国様々です。
では、熟成のタイミングとはどういった所が良いのでしょうか?
現在では機械の発達により、飲食店でも置ける熟成の機械や簡易的な施設があります。
今では手軽にできますが、私個人としては問屋さんの現在の施設でも可能です。温度、湿度などの基本的な方法は問屋の方がうまく引き出す方法は長い年月をかけて知り尽くしていますし、肉の見極めかなり研究しています。
私がいる自社でも肉を販売して100年の歴史が立っていますので、その知識の豊富さ半端ではないです。
少し蛇足にはなりましたが、熟成のタイミングとしては取引されている方によっては違いますが、部分肉の包装状態での熟成と枝肉時点での熟成がもっともよいのではないかと思います。
骨がついているかついていない状態でするのかどちらかのタイミングですが、畜種によっては違いがでますが多いのは包装状態での熟成で短期間でほどよく熟成されます。
牛肉のと殺後の管理は問屋次第ですが、保管の仕方によっては熟成肉も可能!?
といっても熟成方法はかなりの数がありますのでこれが正解とはありません。
ですが、現在ではネットの発展により情報はよく開示されるようにもなりましたし、技術や知識も分け隔てなく公開されるようになりました。
昔は、職人が「見て覚えなさい!」
なんて事は言われないような時代です。
知識や技術が公開していくなかで新たな美味しさの発見がありますので、私としてもそのような交流を沢山していこうと思います。
では次回に!
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