牛肉の個体識別番号は、牛の生産履歴をたどるための10桁の番号です。仕入れでは番号を調べるだけでなく、対象となる牛肉か、どの取引の記録と対応するか、表示・伝達・保存の方法まで確認する必要があります。
このページは制度の対象と記録の実務を整理する記事です。ラベルの原産地・期限等をまとめて検品する方法は、牛肉のラベル表示の見方をご覧ください。
牛トレーサビリティ制度の目的と生産段階
牛トレサ法に基づく制度は、BSEのまん延防止措置の実施や、生産から流通・消費までの個体識別情報の伝達を支えるものです。生産段階は2003年12月、流通段階は2004年12月に施行されました。
国内で飼養される法の対象牛には、原則として両耳に10桁の個体識別番号を表示した耳標が装着されます。牛の管理者・輸入者・輸出者・と畜者には、それぞれ出生・輸入・異動・死亡・輸出・とさつ等の届出が関係します。生体の輸入と、牛肉としての輸入は分けて考えます。
表示等の対象は「特定牛肉」
牛個体識別台帳に記録されている牛から得られた枝肉・部分肉・精肉などが対象です。国産牛肉だけという説明では不十分で、生体輸入後に国内で飼養され、台帳に記録された牛由来の牛肉も含まれます。一方、牛肉として輸入されたものと同じ扱いにはしません。生体輸入にも法の対象範囲の例外があるため、個別条件は公式資料で確認します。
牛肉加工品、ひき肉、整形に伴い副次的に得られたくず肉等は、特定牛肉から除かれます。内臓や舌・頬肉等にも対象範囲の違いがあります。これは個体識別番号についての区分で、ほかの表示・衛生管理が不要という意味ではありません。
「こま切れ」「切り落とし」という商品名だけでは除外できない
農林水産省Q&Aでは、整形過程で副次的に生じた端材をまとめた小間切と、部分肉からスライスを製造した後の肉を使って計画的に製造する切り落とし等を区別しています。後者は個体識別番号の表示が必要とされています。名前だけで判断せず、原料と製造過程を確認してください。
販売業者と特定料理提供業者の違い
- 販売業者:対象となる牛肉の販売を事業として行う卸売・小売業者等。販売する特定牛肉の番号等の表示・伝達と、仕入れ・販売の記録を行います。
- 特定料理提供業者:焼肉・しゃぶしゃぶ・すき焼き・ステーキを主として提供する事業者。特定料理の番号等の表示と、原料となる特定牛肉の仕入れ記録を行います。
- すべての飲食店が一律に該当するわけではありません。農林水産省資料は、特定料理の提供が仕入れや販売額の過半数を占めるか等を判断基準として示しています。一般食堂や一部メニューのみの店と、主として提供する店を区別します。
牛肉加工品の製造・販売や弁当等の調理・販売についても、事業者名だけで一律に決めず、実際に扱う品目と営業内容を確認してください。判断に迷う場合は、公式資料に記載された担当窓口へ確認しましょう。
表示・伝達は商品や料理と対応させる
販売では容器・包装・送り状等の見やすい場所へ番号を表示・伝達します。小売のボード等で示す場合も、どの商品に対応する番号か分かるようにします。複数個体の表示やロット番号を使う場合は、個体数、問い合わせ先、番号との対応を確認してください。口頭で伝えるだけでは表示したことになりません。
特定料理提供業者は、一つの特定料理ごとに、店舗の見やすい場所やメニューに表示します。「聞かれたら答える」だけでは足りません。
帳簿・伝票に記録する項目と保存期間
- 個体識別番号、または対応を確認できるロット番号
- 仕入れ・販売の年月日
- 相手先の氏名または名称と住所
- 仕入れ・販売した重量
販売業者は仕入れと販売の記録が基本です。不特定かつ多数の消費者への販売に係る記録には例外があります。特定料理提供業者は、特定料理の原料となる特定牛肉の仕入れ記録を保存します。両者の記録範囲を混同しないでください。
農林水産省の販売業者向け・特定料理提供業者向け資料では、記録は1年ごとに閉鎖し、閉鎖後2年間保存する方法が示されています。必要事項がそろう納品書等の伝票や電子記録も利用できます。「購入日から一律2年」と短く読み替えず、社内で区切りと保存期限を管理します。
番号で調べられる情報と、分からないこと
家畜改良センターの牛の個体識別情報検索サービスから、生年月日、性別、種別、母牛の番号、飼養地の履歴等を確認できます。実際に表示される情報は届出・公表範囲によります。スマートフォンからも公式サイトへアクセスし、画面の案内と利用上の注意を確認してください。
番号は、味、肉質等級、ブランド認定、鮮度、消費期限、食中毒菌の不在をすべて保証する証明ではありません。格付けやブランドの条件は別資料で、期限・保存温度・加工状態は商品表示や納品条件で確かめます。架空の番号を見本として使わず、手元の商品の表示と照合してください。
業務用仕入れでそろえておく確認事項
- 商品と伝票の個体識別番号・ロットが対応するか
- 原産地・種別・部位・整形状態が注文規格と一致するか
- 重量・温度帯・期限・送料・出荷条件が分かるか
- 表示と仕入れ記録を、必要な期間にわたり取り出せるか
番号の照会だけでなく、規格と納品条件までそろえて仕入れを判断しましょう。業務用牛肉をお探しの事業者の方は、五十嵐商会のMマート商品一覧で用途・規格・ロット・不定貫重量・税込金額・送料・在庫・出荷日と到着見込みをご確認ください。
バナーは当社の商品一覧への案内です。この記事で扱う部位・内臓・ひき肉・完成料理や、スライス・小分け等の加工対応を保証するものではありません。Mマートは事業者・組織・団体等を対象とする会員制の業務用市場です。購入者の利用条件をご確認ください。
制度運用の最新情報とまとめ
農林水産省の現行案内には、表示・記録の仕組みやDNA照合等の制度説明が掲載されています。過去の巡回状況や2007年当時の取組を、そのまま現在の実施実績として扱わないようにします。最新の対象範囲・運用は公式資料を確認してください。
個体識別番号は、牛と取引記録をつなぐ手掛かりです。仕入れる品目・自社の営業内容に合う表示と保存を行い、味・等級・衛生条件はそれぞれ別に確かめましょう。
参照資料
- 農林水産省:牛・牛肉のトレーサビリティ(2026年9月15日更新の掲載ページ)
- 農林水産省:牛トレーサビリティ制度Q&A(流通段階、2019年8月。現行ページ掲載)
- 農林水産省:販売業者向けパンフレット
- 農林水産省:特定料理提供業者向けパンフレット
- 家畜改良センター:牛の個体識別情報検索サービス
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