しんたまを一つの塊で仕入れると、焼肉やステーキに使う部分と、薄切り・切り落とし・煮込み等に回す部分を分けて考える必要があります。「しんしん」は、しんたま全体を分割したときの小部位の一つです。
このページでは、元の写真に沿って、しんたま全体の分割、筋引き、4つの小部位への用途配分を紹介します。小部位の味の順位ではなく、原料の形と整形負担から商品づくりを考えてみましょう。
しんたまの特徴と4つの小部位

しんたまは、ももにある球状の部分肉です。掲載例では、まるかわ、かめのこ、ともさんかく、しんしんの4つに分割しています。赤身の多い部位として扱いますが、脂肪交雑や硬さは個体・小部位・整形状態によって変わります。
しんたま全体を「まる」、ともさんかくを「ひうち」と呼ぶ例があります。一方、原文の「まるかわ=まるしん」という一律の対応は採らず、まるしん・しんしん等の名称は、取引先の写真と規格で小部位の範囲を照合してください。ここでは写真に付けた呼び名とA~Dの対応を使います。
米国食肉輸出連合会の各国呼称表では、しんたまにナックル(167A)、しんしんにナックル・メインマッスル、ともさんかくにトライチップ(185C)の記載があります。国内外のカットは範囲が同一とは限らず、英語名だけで置き換えないことが大切です。

しんたま全体の分割工程
筋肉の境や筋の走りを読むための熟練者向けの作業例です。清潔な器具と安定した作業台で、温度管理をしながら行います。写真の刃の向きや回数をそのまま再現すれば安全に作業できる、というものではありません。手指を刃の進行方向に置かないでください。
1.表面の筋・脂肪・骨肌を整える
分割後に取りにくくなる筋もあるため、先に表面の筋、脂肪、骨肌を整えます。販売規格に必要な部分を削り過ぎないよう、筋肉との境を確認します。

まるかわ上面の筋、大腿骨側の骨肌を除きます。

次に、かめのこ上面の筋を除きます。

2.ともさんかくを分ける
ともさんかくの頭側から、かめのことの分割線に沿って切り離します。写真は同じ工程を位置を変えて示したものです。



3.まるかわ、しんしん、かめのこを分ける
まるかわとしんしんの境に浅く刃を入れ、皿骨側に向かって、しんしん・かめのこの表面の境に沿って分けます。分割線は刃を入れる前に確かめ、確認する手と刃先の位置を分離してください。
しんしんとかめのこは、皿骨側の太い筋を保持し、筋に沿って分けます。原文の「2~3回の刃入れ」は掲載時の例です。回数を優先して深く切り込まず、現品の境に合わせます。

分割後の写真では、A=まるかわ、B=かめのこ、C=ともさんかく、D=しんしんです。以下のともさんかく単体のA・Bとは別の記号です。

動画で分割の流れを確認する
元の作業動画も掲載しています。写真と合わせて境や作業の流れを確認する補助資料であり、生食の安全性や、未経験者の刃物作業を保証するものではありません。
小割部位ごとの筋引き
ともさんかく
表面の脂肪と筋を、用途と整形規格に合わせて除きます。脂をすべて除くことを共通の正解にせず、歩留まりと料理の仕上がりも確認してください。

まるかわ
なかすじに沿って分け、それぞれの表面の筋を引きます。

下の写真は筋引き後のまるかわです。筋の取り方と残す肉の量は、次の用途に合わせて調整します。

しんしん
表面の筋を引き、次になかすじに沿って分割します。手前から浅く刃を入れて筋を出し、筋との境を見ながら分けます。筋を取れば、どの個体も同じやわらかさになるという意味ではありません。


かめのこ
表面の筋を引きます。表裏で筋の厚みが違うため、筋繊維の流れと刃を入れる方向を確かめます。写真例では、裏側の薄い筋は表側と方向を変えて引いています。削り取る肉の量と作業の安全を優先してください。

分割した小部位の用途配分
ともさんかく:繊維の向きで二つに分ける
ともさんかく単体の写真では、筋繊維の流れが変わる線でA・Bに分けています。ここでのA・Bは、先ほどの全体を4分割したA~Dとは異なります。
原文の約5mmは焼肉カットの例です。A・Bの両方を一律に焼肉へ回すのではなく、筋や硬さを確認し、適した部分を焼肉へ、硬さの残るB側等を挽肉材料やカレーなどの煮込みへ振り分けます。挽肉も中心までの十分な加熱が必要です。


まるかわ:色と整形状態を見て用途を選ぶ
約5mmの焼肉カットは一例です。肉色が濃いことだけで硬さや安全を決めず、筋の残り、繊維、加熱後の食感から用途を考えます。原文ではたたきや、過去のユッケ用途にも触れていましたが、これを現在の通常原料の生食手順として使わないでください。

しんしん:筋と厚みを見てステーキ等に
原文のステーキ用約2cmは、掲載時のカット例です。なかすじの一部を除く方法が示されていますが、筋の位置と量を見て除去範囲を決めます。先端等は焼肉や薄切りなど、厚みと食感に合う用途を検討してください。

かめのこ:肉の目を確認して薄切り等に
筋繊維の流れを確認して柵取りし、しゃぶしゃぶ用の薄切りや切り落とし等に分けます。厚く切れば必ずステーキに向く、薄切りなら加熱が不十分でもよい、ということではありません。

生食の過去の用途と、現在の安全条件
牛肉の生食がすべて禁止されているわけではなく、生食用牛肉(内臓を除く)には規格基準・加工調理・表示等の条件があります。通常の加熱用原料を、筋引きした、見た目がよい、表面を焼いたという理由で生食に回すことはできません。
このページの写真・動画は、生食用の基準を満たす加工方法を示すものではありません。家庭や通常の加熱用原料では中心まで十分に加熱し、生肉に触れる器具と提供用の器具を分けてください。詳しくは東京都の生食用食肉の説明、厚生労働省の加熱の注意点をご確認ください。
全体仕入れは用途配分と加工負担で判断する
しんたま全体を買うときは、しんしん等の一部だけが売れる価格で全重量を評価しないことが大切です。焼肉・ステーキ、薄切り・切り落とし、煮込み・挽肉等へ使う重量と、筋・脂等の除去量、作業時間を記録しましょう。
整形歩留まりと加熱歩留まりは別です。さらに、スライス端材を他の用途で使うのか、廃棄するのかで1食原価が変わります。当社の実測値がない重量比や歩留まりを、実績として設定しません。全体原料と小割済み原料では、購入者側に必要な設備と作業も違います。
メニューごとの使用量と、筋引き・カットの負担を整理して業務用原料を選びましょう。業務用牛肉をお探しの事業者の方は、五十嵐商会のMマート商品一覧で、現在の用途・規格・ロット・不定貫重量・税込金額・送料・在庫・出荷日と到着見込みをご確認ください。
バナーは当社の商品一覧への案内です。掲載部位・内臓・完成料理や、スライス・小分け等の加工対応を保証するものではありません。Mマートは事業者・団体等を対象とする会員制の業務用市場です。購入者の利用条件をご確認ください。
まとめ
しんたまは、全体から小部位を分け、筋と肉の目に合わせて用途を配分する部位です。写真の呼び名・A~Dを手掛かりに、注文時は取引先の規格も確かめてください。分割の手間と、各用途で使える量まで考えると仕入れ判断がしやすくなります。
参照資料
用途・加工をさらに確認する関連記事





コメント
コメント一覧 (7件)
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】 […]
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】https://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/539/今回は、もも部位の中にある「しんたま」について記載していきます。 テレビの影響によってなのかわかりませんが、「… […]
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】https://gyuniku-igarashi.co.jp/gyunikuhakase/539/今回は、もも部位の中にある「しんたま」について記載していきます。 テレビの影響によってなのかわかりませんが、「… […]
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】 […]
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】 […]
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】 […]
[…] さっぱりした味わいのもも部位のしんたま【牛肉編】 […]