個体識別番号は本当に必要なのか!?

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ご覧いただきありがとうございます。

個体識別番号をご存知でしょうか?

牛の個体識別番号とは!?

ラベル表示でみかけられる10桁の番号には個体識別番号が記載されていますが、これは牛肉の安全性を確保するための手がかりとなっています。

そして、安全性を確保するための手がかりとは一体なんでしょうか。

実はトレーサビリティ、がというシステムがあります。

すなわち履歴という意味です。

トレーサビリティ(traceability)とは、トレース(trace追跡する)とアビリティ(ability=能力)を合わせた言葉になります。

食卓から農場までを大きな役割を果たしていますが、もし、私たちが牛肉を食べて、事故が起こった場合に原因究明ができるようにするしくみのことになります。

また、トレサビリティには大きく4つの機能が分かれており、第1に健康に対するリスク管理第2に製品の回収や原因の究明第3に情報の提供機能第4に品質管理の機能になります

では、4つの機能を踏まえ手段として個体識別番号があるわけですが、果たして本当に必要なのか?これらの導入上にはどんな問題点があげられるのか?何のためにあるの?といったことをふれていきたいと思います。

目次

個体識別番号には、食肉流通の信頼を確保する手段!

平成9年にとある会社の食肉偽装事件があり、多くの注目をあびるようになった牛肉に関する事件は、大きな話題となりました。

輸入牛肉を国産と偽ることも話題になり、日本の牛肉に対しての信頼が下落の一途をたどりました。加えて平成13年には、千葉県においてBSEの疑いがある牛が発見されたとの農水省の発表に、食肉業界は信用されない時代を迎えることになりました。

すなわち牛肉を販売しても売れない状況です。

私が群馬県で当時の状況をうかがったときは、枝肉単価が1キロあたり50円でも売れない。ということを言われ、完全に流通が歯止めがかかっているということを語っておられました。

牛を生産する人にとっては無駄になり、販売する側にとって、仕事をするだけで赤字になる状況になります。

信用がまったくない!かつてのBSE問題といわれる事件になります。

そこで信頼回復への1歩としてトレーサビリティ法が施行され、食肉業界は信頼確保への道を歩むことになったのです。




個体識別番号は牛の移動履歴がわかる!

トレーサビリティとは、個体識別番号をつけることによって、牛の生産から育成・肥育、流通経路、改良情報、病気などの履歴を一括して把握できる移動履歴のことをいいます。

出生直後に個体識別番号がつけられるので、適正な管理と伝達が行われれば原産地の立証が容易にでき、表示の信頼性も確保するというわけです。

このようなシステムが確立していない場合は、加工肉の小売りパックに問題が生じても、それがどのような経緯で起きたのかわからず、莫大な量の回収が必要になります。

また、原因が追究できないため消費者の不安も拡大し、生産者も出荷が困難な状況になってしまいます。

すなわち、問題のある牛肉が明らかになることで、牛肉を保管する状況や小売店の販売状況が迅速に把握できるため、的確な製品の回収と問題の原因がわかることが消費者の不安も極めて限定的に抑えることができるのです

食肉の大規模な信頼回復を図るためには、個体識別番号を通してトレーサビリティが欠くことができない重要なシステムといえるでしょう。

消費者への情報提供が重要な現在において、消費者に対してインターネットなどをもちいて簡単に情報が提供できるようになったことにより、多くの人々に確かな伝達が可能になりました。

個体識別番号を管理している家畜改良センターとは?

これは、重要なポイントの一つでもありますが、業者間取引においても大切になります。

食品を製造するメーカーにとって、衛生管理のために安全な原料肉を確保することが必要になっています。牛肉の原料は、自助努力では確保が難しく、他者に頼らなければなりません。

むしろトレーサビリティは、消費者のシステムというよりは業者間の品質管理を向上させるための手段だと言えます。

トレーサビリティの問題とは!?

しかし、トレーサビリティといえど問題があります。

それは、流通においてきちんと機能が果たせるかどうかにあります。

適切で信頼性のあるシステム構築するためには、個々で確かな信頼を築く必要がありますが、構築する上でシステムの自己検査、第三者の立ち入り検査が不可欠になってくるのではないでしょうか。

全体のシステムをコントロールするための主体設定やデータベースを運用するための管理・運用規定の設定、セキュリティの構築と維持も重要となります。

様々な業態、企業があるなかで費用等も考えてみると、果たして可能なのかどうか難しい問題になります。

いくら高度な情報システムを用いても、適切な部流の仕組みや製品の識別方法の設定がなされていない場合は、諸刃の剣といえるのではないかと思います。

トレーサビリティは、リスク管理の手段としても情報の提供としても、義務化への道を歩むのではないでしょうか。




まとめ

食肉の偽装問題、BSE問題を経て、食肉の業界自体は大きく信頼を失うことになりました。

トレーサビリティというシステムが導入されてから日本では、個体識別番号という手段を用いて、安全にそして安心して消費者に対してお肉を届けられるよう失った信頼を取り戻していく道を歩んでいます。

しかし、システム上では信頼確保する上でどちらかというと、業者間取引においてもっとも重要なシステムであると位置づけられるのではないかと思います。

高度な情報システムといえど、物流の中できちんとした管理がなされていない場合には起きる問題があるのでは?

今や食中毒の問題も生まれ、より一層の安全の確保が急務になる中、食肉にもHACCPの導入への義務化が始まろうとしています。それは、トレーサビリティとHACCPの両立が適切な安全確保への道なのでは?

成熟した市場の中に活路を見出していくためには、さらなる思考が重なるのではないでしょうか。

では次回に!

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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