エムマート(牛肉市場)|牛肉のうで(かた)部位の整形・すじ引き方法とは?

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今回は、エムマート(食材市場)に掲載されている「うで」部位についてご紹介します。

非常に複雑かつ使えにくいように見える「うで」部位を知ることは、どのような部位でも応用が効くようになります。

ややこしい部位には見えますが、案外使い勝手の良い部位ではありますので、抑えておくと良いでしょう。

目次

牛肉料理の用途幅が広いうで(かた)部位は非常に活用しやすい

エムマート(畜産市場)において重量級(10kg以上)の「うで」部位の多くは、スライスものに活用されることが多く、冷蔵庫に収まりにくいのが難点な部位です。

そのため小割りの仕方や分割しておくと一ずつの部位は、小さくなりますが、それぞれの小割りしたものが希少価値の高い焼き肉用としても活用されることがあります。

用途幅が広いのがこの部位の特徴といっても過言ではありません。

また、選択したお店によっては、小割りしてから真空包装にしていただける問屋さんもありますので、活用しみる事が大切なのではないでしょうか。

また、うでの部分を総称して「牛かた」と呼んでいますが、みすじ、さんかく、とうがらしなどの数多くの筋肉の集合体です。総じてよく運動する部位ですから、筋膜や腱などが多く、肉色はやや濃いめです。

したがって、きめが粗く肉質も硬い部位に属します。

エキス分やゼラチン質は豊富ですがら、煮込み料理やスープの材料として最適です。また、筋膜や腱を取り除いて薄切りにしますと、硬さに難がなく、相当広い範囲の牛肉料理に利用できます。

今回は、そのうで(かた)部位を使った整形・すじ引きや分割方法などの代表的な例を通して商品化までの方法を紹介していきます。

うで(かた)部位のすじ引きと整形のポイント

うで(かた)部位は、外側から内側にすじが多く入り込んでいます。

このすじを内側深く取り過ぎると本体自体がバラバラになり、商品化づくりができにくくなります。必要以上には、内側のすじを取らないよう注意する必要があります。

また、ほんみすじ部位とくり部位の境は、身割れしやすいです。すじを引くとき、うわみすじを必要以上にめくり上げると身割れします。ここが身割れすると、変色したり、またスライスにするときバラバラに割れて商品づくりがしにくくなります。

うで1

うで(かた)の整形・すじ引き

かっぱを取り除き、脂肪を取り除きます

  • 薄いかっぱ肉を取り除きます。
  • 先に、印、汚れを取り除き、脂肪の厚い部分は5ミリ程度残して取り除きます。
  • くり部位、すじ上面、にのうで部位の脂肪を取り除きます。

うで2

にのうで、ほんみすじ、くりのすじを取り除きます

  • にのうで部位上面のすじを引き、続いてほんみすじ、横のすじと骨肌を引き上げます。
  • くり部位上面のすじを引きます。くり部位上面の中に食い込んでいる太いすじを中まで(約5センチ程)取り除きます。また、小割しないで商品づくりするときは、ほんみすじ上面のすじと脂肪を取り除き、ほんみすじのすじを引きます。(みすじ側を残して分割するときは手をつけないほうがいいです)

※小割するときは手をつけなずにそのまま残します。

うで3

にのうで部位の脂肪、血管を取り除き、すじを引きます

にのうで部位上面の脂肪と血管を一緒に取り除き、にのうで部位上面のすじを引きます。

うで4

にのうで部位、骨肌のすじを取り除きます

※このとき、うわみすじ部位左側を引いておきます。

  • にうで部位上方の肉を上にはねて、手でなでて平らにし、骨肌やすじを引きやすいようにします。
  • 脱骨のあとの骨肌やすじを引きます。
  • うわみすじ部位左側のすじを引きます。

うで5

うわみすじ部位の裏側の骨肌を引きやすいに横になでてから骨肌を引きます

※右端に軟骨が残っている場合が多く、注意が必要です。

ほんみすじ部位のあたま部分のすじを取り除きます

  • 先に、ほんみすじ部位のあたま部分のすじと膜を一緒に取り除きます。(そのときは図のようにうわみすじ部位まで)
  • 細長いすじを途中まで(約3センチ)取り除きます。
  • ほんみすじの太いすじを15センチ位までナイフを入れて取り除きます。(小割りするときはそのまま残します)

うで7

ほんみすじ部位の骨肌を取り除きます

  • ナイフを逆手に持ち、骨肌を引き上げます。最後の角部までに完全に引きます。
  • 硬い部分は、残さず完全に取り除きます。

うで8

うわみすじ部位のすじを引きます

  • うわみすじ部位の太いすじを引きます。

※すじ引きの一番しやすい部分

  • 上方薄いすじを引きます。

うで9

くり部位の上面のすじを引きます

  • 右端先端よりうわみすじ部位のところまですじを引きます。
  • 以上終了です。

うで10

うで(かた)部位の小割とすじ引き(右側部位)

うで(かた)部位の小割り

  • まず先に、周りのすじを全部引いてから作業を始めることです。こうすると、作業がしやすく早く仕上がります。
  • 周りのすじを全部引いてからといっても、次のイ、ロのすじに手を付けないで、そのまま残します。

イ:くり部位の全部
ロ:ほんみすじ部位の太いすじ

うで11

うで(かた)部位より、にのうで部位を取り除きます

かた部位と、にのうで部位の境に沿って分割します。ほんみすじ部位の肉が、にのうで部位下側まであるので注意します。
うで12

うわみすじ部位を取り除きます

  • うわみすじ部位を、くり上面のすじに沿って離します。
  • 次に、かわら部位との境を離し、うわみすじ部位を取り外します。

うで13

かわら部位を取り除きます

  • くり部位より、かわら部位を切り離します。
  • 次に、みすじ部位の裏側の点線より、かわら部位を分離します。
  • かわら部位に脂肪を付けます。

うで14

ほんみすじ部位のすじに沿って、くりとみすじに分割します。

ほんみすじ部位の横のすじに沿って分割します。

ほんみすじ部位とこさんかく部位を分割します

本みすじ部位あたま部位(太いすじのところ)下側のこさんかくをすじに沿って分離します。

うで15

うわみすじ部位の分割(左部位)

中に食い込んでいるすじに沿ってうわみすじを分割します。
※ナイフを逆手に持つ必要があります。

うで16

ほんみすじ部位の分割

ナイフを逆手に持ち、太いなかすじに沿ってナイフを入れ分割します。
※このすじは、中ほどが平らでなくデコボコしていて作業がやりずらいので注意が必要です。

うで17

うで(かた)部位の商品づくり

商品づくりのポイント

うで(かた)部位は皮下脂肪が付いているが、赤身の多い肉の厚い大きな部位で、サシもよく入って見栄えは良いです。ただ、肉質にムラがあって、図のようにA,B,C,Dではやわらかさや肉質も異なるので商品化には注意したい。

うで18

A部分

切り口が整うまでコマ材用に切り落とします。(下側にばら肉・そとばらやなかばらを敷き、一緒に切ります)
※ばら部位は、隠さないで見せた方が良いです。

うで19

B部分

切り口が整ったらすきやき用に切ります。(赤身肉で最も断面の大きい部分)
※コマ材不足の時は、にのうで部位側を1/3切り離し、2等分にしてばら肉と合わせてコマ材用にするとよいです)

うで20

C部分

すき焼き用として切ります。また、赤身肉で柔らかいのでしゃぶしゃぶでもよいです。

D部分

肉質、味ともによく、また柔らかいのですき焼き用かしゃぶしゃぶ用切ります。
※ここまで切ったら小分割し、ほんみすじ部位を綺麗にすじを引いて、焼肉、たたきにすると付加価値が付きます。

E部分

分割して切り落としようにします。
※細かいみすじより商品づくりところがありますが、にのうで部位より始めてよいと思います。

うで21

まとめ

今回は、うで(かた)部位について記載していきましたが、小割後の商品化については別記事にて記載していきます。

また、この部位においては、作業工程が多く複雑なものを表していますが、幾度となく繰り返していけば早くになります。

また、わずらわしい作業を減らすには、問屋(業者)に頼む事も歩留まりを上げる事にもつながりますので是非とも活用することも効率的によいので抑えておくべきところです。

今回の商品例おいては、肉質と価値で用途(売価)を選定していますが、お店によっては違いがあります。

肉質を見極める事が重要になってきます。この肉質を選定するうえで、食べるみることも大切なことではないでしょうか。

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この記事を書いた人

食肉販売技術管理士。 食肉のプロを養成する学校で「技能賞」を受賞後卒業。関東、関西中心に全国各地で食肉の技術と知識を学ぶ。 国産牛卸の(株)五十嵐商会にて、品質管理室室長を務め、牛の捌きを10年で5万頭の経験。現在は五十嵐商会(株)代表取締役。

近年では、NHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて牛肉の寄稿・監修も。

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