焼肉の文化は、戦後の日本において朝鮮半島から伝わり現在に至ります。
本来、カルビは骨つき肉という意味ですが一般的に焼肉と解釈されますので、ここでは焼肉に最適な部位はどこのなのか?
また、私個人の視点で牛肉の選び方の基本的な部分からみてどのようにして選んでいけばよいのか紹介していきます。
牛肉の部位には、それぞれの特徴があり焼肉に最適な箇所がある
牛肉の部位には数多く存在しますが、代表的な部位は以下の点を参考にしてください。
それぞれの特徴を抑えることによって焼肉にすることができます。また、骨付きカルビ(カルビ)になりますと『ともバラ』や『さんかくバラ』など「バラ」と名前がつくような箇所が多く使用されます。
品種の特徴をおさえ牛を選ぶ。
牛には、飼育される際に肉用牛と乳用牛と二つの目的があり、大別されます。
食べるために目的とされる牛と牛乳を生成していくための牛なのかの違いですが、勘違いをしてはならないのが牛乳のための牛だから食べれないことはありません。
乳牛においてはハンバーグの材料になったり、牛肉に味が残っているものがありますので煮込み用メインで使われる事が多いです。
乳用種(乳用牛)には、ホルスタインとジャージー種に分かれます。肉用牛には、肉専用種(和牛)、交雑種、外国種にわかれます。
また、肉専用種には、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種にわかれます。
一般的には、雄より雌の方が肉質的に柔らかく人によっては、雌は子供を産んでないほうがうまいと言われていますが、逆に一度子供を産んで肉質をしめた方がうまいと感じる場合もあります。
黒毛和種
全国の和牛の飼養頭数の約94%を占め、特色としては黒毛の単色で、角、ひずめなども黒い。銘柄牛のほとんどがこの品種、但馬牛など有名な牛が多い。
褐毛和種
熊本県と高知県の赤牛を基礎に改良を加えた品種。黒毛和種に次いで多く、主産地は熊本、高知。肉質は黒毛和種に近い。
日本短角種
東北地方北部原産の南部牛を基礎に改良を加えた品種。岩手、青森、秋田が主産地。脂肪交雑では黒毛和種より赤身のほうが多い。
無角和種
山口県の在来の和牛を改良した品種。主産地は山口で少数品種。肉質は黒毛和種より若干劣る。
乳用種
乳用牛のホルスタインの雄と去勢して肥育したものと、乳用牛として乳を搾ることをやめた雌牛。白と黒のまだら毛色が特徴。完全な赤身で脂肪は黄色のものが多い。
交雑種
他の品種とかけあわせてできた品種を言い、和牛と乳用種が最も多く、和牛と外国種などのかけあわせる。F1(エフワン)とも呼ばれています。(ファーストクロス)
外国種
外国で確立された品種で早熟。世界三大肉用種は、アバディーン・アンガス、ショートホーン、ヘレフォード。中でもアンガスは肉質が良いとされている。また、オーストラリアでは、和牛の交雑に成功しており日本でも販売されている地域がある。
牛のライフサイクル
- 肉牛(和牛、乳用種共通)の妊娠期間は285日で、一回の分娩で1頭が基本。近年受精卵クローン技術により多頭分娩も見受けられる。
- 出生した子牛は、繁殖生産者が和牛であれば8ヶ月から9ヶ月育て、主に子牛市場に出荷する。その後肥育農家に買い取られて約20ヶ月肥育されて出荷
される。 - 近年では、牛一頭の重量を大きくし肉事態を大きくみせる傾向にあるが、飼育期間が30ヶ月を超えるため、少し肉質がかたくなる傾向になる。
しかし、技術のある農家では、28ヶ月以内にと体重を大きくするところもある。又、飼育期間が短くなることが増えた。 - 肉牛の出荷体重は、黒毛和種(去勢)でおおよそ700kg、乳用種(去勢)で750kgぐらい(小さいものやジャージは、小さい)。肉牛は体重の8倍程度
の濃厚飼料を必要とする。
銘柄牛について
銘柄の定義を定めてその定義に沿って、銘柄推進協議会などを設立して生産された肉牛をいう。銘柄の定義の主なものは、①牛の血統②牛の最終飼育場(場所)③肥育期間④肉質等級などの取引規格⑤指定小売店制度。そのほかに地域や企業が統一名称をつけて銘柄として販売しているものある。2011年には300種類におよぶ。
お肉のきめをおさえる。
牛肉は、筋線維の集合体であり、各筋線維は筋内膜と呼ばれる結合組織で囲まれていて、50本~100本の筋線維が束ねられて第一筋線維束をつくり、さらに第一筋線維が多数集まって、第二次筋線維束が形成されています。
これらの大小の筋線維の間には結合組織があり、筋線維の周りを囲んでいるので筋周膜と呼ばれています。
第一次及び第二次筋線維束の面積の大小は、食肉の「きめ」の粗密と関係があり、運動量が多く大きな力を出すことが必要な筋肉、つまり運動に使われることが多い筋肉は、筋線維の断面が大きく「きめ」が粗いのに対し、肥育された家畜の筋肉は、運動量が制限されているので断面積が小さく「きめ」が細い。
「きめ」が粗い食肉は硬く、「きめ」が細かい食肉は軟らかい。筋組織の両端は、すべての結合組織が集合して腱になり。骨格の骨膜に密着しています。
硬くて食用になりにくい筋膜や腱を「すじ」とよびます。
よく肥育された和牛に見られる霜降り肉では、第二次筋線維束を囲む筋周膜はもとより、第一次筋線維束を囲む筋周膜にも脂肪が沈着して脂肪組織が形成する。
食肉の品質をおさえる。
食肉の変化
牛をと畜するとすぐに死後硬直がはじまり、この状態ではまだ硬く、旨味に乏しい。
ある程度時間が経過すると、硬直がとけてくるとともに、タンパク質が分解してアミノ酸などの旨味成分がでてくる。この状態を熟成と呼び、食肉は柔らかくおいしく食べられるようになる。
熟成完了までの期間は畜種によってことなり、2℃保管した場合、牛で10日~15日程度必要です。また、何ヶ月も寝かせて熟成とするのは本来の熟成とは違います。
食肉の品質
食肉の良否を判定する基準は、一般的に肉色、風味、多汁性、柔軟性の4つがあげられます。
肉色
食肉の色は、タンパク質に含まれるミオグロビン(色素たんぱく)によります。ミオグロビンは生体内では筋肉中に酸素を蓄える働きをするものです。
したがって、よく動く動物や部位、あるいは年齢によってその含まれる量に差が出ます。
食肉を切った直後はミオグロビンの暗赤色(紫赤色)をしているが、空気中の酸素に触れると、ミオグロビンは酸素化してオキシミオグロビンになり鮮やかな赤色に変わる。これをブルーミングと呼びます。
さらに長く空気中に放置すると、オキシミオグロビンは酸化してメトミオグロビンになり、退色した灰褐色になる。
その肉は切りたての暗赤色なのか、退色した灰褐色なのかは、鮮度を見極める重要なポイントです。
風味
生肉の風味はつよい塩味のある血液に似た生臭いものであって、加熱するとより好ましい風味が生じる。
これは、加熱によって肉中のアミノ酸及びペプチド(タンパク質の加水分解熱)が糖とアミノカルボニル反応を起こして、好ましい香気を生成すると考えられています。
また、肉の熟成中に、カテプシンと呼ばれる酸性域で活性が強まるタンパク質分解酵素が働き、アミノ酸やペプチドが量的に増加し、風味の向上をに寄与しています。
また、動物の種類による風味の差は、脂肪部分に由来すると考えられ蓄積された脂肪の組成は、飼料等の影響を受けやすい。
多汁性
食肉の60%~80%は水分であり、その大部分は比較的遊離しやすい状態にあります。
この水分は、肉を口に入れて噛むと、肉中に含まれる可溶性タンパク質や旨味成分とともに口に流れ出して風味を感じさせます。肉の風味は、肉中に含まれる肉汁の多い少ないに影響を受けます。
このような肉の性質を多汁性といいますが、肉に多汁性を与えるのは、ミオシン、アクチン、アクトミオシンといった筋原線維タンパク質の間に保定されている水(結合水)と筋線維の間に存在する水(自由水)でありますが、結合水の方がより重要であり、この結合水を多く保つことが保水性になります。
肉の保水性はphに影響します。生きている状態で7.0で、死後硬直時の肉のphは5.4付近まで下がり肉の保水性は悪くなります。しがし、肉の熟成によって徐々に上昇するために保水力も増加します。牛肉加工の際に食塩や各種リン酸塩を添加するのは保水力(結着力)を高めるためです。
柔軟性
肉は硬すぎても、柔らかすぎても好ましさが失われます。
柔らかさは、肉の組織構造ならびに成分によってもたらされる本質的なものと、死後の筋原線維タンパク質の性化学的変化によってもたらされる現象的なものがあります。
筋原線維や筋線維によって構成される筋束の周囲は、結合組織(すじ)の主成分であるゼラチンなどの硬タンパク質でおおわれています。
したがって、肉の柔らかさは結合組織の存在量とそれを構成する各種タンパク質の割合によって決まります。
肉中に含まれる結合組織の量は、動物の種類、部位、栄養状態等によって異なりますが、同一部位における結合組織の量は、牛、馬のような大動物よりも豚等の方が少なく、同じ畜種では肩、脇腹に比べ、ももや背のほうが少なく、柔らかいことになります。また、やせた家畜が、肥えた家畜に比べて多いのもこのためです。
一方、結合組織中の各種硬タンパク質の存在割合の比率は、主として年齢によって影響されます。すなわち、年齢が高くなるにしたがい、結合組織中に占めるコラーゲン、エラスチンの量は次第に増加します。
肉は、と殺後に死後硬直後、時間の経過に伴い徐々に肉は柔らかくなり、これは構成するタンパク質が構造変化及び分解を引き起こすためであります。
以上のように家畜の年齢、肥育状態が柔らかさを判定する目安となり、キリングデート(と殺日)が末端販売での柔らかい肉を提供するための判断材料になります。
まとめ
牛肉の焼肉の最適な部位を選ぶには、それぞれのお店の判断が大きく及んでいますが、品種や銘柄そして、食肉の品質と変化をおさえることにより、肉本来の味わい方がかわります。
また 焼き方や下準備の仕方を実施することによって大きな違いをうみます。
少し専門的になりましたが、基本的な部分ですが本当に見極めるには実際に多くの牛肉を食べることにあります。又、普段から美味しいものを食べる事が、確かな味の良さに繋がります。
自分を指導していただいた職人達はよくおっしゃっていました。
私自身も様々なお店に足を運び、舌をきたえる努力をしています。
科学的な根拠とそれを支える舌と目が、本当に最適な部位を見つける答えになるのではないでしょうか。
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