海外と日本の飼育方法は違います。
何が違うかというと生産規模、品種、牛の改良技術など様々あります。
今回は、海外で得た知識を生かしながら、日本で生産される【尾崎牛】についてどのような牛なのか?
また、オーストラリアは、肥育に関して先進的な技術をもっていますのでいったいどのような技術で生産されているのか紹介していきたいと思います。
海外での牧場経験を取り入れた技術の和牛にせまる
尾崎牛では、アメリカで培ってきた技術がふんだんにつかわていますが、私自身もオーストラリアで研修を受け学んだことがあります。
尾崎牛を紹介する前にオーストラリアでは世界でも先進的技術を用いて取り組んでいますので、そちらを紹介してから本題に入りたいと思います。
生産から輸送までの品質管理の徹底
農場から肥育場、牛の輸送、家畜市場、加工工場まで、オーストラリアの牛肉産業のすべての現場で、食品の品質と安全を保障する品質保証(QA)プログラム、QAプログラムは単一のものではありません。
様々な現場ごとに品質と安全を守るシステムがあり、オーストラリアの食品の安全は、それらすべての現場の誠実な努力の積み重ねとしあります。
品質保証プログラム1(農場)
農場での食品の安全を守るためのプログラムです。
家畜生産保証制度(LPA)
LPAは、ISO9002:1994とHACCPの原則に則って規定されたもので、無作為の検査などを行う独立監査を通じて、プログラムの公正さを保っています。LPA農場食品安全規格は「食品安全管理」という以下の5つから成り立っています。
- 食品でのリスク評価。
- 安全で責任のある家畜の取り扱い。
- 飼料用の作物、穀物、牧草の取り扱いと保管方法。
- 家畜の出荷準備。
- 家畜売買と輸送。
全国出荷証明書
全国に出荷証明書は、肉牛の健康や安全性に関する詳細を証明するものです。
そこには農場の所在地、出荷者の連絡先、PIC、家畜の農薬と接触および獣医医薬品の有無、補助飼料の給餌の有無など記録管理されています。
この証明書は、農場から肥育場、家畜市場、加工工場まで、家畜の一生の移動履歴とリンクされています。
品質保証プログラム2(肥育場)
牧草で元気に育てた牛に途中から穀物飼料を与え、輸出向けの穀物肥育牛(ゲレインフェッド)を生産するのが、肥育場です。
全国肥育場認定制度で穀物肥育牛の健康管理
全国肥育場認定制度(NFAS)は、穀物肥育牛を生産する肥育場に義務づけられた品質保証システムです。
この制度のもと、飼料や飲水の安全性、獣医処置の規制と監視、農薬や微量金属の検査など、あらゆる面からチェックをおこない、肥育場の管理を行います。NFASで認定された肥育場では、それぞれの肉牛の健康状態や給餌履歴が追跡できるよう記録が保存されています。
飼料出荷証明書で飼料の農薬使用をチェック
飼料生産者は、飼料を生産するときに農薬を使用したかどうかを飼料出荷証明書に記入しなければなりません。
肉牛生産者や肥育場は、この証明書によって、安全な飼料を確保することができます。
品質保証プログラム3(家畜市場)
全国家畜市場品質保証制度で市場の基準を統一
オーストラリア家畜市場の建設と運営に関する全国基準です。この基準では、食品安全、品質、トレーサビリティなど家畜市場での主要な品質上の問題点や危害について規定しています。
品質保証プログラム4(加工場)
輸出向け牛肉加工場は、ISO9002:1994に適合した「食肉及び食肉製品の衛生的な生産及び輸送に係るオーストラリア規格」に従って操業しています。
さらにオーストラリアでは1997年よりすべての輸出向け食肉加工場にHACCPをベースとした品質保証プログラムの実施が義務づけられております。
オーストラリア検疫検査局
食肉の衛生と安全性の規制及び認証を担当する連邦政府機関です。
オーストラリアの輸出向けライセンスを受けた食肉工場は、すべて1982年に制定された輸出管理法にもとづいて運営されています。
この法律は、加工段階での食肉の取り扱いに関するあらゆる側面を網羅しており、輸出向け食肉加工場にはオーストラリア検疫局から派遣された獣医検査官が常駐し、規定が正しく適用されていることを確認することとさだめています。
安心の太鼓判「衛生証明書」
屠畜・加工場には検査官が常駐し、多くの衛生検査を行っております。こうした厳しい検査規定をクリアした牛肉だけに、「衛生証明書」が発行されるのです。これは、日本政府を含む各国政府との協議の下で定められた公式書類です。
品質保証プログラム5(輸送)
肉牛の輸送時には、任意の家畜輸送品質保証システム「トラックケア」によって、動物福祉や肉質、安全性を最大限に確保しています。
また輸出の際は、コンテナは出荷時に検疫監視員によって封印され、目的地に到着するまで開かれることはありません。
輸送時も「安全」に細心の注意がはらわれます。
輸送・保管方法に細心の気配りがされており、真空パックのままチルド輸送され、店頭に並ぶころ、牛肉がほどよく熟成し、最良の状態であるように、また賞味期限を最大限に維持するため、温度は常にマイナス1℃~+1℃に保たれています。
尾崎牛はハイブリッドの牛?
オーストラリアでの内容を紹介しましたが、尾崎牛の生産者は、アメリカで長い間牧場に携わり現在では地域の和牛を生産しています。
格付けのように銘柄牛ではありませんが、安定した品質と管理の中で牛を生産しています。
生産者は、アメリカで学んだ知識を和牛にいかして新たな品質を提供しながら新たな味を確立しました。
その結果が航空の食事に採用される事になり、また、その品質は海外の安全性に関するものもかなり導入されているようです。
今後注目していきたものだと思います。
まとめ
海外での食肉産業は、日本より先に官民一体となりながら品質の安定と安全をもりこみながら取り組んでいます。
日本での安全性に関しては、ようやく海外で認められるようになりましたが、全国的にみればこれからではないでしょうか。
また、賞味期限については、オーストラリアでは77日、アメリカでは、62日、日本では61日となっています。いかに品質を保っていくかの部分においては、オーストラリアではずば抜けていますが、味は別です。
しかしながら、オーストラリアでは日本の和牛とオーストラリアの牛とのハイブリッドが開発しており、今では輸入されています。
昔と比べるとオーストラリアの牛の味もよくなりました。日本での食肉の自給率は40%程ですが、輸入の存在が必要ですので致し方がないのですが、今後の行末がきになるところです。
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