今回は、エムマート市場(食材卸売場)に掲載されている「マエバラ」部位についての解説と活用方法についてご紹介になります。
マエバラとは肩ロースにつながる部位で、和牛などは焼肉としてよく使われる部位になります。
骨付き肉(カルビ)としても使われることが多く、肉の味が薄く感じやすいですが骨付きともなるとジワリと味がのってきます。
- 「マエバラ」部位とはいったいどのような部位なのか?
- どのように使われることが多い部位なのか?
- どのような味や特徴があるのか?
などを解説していきます。
韓国料理の高級部位「マエバラ」はカルビ焼きの代表格
エムマート食材市場にある国産牛肉「マエバラ」部位は、出品店舗が少ないためネット上ではあまり見かけないかもしれません。
試してみて使ってみるには高額な商品になってしまうため、入手難度も含めた扱い方に悩む部分もあります。
マエバラを試すには、どうしてもという方には、マエバラ部位に付随しているサンカクバラ部位を試してみるのも良いかもしれません。
サンカク部位は、焼き肉用(品種や品質によりますが)や煮込みにも使用できます。
地域によっては肉うどんやカレー用としても使えますが、煮込むと味にコクがでるようになります。
とくにホルスタインなんかは、非常に肉の味が濃くなりますので使ってみるのもよいのではないでしょうか?
また、「マエバラ」の正式な名称は、「かたばら」であり、英名においては「ブリスケット」と呼ばれています。
マエバラの特徴とは?
「マエバラ」は、かたの部分にあるばら肉で、厚みのあるのが特徴です。
胸骨の部分にある「むねこぶ(かたこぶ)」と呼ばれるばらの先端部分は、肥厚して硬い部分となります。
かたロースに接する一部は、脂肪交雑がよく入り、濃厚な風味のある部分で、英名で「ショートリブ」と呼ばれる部分は、ほぼリブロースと同等の高い価値で評価されています。
韓国料理の焼肉でカルビ焼き(バラの焼肉)のうち、高級なものはこの部位を使用します。
薄切りにしたものは、もちろん厚さに難はありません。
また、筋膜などはトリミングせずに、また骨付き状態のまま煮込めば最高のスープがとれます。
牛肉好きの通は、この部位を高く評価して賞味しています。
マエバラ部位のすじ引きと整形
「マエバラ」部位の整形・すじ引きのポイントとしては、マエバラ部位をさんかくばらと切り離します。※切り離す目安は、マエバラの赤身肉に沿って切る。(外側よりみます)
また、マエバラ部位は軟骨が多く残っている部位ですので、この軟骨や骨肌は残さずに丁寧に取り除く必要があります。
次に脂肪の厚い部分があるから、付けすぎないように注意が必要です。
マエバラとさんかくばらを切り離します
点線より、まえばらとさんかくばらに分割します。切り離しの基本的な目安は、マエバラの赤身肉に沿って切ります。(外側よりみる、切るのは内側から)
マエバラとかたさんかくを切り離すとき、マエバラの内側かぶりを、かたさんかくといっしょに分割する方法もあります。(この場合は、マエバラを内側かぶりと分割するとき)
ばら骨の山部(盛り上がった部分)のすじを引き、脱骨のあとの骨肌と軟骨を取り除きます
- ばら骨の間のすじを引きます。脂肪の多いときは先に脂肪を取り除きます。
- ばら骨の脱骨あとの、横、左右の骨肌や軟骨の残りは丁寧にすべて取り除きます。
胸骨(細長いマエバラで一番大きい骨)を脱骨したあとの、軟骨、骨肌を取り除きます
- 左手で取り除く部分を、ナイフが入りやすいように持ち上げます。
- ナイフを横に大きく入れ、円を描くようにえぐり、軟骨、骨肌を取り除きます。このとき、脂肪もいっしょに少し取り除くことによって、作業の効率がよくなります。
※印や軟骨、小骨の取り残しのとくに多いものがあると、食べたときに残るので注意します。
脂肪を取り除き、変色や汚れ、乾燥した表面の肉を取り除きます
- 外側の脂肪を1,5センチほど残し、余分な脂肪は取り除きます。
- マエバラのあたま部分、横の部分、変色や乾燥した肉は、表面だけ薄く削り取ります。
脂肪を取り除きます
捌きナイフを使って(なくてもよい)、まず上方に、かぶりに沿って入れ、マエバラのあたま部分より脂肪を取り除きます。
※脂肪の薄いものは取り除かないこと。
外側の脂肪、汚れ、印などを取り除き、すじを引きます。
- 脂肪を5ミリほど残し、余分な脂肪を取り除きます。汚れや印も取り除きます。
- 外側かぶりのすじを引きます。赤身上面のすじを引き上げます。
マエバラ部位の分割と整形
内側かぶりと赤身肉を分割します
内側かぶりに脂肪を付けてかぶり部位を切り離します。
※図では、かぶり部位を下側にして分割していますが、基本的にはこの逆で、赤身を下側にしてかぶりをめくり上げて取り除くとよいです。
赤身肉と外側かぶりを分割します
赤身肉に沿って、外側かぶりを切り離します。
※図では、かぶり部位を下側にして分割していますが、この逆、赤身肉を下側にして分割してもよい。
※分割した部位は、それぞれ脂肪を適度に取り除き、仕上げます。
マエバラの赤身肉の商品づくり
マエバラ赤身肉は、大きくて薄い部位。これは、いちぼ部位と同じようにやわらかさ、味が極端に異なっています。
ともばら側は肉質が硬めで味も落ちます。あたま部分(細い方の約1/3くらい)は、やわらかくて風味もよいです。
この美味しいあたま部分だと同じ枝肉のしんたま部位と比べて、このブリスケットの方が柔らかく味もよいです。それほど価値がある部分です。
かたさんかく部位の整形と筋引き
ポイントとしては、脱骨あとの骨肌、小骨は丁寧に取り除きます。
ばら骨間のすじを引きます
まず最初に、三角形のあたま部分のすじと脂肪を取り除き、ばら骨間のすじを一つずつ引き上げます。
骨肌を取り除きます
脱骨の後の骨肌を完全に取り除きます。
脂肪を取り除きます
右側より脂肪をめくり上げていき、取り除きます。そのとき、脂肪は全部取り除かないで薄く残しておきます。
すじを引きます
筋引きナイフを逆にもってすじを引き上げます。
※左部位は手前にすじを引きます。
さんかくばらの商品化一例(すじ引きと整形)
ばらあしの雑肉をすじと脂肪を一緒に取り除いて、残った脂肪も全部取り除き、さんかくばらを三等分に細長く柵どりします。
商品化のポイント
刺身用には薄め(2ミリ)に切ります。けっして厚く切らない方がよいです。
※現在では、刺身(生食)は、許可がないとできません。
※刺身用は脂肪を完全に取り除く必要があります。
※焼肉はBの部分をつかった方がよいです。
まとめ
今回は、マエバラ部位の整形と筋引きについて記載していきましたが、商品化においては、ほんの一部分を紹介しました。
肉質の特徴を生かした用途(焼肉やスライスものなど)が分割や整形において重要な事になります。
例えば、硬いのに焼肉用にしたり、焼肉用として使えるものにスライスしたりと単価基準となりますが、価値の差異で大きな違いを生み出してしまいます。
この肉質の見極めが商品化にとって重要なものになりますので、抑えておきたいところです。
コメント
コメント一覧 (2件)
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