牛肉の赤黒い汁は血?ドリップの正体と安全な扱い方

和牛のカルビ

牛肉のパックに赤黒い汁がたまっていると、「血なのか」「傷んでいないか」と気になります。通常、肉から出る汁は水分とミオグロビンなどのたんぱく質を含むドリップです。ただし、色や量だけで食べられるかは判断できません。

  • 赤い汁の成分と、冷蔵・解凍で出る理由
  • ドリップと品質・食品安全の関係
  • 汁漏れや交差汚染を防ぐ扱い方
目次

牛肉の赤黒い汁の正体は?

一般的に販売されている牛肉の商品

米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)の牛肉解説は、パック内の汁を肉の水分とたんぱく質に由来するものと説明しています。赤い色には筋肉中のミオグロビンが関わります。牛肉を放血処理することと、「血液が一切残らない」と断定することは別です。

解凍時の流出液をドリップ、冷蔵中の流出液をウィープと呼び分ける場合もありますが、この記事では肉から出る汁をまとめてドリップと呼びます。呼び方や汁の色だけで安全性の基準が変わるわけではありません。

放血・整形の写真で分かることと限界

放血が失敗した牛肉
※画像閲覧には注意

上は既存記事で「放血が失敗した牛肉」として掲載した写真です。写真だけで原因や微生物の状態まで確定できません。血液の付着など、加工中に確認する状態の例としてご覧ください。

人間に不快を与える牛肉を除去された枝肉
スポットや血合いなど人間にとって不快を与えるものが除去された枝肉
人間にとって不快に与える部分除去されたサーロイン牛肉
血管など除去された牛肉

これらは既存記事の枝肉・血管等の除去例です。目に見える血管や血合い、異常部分を除去することは、菌がいない証明ではありません。「筋肉の内部には菌が存在しない」「赤い汁はすべて放血の失敗」とは言い切れません。加熱用の食肉は生食せず、清潔な器具で扱います。

ドリップが出る原因と品質への影響

冷凍・解凍に伴う組織の変化、肉の保水性、保存時間、温度変動、押しつぶすような圧力などによって、水分が外へ出やすくなります。冷蔵肉でも汁は出ます。すべてのドリップをなくすことはできません。

汁には水溶性の成分も含まれ、流出が多いと重量や食感、調理上の歩留まりに影響します。部位名だけでドリップの量や保存できる日数を一律に決めず、包装・加工・温度管理なども合わせて確認してください。

USDA FSISの肉色の説明では、ミオグロビンや酸素との関係、動物の年齢や筋肉の使われ方、保存などで肉色が変わるとされています。赤黒い汁だけを「長時間経過した腐りかけの証拠」とすることも、薄いピンクなら新鮮・安全とすることも適切ではありません。

既存の57日間の試験図について

牛肉の肉質変化
牛肉が腐っていく様子をグラフ化したもの(菌の増加量)

上の図は既存記事の資料を保全したものです。以前の本文には「ラップなしで57日間、5℃以下と10℃以下で菌の増加を見た」とありましたが、元資料・実施主体・包装・試料・検査方法・判定基準を現時点で照合できていません。当社や筆者自身が実施した実験の実績、一般的な保存可能日数、安全に食べられる期限としては扱いません。

図の菌数と写真の色だけから、個別商品の腐敗や法的基準への適否を判定することもできません。期限は商品ごとの試験と保存条件に基づくもので、この図の日数まで保管してよいという意味ではありません。

赤黒い汁が出たときに確認すること

  • 消費期限と保存温度、未開封・開封後・解凍後の別を確認する
  • 異臭、強いぬめり、包装の異常な膨張・破損などがあれば使用をやめる
  • 異常が見えない・臭わない場合でも、食中毒菌がいないとは判断しない
  • 期限や保存履歴が不明で不安があるときは、味見せず販売者へ相談する

消費期限を過ぎたものは食べないでください。加熱や冷凍で、期限切れや不適切な保存履歴を帳消しにはできません。「焼けば大丈夫」として使い切らないことが大切です。

汁漏れを防ぎ、安全に扱うポイント

  • 商品表示に従って低温で保存し、室温に長く置かない。解凍は冷蔵庫内など安全な方法で行う
  • 受け皿や密閉容器を使い、汁が他の食品へ付着しないようにする
  • 生肉に触れた手・包丁・まな板は洗浄等を行い、そのまま食べる食品と分ける
  • 肉を押しつぶすような重ね置きを避け、開封後・解凍後は販売者の案内に従って早めに使う

厚生労働省の家庭でできる食中毒予防も参考にしてください。家庭でラップや真空包装をしただけで保存期限が延びるわけではありません。酸素が少ない条件で増える菌もあるため、「空気を抜けば安全」とは考えません。

牛肉の細菌検査
お肉屋さんが実施している細菌検査(菌の量を調べているところ)

上の写真は既存記事に掲載した細菌検査の例です。検査対象・方法・結果が確認できないため、現在の商品すべての安全性を証明する写真としては扱いません。

加熱用の牛肉は生食に使わず、衛生的に取り扱って十分に加熱してください。厚生労働省の食中毒予防の案内では、中心部75℃で1分間以上、またはこれと同等以上の加熱効果を持つ方法が示されています。厚さや表面の焼き色だけで安全を判定しないことが大切です。

まとめ

赤黒い汁は肉の水分と色素などに由来します。解凍・保存・圧力によって量は変わり、色や量だけでは鮮度・安全性を確定できません。期限と保存履歴を確かめ、汁が他の食品に触れないよう衛生的に扱いましょう。

仕入れ前に確認すること

業務用で仕入れる際は、冷蔵・冷凍、包装、解凍後・開封後の使用条件と期限を確認してください。原料重量と解凍後の使用可能重量の差は実測し、ドリップを含むロスを原価へ反映します。

不定貫の重量、注文単位・ロット、税区分、送料、冷蔵・冷凍、期限、出荷日・到着見込みを各商品欄と送料表で確認し、在庫・希望納期・用途に不明点があれば注文前に出品者へご確認ください。

保存・解凍条件を確認して業務用牛肉を選ぶ

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五十嵐商会では、国産牛ホルスタイン経産牛を中心に、飲食店・精肉店・惣菜製造業者・食品メーカー向けの業務用原料を取り扱っています。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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